壬生義士伝
(2002年 日本 137分)
2003年12月27日から2004年1月9日まで上映 ■監督 滝田洋二郎
■原作 浅田次郎
■脚本 中島丈博
■音楽 久石 譲

■出演 中井貴一/三宅祐司/夏川結衣/村田雄浩/中谷美紀/佐藤浩市

(C)松竹

2002年の『たそがれ清兵衛』に続く正月映画。今回の二本立て作品『鉄道員(ぽっぽや)』の原作者、浅田次郎の同名小説の映画化で1998年〜2000年まで週間文春に連載され、新撰組の中では全く無名だった男を主人公にするという大胆な発想と、どこか現代とも重なる幕末を必死で生き抜く男の姿が感動を呼び、大好評を得る。

pic連載終了後、単行本化されるや否や、25万部を突破する大ベストセラーとなり、今なお幅広い読者層に支持されている。また、この小説はテレビ東京での渡辺謙主演による、10時間ドラマとして放送され、時代と当時の人間たちの理不尽さが全面に出ていた気がする。

映画『壬生義士伝』は『陰陽師』の滝田洋二郎監督作品。ロマンポルノ出身の監督たちの中でも、キャラクターに血肉を通わせてドラマに説得力をもたせる山田洋次監督と同じ意味合いを持ち、なおかつ登場人物にドライでブラックな味わいをもたせる。

普通ならこのようなキャラクターはコメディにしかならない。しかし、滝田監督の手により、中井貴一演じる吉村貫一郎は「いぶしぎんでん」と化し、素晴らしい時代劇を作り上げた。久石譲による情感溢れる旋律は胸を揺さぶられることは言うまでもない。

pic公開当時の初稿ポスターは、中井貴一=吉村貫一郎が死を覚悟で佐藤浩市=斉藤一の制止を振り切って官軍に切り込んでいく背がクローズアップされたシーンだけが大きく写し出されていた。これが実に印象的で、私は時代劇ブームの火付け作品となりうるか!と思ったものだ。

しかし、2稿ポスターは『たそがれ清兵衛』と同じように宣伝方針が変更され、家族愛を謳う子供との抱擁の写真が使われた。公開中でのこのような変更はめずらしい。

(WING)


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鉄道員(ぽっぽや)
(1999年 日本 112分)
pic 2003年12月27日から2004年1月9日まで上映 ■監督・脚本 降旗康男
■原作 浅田次郎
■出演 高倉 健/大竹しのぶ/広末涼子/小林稔侍/安藤政信/志村けん

(C)東映

北海道の幌舞。まさに北のどんづまりといった風情のこの駅は、廃線が決まった赤字ローカル線の終着駅である。

picこの駅を頑なに守りつづけ、鉄道員(ぽっぽや)一筋の人生を送ってきた駅長の乙松(高倉健)は、一人娘を亡くした日も妻を亡くした日も、駅に立ち続けていた。彼は、近く廃線になる幌舞線と運命を共にするかのように、定年を目前にしている。

そんな乙松のもとにある冬の夜、愛らしい少女がやって来た。この出会いは孤独な彼の人生に訪れたやさしい奇跡の始まりだった…。

第27回直木賞受賞作品、浅田次郎の『鉄道員』が原作の、切なくもファンタジックな人間ドラマ。

pic主演の乙松には、日本映画の至宝、高倉健。妻役に大竹しのぶ、娘役に広末涼子、同僚役に小林稔侍など、これ以上ない最高の演技陣をそろえている。

また、日雇いの炭鉱夫役で出演している志村けんが、まことにいい味をだしている。

(カツオ)



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