ギャングスター・ナンバー1
GANGSTER NO.1
(2000年 イギリス 103分)
2003年10月11日から10月17日まで上映 ■監督 ポール・マクギガン
■脚本 ジョニー・ファーガソン
■音楽 ジョン・ダンクワース
■出演 ポール・ベタニー/マルコム・マクダウェル/デヴィッド・シューリス/サフロン・バロウズ

(C)ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ

ロンドンで裏社会の頂点に立つギャングスターの耳に、投獄されていた元ボス、フレディが出所するというニュースが入る。彼は動揺を隠せなかった。

picさかのぼること30年、1968年のロンドン。かつてフレディの部下で、彼の右腕と呼ばれるほどの存在だったギャングスターは、彼を尊敬し、慕っていた。

しかしフレディがカレンという女性に惹かれたことから二人の関係は崩れ始め、若いギャングスターの中で彼への“憧れ”が“嫉妬”という狂気に形を変える。ある日、彼は自らがナンバー1になるためにある策略を実行したのだった。

picこの作品は表向きギャング映画だが、一種の異常心理スリラーとも見なせる強烈な作品だ。恩あるボスに卑劣な罠を仕掛け、ロンドンの裏社会のトップにのし上がっていく主人公“ギャングスター”の栄光と挫折を、1960年代後半と現代の二つの時代を交錯しながら語られる。

アーヴィン・ウェルシュの同名小説『アシッド ハウス』で映画界に名乗りをあげたポール・マクギガン監督は新感覚のギャング・ムービーを誕生させた。

picそのスタイルを完璧に演じる役者陣に、若き日のギャングスターには現在大注目されている新星ポール・ベタニー、そして『時計じかけのオレンジ』の怪優マルコム・マクダウェルが、昇り詰めた男の心の空洞と孤独を見事に演じる。ギャングスターが一種ホモセクシャルのような憧れを抱くギャングのボスを演じたのはデヴィッド・シューリス。

異常なまでの力への執着、思わず目を背けたくなるほどの激しい暴力などバイオレンスな描写とブラックな笑いが混在し、スピーディに展開される。

(fct)


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キス★キス★バン★バン
KISS KISS (BANG BANG)
(2000年 イギリス 101分)
pic 2003年10月11日から10月17日まで上映 ■監督・脚本 スチュワート・サッグ
■音楽 ジョン・ダンクワース
■出演 ステラン・スカルスゲールド/クリス・ペン/ポール・ベタニー/ピーター・ヴォーン/ジャクリーン・マッケンジー

(C)GAGA

かつては組織でNO.1の殺し屋だったフィリックスは50歳。腕に衰えを感じた彼は、若い弟子のジミーに後を託し、引退を宣言する。しかし組織は「死ぬまで現役」が掟。フィリックスの命を狙い始める。

一方、フィリックスは知り合いの密輸業者から仕事を依頼された。それは、愛されるあまり子供部屋から33年間一度も外に出さずに育てられたというババの子守り。

ピストルと酒とタバコとコーヒーとダンスと読書と女性を愛し、ダンディズムを貫く古風な男にとって、水鉄砲とキリンのデイリーだけが頼りのこの大きな子供には手を焼くばかり。しかし無邪気なババの急速な成長を見守っていくうちに、いつしか過去に捨ててしまった、人生に必要な愛情の数々を取り戻していくのであった。

どこかノスタルジックテイストな『キス★キス★バン★バン』。このタイトルには意味があって、ひとつは『007シリーズ』のジェームス・ボンド。「ミスター・キス・キス・バン・バン」の愛称を持つ彼のモットーは「女にはキス、男には銃口」。

もう一つはミュージカル映画『チキ・チキ・バン・バン』。どちらも故イアン・フレミングが原作を手がけており、監督の敬愛の念がオマージュ的な要素としてこの作品には含まれている。

“ミスター・キス・キス・バン・バン”的ハードボイルド要素と、“チキ・チキ・バン・バン”系ハートウォーミング要素。全く異なる二つの要素を融合させた作品でもあるのだ。

そして演出、音楽、美術にもこだわっていて、例えばインテリアは40〜50年代フィルム・ノワールや、007シリーズを参考にした作り。サウンド・トラックは、60年代のコメディ・スパイ映画『唇からナイフ』のジョン・ダンクワースが手がけ、おしゃれスパイ映画へのリスペクトをも感じさせる。

(fct)



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