橋の上の娘
LA FILLE SUR LE PONT
(1998年 フランス 90分)
2003年8月2日から8月8日まで上映 ■監督・カメラ パトリス・ルコント
■脚本 セルジュ・フリードマン
■出演 ダニエル・オートゥイユ/ヴァネッサ・パラディ/ニコラ・ドナト/イザベル・プティ=ジャック

(C)シネマパリジャン

アデルはまもなく22歳になる。男たちと関係をもっては捨てられる人生に絶望した彼女は、セーヌ川に身を投げようとしていた。

その時、ナイフ投げの曲芸師ガボールが声を掛ける。ナイフ投げの的には死にたい人間が好都合なのだ。

パリの名もない橋の上で出逢ったふたり。それはあまりにも運命的な、そしてほんの少し奇妙な愛の物語のプロローグであった。

パートナーとなったふたりは、ナイフ投げと的の関係。二人の間には、直に触れ合うような性的なやり取りはない。にもかかわらずヒリヒリするほど官能的な、求め合う瞬間と応じ合う恍惚がある。

時代遅れのナイフ投げで、客の刺激、性的興奮と感情をゆさぶり、後にも先にも何の保証もない、イチかバチかの勝負に出る男。ふたりは呼吸を合わせ、死をすれすれに感じることで仕事を完成させる。快楽を手にする。まさに寸止めのエロティシズム。

ヴァネッサ・パラディのフィルモグラフィの中で、露出度は抑えめなのにも関わらず、この作品の彼女は一番官能的。「今までのヴァネッサは何だったのか。彼女の演技に驚愕」(テレジュナル誌)というのが本国における『橋の上の娘』のヴァネッサ評だったほど。絶望から次第に天真爛漫な個性を発揮していく女性像を活き活きと演じ、とても魅力的だ。

パリ、モナコ、サンレモ、アテネ、イスタンブールと、眩いまでのロケーションを背景に、その多彩な作品歴の中で、愛の物語を紡ぐことに長けた作家パトリス・ルコントが描く、生命を賭けた“触れない”愛。


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フェリックスとローラ
FELIX ET LOLA
(2000年 フランス 89分)
pic 2003年8月2日から8月8日まで上映 ■監督・脚本 パトリス・ルコント
■脚本 クロード・クロッツ
■出演 シャルロット・ゲンズブール/フィリップ・トレトン/アラン・バシュング

(C)シネマパリジャン

フェリックス(レントン)は、移動遊園地のバンパー・カーのオーナー。いつも切符売り場で客たちを眺めている彼は、ある日、バンパー・カーからいっこうに降りようとせず、他の客たちからぶつけられっぱなしになっている女に目をひきつけられる。

彼女を追って遊園地内のバーにいくフェリックス。ローラ(ゲンズブール)と名乗る女に「私を雇う気はない?」と聞かれた彼は、とっさに「いいよ」と答えてしまう。それは、ひと目惚れの恋だった。

だが、その幸せも長くは続かず、謎めいた男(バシュング)がフェリックスの従業員に託したハーモニカを受け取ったローラは、脅えて姿を消してしまった。

数日後、戻ってきたローラはフェリックスの求愛を受け入れ、彼と結ばれた。とはいえ、例の男にまつわる過去は隠したまま。

やがて彼女はフェリックスに、こう囁く。「彼が死ねば、私たちは幸せになれる」。それから何日かたった夜、とあるナイトクラブに、拳銃をふところに忍ばせたフェリックスの姿があった。

ベルリン国際映画祭正式上映作品。



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