恋愛小説家
AS GOOD AS IT GETS
(1997年 アメリカ 138分)
2003年10月4日から10月10日まで上映
■監督・脚本・製作 ジェームス・L・ブルックス
■脚本 マーク・アンドラス
■出演 ジャック・ニコルソン/ヘレン・ハント/グレッグ・ギニア/キューバ・グッディング・Jr/スキート・ウールリッチ/シャーリー・ナイト
■1997年アカデミー賞主演男優賞受賞(ジャック・ニコルソン)・主演女優賞受賞(ヘレン・ハント)、作品賞ほか計4部門ノミネート
(C)東宝舞台はニューヨーク。やさしくロマンティックな愛の話を専門とする恋愛小説家、メルビン(ジャック・ニコルソン)。しかし私生活での彼はとんでもない毒舌家で潔癖症、おまけに人間嫌いときている。(というより思い込んでいる…の方が正しいのかも。)
隣人のゲイの画家をいびったり等々、彼のまわりには可哀想な被害者の姿もチラホラ。そんな人間性ゆえに彼の日々は孤独であり、彼の描く小説のような愛のある暮らしぶりでもない。
ある日、アパートの隣人から犬を預かったことをきっかけに、思いがけず優しさの気持ちが芽生え始めるメルビン。小さなきっかけは徐々に、彼の中に抑えられていた人間としての心に波及し始める。
やがて彼は毎日通うカフェのウエイトレスで、シングルマザーのキャロル(ヘレン・ハント)を愛しはじめている自分に気づくのだが…。
小説ではなく、現実の恋に勇気をもってふみこみ、とまどう2人の姿がほほえましく、可笑しくもある。
前半はジャック・ニコルソンのあの曲者としか言いようの無い、憎々しい独特の表情と、この性格設定が相乗効果をなして見事に嫌な奴っぷりである。
また、隣人のゲイの画家サイモン(グレッグ・ギニア)の愛すべき繊細なキャラクターと滑稽さには和まされる。
第70回アカデミー賞において、ジャック・ニコルソンが最優秀主演男優賞を、ヘレン・ハントが最優秀主演女優賞に選出された他、数々の賞に輝いている。
(カツオ)
アバウト・シュミット
ABOUT SCHMIDT
(2002年 アメリカ 125分)
2003年10月4日から10月10日まで上映
■監督・脚本 アレクサンダー・ペイン
■原作 ルイス・ベグリー
■脚本 ジム・テイラー
■出演 ジャック・ニコルソン/キャシー・ベイツ/ダーモット・マルロニー/ホープ・デイヴィス
■2002年アカデミー賞主演男優賞・助演女優賞ノミネート/2002年カンヌ国際映画祭パルムドールノミネート
(C)ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ青空を背に、頭髪ボサボサの覇気のない顔をしたジャック・ニコルソンがつっ立っている…そんな、この映画のポスターの彼の表情を見た時、残りの人生を前にやや挫折気味というか、途方にくれている中年男性なのでは…という印象を受けた。
物語はやはりジャック・ニコルソン演じるところのシュミットが、定年退職を迎え、のんびり過ごせるという矢先に妻に先立たれ、娘もろくでなし(?)の男と結婚することになり…と今まで自分が築き上げてきたり、大切にしてきたものをいっさいがっさい失ってしまうところから始まる。
大切なものを一度に失ったシュミットは、突然娘の(幸せになれそうにないと思われる)結婚を阻止しようと、キャンピングカーで旅にでる決意をする。しかしそれはそれまでの人生を振り返り、自身を見つめ直すきっかけの旅でもあった。
人生やや終盤にして人生最大の焦りと孤独を感じたシュミットはなりふりかまわず右往左往。だが旅が終わろうとしていた時、全く予想しなかった人生最高の贈り物が彼のもとに届くのであります。
自分が今まで努力して築き上げてきたもの、自信をもってきたこと、大切にしてきたこと等々、拠り所がガラガラと失われていく瞬間は、誰にとっても自分自身の心の危機になるはずで、年齢に関係なく切実なテーマにちがいない。
この作品でアメリカのマスコミは、ジャック・ニコルソンの演技を過去最高のものだと大絶賛。ゴールデン・グローブ賞2部門(最優秀主演男優賞と最優秀脚本賞)受賞作品。
(カツオ)