【2021/4/10(土)~4/16(金)】『バクラウ 地図から消された村』『異端の鳥』

異端の鳥
The Painted Bird

ヴァーツラフ・マルホウル監督作品/2019年/チェコ・スロヴァキア・ウクライナ/169分/DCP/R15+/シネスコ

■監督・製作・脚本 ヴァーツラフ・マルホウル
■原作 イェジー・コシンスキ
■撮影 ウラジミール・スムットニー

■出演 ペトル・コトラール/ウド・キア/レフ・ディブリク/イトカ・チュヴァンチャロヴァー/ステラン・スカルスガルド/ハーヴェイ・カイテル/ジュリアン・サンズ/バリー・ペッパー

■2019年ヴェネツィア国際映画祭ユニセフ賞受賞/第92回アカデミー賞国際長編映画賞チェコ代表作品/2020年チェコ・ライオン(チェコ・アカデミー)賞
作品賞・監督賞ほか6部門受賞/シカゴ国際映画祭最優秀撮影賞受賞/カメリメージ映画祭ブロンズ・フロッグ賞・フィプレシ賞受賞/ベオグラード国際映画祭監督賞受賞

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【2021年4月10日から4月16日まで上映】

僕は、生きて、家に帰る

東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である一人暮らしの老婆が病死した上に火事で家が消失したことで、身寄りをなくし一人で旅に出ることになってしまう。行く先々で彼を異物とみなす周囲の人間たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続ける――。

発禁の書、半世紀を経て奇跡の映画化。戦争と人間の本質に迫る傑作!

本作は、2019年のヴェネツィア国際映画祭では少年の置かれた過酷な状況が賛否を呼び、途中退場者が続出。しかし、同時に10分間のスタンディングオベーションを受け、ユニセフ賞を受賞。同映画祭屈指の話題作となった。その後も多くの批評家から絶賛を浴び、アカデミー賞国際長編映画賞のチェコ代表にも選ばれている。

原作は自身もホロコーストの生き残りである、ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した代表作「ペインティッド・バード(初版邦題:異端の鳥)」。ポーランドでは発禁書となり、作家自身も後に謎の自殺を遂げた“いわくつきの傑作”を映画化したのはチェコ出身のヴァーツラフ・マルホウル監督。

迫害を生き抜くうちに徐々に心を失っていく少年を体当たりで演じ切ったのは、新人のペトル・コトラール。他にもステラン・スカルスガルド、ハーヴェイ・カイテル、ジュリアン・サンズ、バリー・ペッパー、ウド・キアなどの名優たちが顔を揃えている。人はなぜ異質な存在を排除しようとするのか? 戦争と人間の本性に迫る衝撃作は、観る者の心を激しく揺さぶりといかけてくる。

バクラウ 地図から消された村
Bacurau

クレベール・メンドンサ・フィリオ | ジュリアーノ・ドルネリス監督作品/2019年/ブラジル・フランス/131分/DCP/R15+/シネスコ

■監督・脚本 クレベール・メンドンサ・フィリオ/ジュリアーノ・ドルネリス
■製作 ヴィヴィアン・チュイ/ワン・チュアン
■撮影 ペドロ・ソテーロ
■編集 エドゥアルド・セラーノ
■音楽 マテウス・アウヴェス/トマス・アウヴェス・ソウザ

■出演 ソニア・ブラガ/ウド・キア/バルバラ・コーレン/トーマス・アキーノ/シルベロ・ペレイラ

■2019年カンヌ国際映画祭審査員賞受賞/シッチェス・カタロニア国際映画祭監督賞ほか3部門受賞/2020年NY批評家協会賞外国映画賞受賞/インディペンデント・スピリット賞外国映画賞ノミネート ほか多数受賞・ノミネート

© 2019 CINEMASCÓPIO – SBS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINÉMA

【2021年4月10日から4月16日まで上映】

――これは、血と暴力に彩られた現代の寓話

村の長老である老婆カルメリータの死をきっかけに故郷の村バクラウに戻ったテレサ。しかしその日から村では不可解なことが次々に起こり始める。突然、村はインターネットの地図上から姿を消し、上空には正体不明の飛行物体が現れる。村の生命線である給水車のタンクに何者かが銃を撃ち込み、村外れでは村人が血まみれの死体で発見される。めったに現れないはずの他所者の来訪、それは血で血を洗う暴力と惨劇の幕開けだった。

「見事なまでに狂ってる」 ブラジル映画として初のカンヌ映画祭審査員賞受賞作!

ブラジル片田舎の村バクラウで起こる不可解な出来事と暴力の災禍ーー貧困、格差、そして政治によって主導される同胞たちの分断。前作『アクエリアス』で世界最高峰のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、その年の映画界を席巻したブラジルの俊英クレベール・メンドンサ・フィリオ監督が本作で描くのは、現代に警鐘を鳴らす暴力に彩られた寓話的世界。再び挑んだカンヌ国際映画祭では、審査員賞を受賞しブラジルに初めての栄冠をもたらした。

更にはジャンル映画の祭典シッチェス・カタロニア国際映画祭でも監督賞を含む3冠を達成したほか世界各国の映画祭・映画賞で喝采を浴び、フランスの有名映画誌「カイエ・デュ・シネマ」2019年ベスト10で外国映画としては『パラサイト 半地下の家族』に次ぐ第4位に選ばれるなど文字通り同年を代表する一本となった。

映画史に燦然と輝くアカデミー賞受賞作『蜘蛛女のキス』でその名を国際的に知らしめた名優ソニア・ブラガ、『奇跡の海』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』などラース・フォン・トリアー作品の常連としても知られる怪優ウド・キアら国際色豊かな出演陣がエクストリームな物語に確かな説得力を持って彩っている。