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パズー
「この瞬間がずっと続けば良い」そう思う時って大抵、願いが叶う前のような気がします。これから先に“一番幸せな状態”が待っている時です。でも実際はそれ以上良くなることは無くて、“一番幸せな状態”は遠くなっていくことの方が多い・・・。みんなそれをどこかで分かっているから、そうなる前に「このままでいたい」と思うのです。
『さよならくちびる』の主人公ハルとレオは、インディーズ界隈では人気のあるフォークデュオ。でも、さぁこれからという時に2人は解散という選択をします。付き人のシマと共に出発した“さよならツアー”。全国を廻る旅の道すがら、出会った日や初めてのライブなど、たくさんの記憶が甦ってきます。反発し合いながらもお互いが大切な存在となっていた彼女たちは、なぜバラバラになることを決めたのでしょうか。
『愛がなんだ』のテルコは友だちの結婚式で出会ったマモちゃんのことが大好き。テルコの毎日は何にしてもマモちゃん最優先の生活です。デートもするし、お泊りもする。でもマモちゃんの気持ちはテルコには向いていないようです。だからテルコは彼に「好き」だと伝えられません。それを言ったら今の関係は終わってしまうかもしれないから・・・。
今週の作品はどちらも、人と人との関係性の「途中」を描いているように思います。恋愛や青春の物語でよく描かれる場面は、付き合った/別れたとか、喧嘩した/仲直りしたとか、ドラマチックな瞬間が多いですが、現実の人間関係ではそんなのは一瞬の出来事。大半の時間は宙ぶらりんな状態だったりするものです。そのリアルで説明のつかない感覚が、どちらの映画にも充満しています。
それぞれに成就しない想いを抱えながら不器用に生きている登場人物たち。彼らが下した選択を、あなたはどう感じるでしょうか。誰かを想って、「このままでいたい」と思ったことのある人におすすめしたい二本立てです。
さよならくちびる
Farewell Song
■監督・脚本・原案 塩田明彦
■撮影 四宮秀俊
■編集 佐藤崇
■音楽 きだしゅんすけ
■主題歌 「さよならくちびる」作詞・作曲:秦基博/歌:ハルレオ
■挿入歌 「たちまち嵐」「誰にだって訳がある」作詞・作曲:あいみょん/歌:ハルレオ
■出演 小松菜奈/門脇麦/成田凌/篠山輝信/ 青柳尊哉/新谷ゆづみ/日高麻鈴/松本まりか/マキタスポーツ/篠原ゆき子/松浦祐也
© 2019「さよならくちびる」製作委員会
【2019年10月12日から10月18日まで上映】
大好きだから、サヨナラを歌う。
その美しさでひとを夢中にさせるレオと、その才能でひとの心を奪うハル。孤独だった2人は、二人三脚で音楽と懸命に向き合い、デュオ<ハルレオ>としてインディーズ・シーンで注目を集める。
そんな2人の前に、付き人として音楽の膨大な知識と抜群のセンスを誇るシマが現れる。ハルレオは乗りは軽いが気配りは細やかなシマに心を開くが、予定外の恋心が芽生え、3人の関係はこじれていく。それでも愛する音楽が彼らを結び付けていたかにみえたのだが…。
秦 基博、あいみょんの名曲にのせて、未来への希望を描く青春音楽エンタテインメント!
今や日本のエンタテインメントの新たなるアイコンとなった、小松菜奈と門脇麦のW主演が実現。小松がレオに、門脇がハルに扮し、人気デュオ<ハルレオ>を演じる。マネージャーのシマには『愛がなんだ』の成田凌。3人の時におかしく時に切ないアンサンブルで、たとえ傷つけ合っても、人と出会い共に生きることの美しさと素晴らしさを奏でる。
監督は、海外の映画祭でも高く評価されている、『害虫』『どろろ』の塩田明彦。映画タイトルでもある主題歌「さよならくちびる」を秦 基博、挿入歌「たちまち嵐」「誰にだって訳がある」をあいみょんが手掛け、劇中ではその稀代のアーティスト2人が書き下ろした曲を、小松と門脇がギターと自らの歌声で披露。二人は数か月のトレーニングに励み、エモーショナルなライブシーンの撮影を成功させた。
静岡、三重、大阪、新潟、山形、青森、北海道を巡りながら、心へまっすぐ届く名曲にのせて、人と人との絆と前を向いて生きることの大切さを描く、青春ロードムービー!
愛がなんだ
Just Only Love
■監督 今泉力哉
■原作 角田光代『愛がなんだ』(角川文庫刊)
■脚本 澤井香織/今泉力哉
■撮影 岩永洋
■編集 佐藤崇
■音楽 ゲイリー芦屋
■出演 岸井ゆきの/成田凌/ 深川麻衣/若葉竜也/江口のりこ/筒井真理子/片岡礼子/穂志もえか/中島歩
■第31回東京国際映画祭コンペティション部門正式出品
© 2019映画「愛がなんだ」製作委員会
【2019年10月12日から10月18日まで上映】
全部が好き。でも なんでだろう、私は彼の恋人じゃない
猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。
大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない…。
‟好き”と言えないすべての人へ——原作:角田光代×監督:今泉力哉が描く不器用な男女の群像劇
角田光代のみずみずしくも濃密な片思い小説を、“正解のない恋の形”を模索し続ける恋愛映画の旗手、今泉力哉監督が見事に映画化。本作では、永遠に埋まることのない男女の距離感を、様々な片思いにもがく5人の登場人物の視点から深く考察している。
テルコを演じるのは初主演映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』で一躍注目を集めた岸井ゆきの。テルコが盲目的に愛するマモルには、『チワワちゃん』『さよならくちびる』など出演作が途切れない人気俳優・成田凌。そのほか、テルコの友達・葉子を『パンとバスと2度目のハツコイ』の深川麻衣、葉子を追いかけるナカハラを『葛城事件』の若葉竜也、マモちゃんがあこがれるすみれを『戦争と一人の女』の江口のりこが演じる。
テルコ、マモル、葉子、ナカハラ、すみれ…彼らの関係はあまりにリアルで、ヒリヒリして、恥ずかしくて、でも、どうしようもなく好き…この映画には、恋のすべてが詰まっている。