【2021/8/7(土)~8/13(金)】『本気のしるし』『ハッピーアワー』

本気のしるし《劇場版》
The Real Thing

深田晃司監督作品/2020年/日本/232分〔2部作・途中休憩(25分間)1回あり〕/DCP/ビスタ

■監督 深田晃司
■原作 星里もちる「本気のしるし」
(小学館 ビッグコミックス刊)
■脚本 三谷伸太朗/深田晃司
■撮影 春木康輔
■編集 堀善介
■音楽 原夕輝

■出演 森崎ウィン/土村芳/宇野祥平/石橋けい/福永朱梨/忍成修吾/北村有起哉

■2020年カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション2020選出/日本映画プロフェッショナル大賞作品賞受賞・ベスト10第1位

© 星里もちる・小学館/メ~テレ 

【2021年8月7日から8月13日まで上映】

その女、出会ったことが事故だった――

退屈な日常を過ごしていた会社員の辻一路は或る夜、踏み切りで立ち往生していた葉山浮世の命を救う。彼女とかかわったその日から、辻は次々とトラブルに巻き込まれていく。魅力的だが隙と弱さがあり、それゆえ周りを巻き込んでいく浮世と、それに気づきながら、なぜか彼女を放っておけない辻。辻は仕事や人間関係を失いながら、地獄へと堕ちてゆく…。

大反響を呼んだテレビドラマから劇場公開、そしてカンヌへ――深田晃司監督が描く、弱く不器用な男女の転落劇

映画『淵に立つ』『よこがお』などこれまでオリジナル脚本にこだわってきた深田晃司監督が初めてコミック原作の映像化に挑んだドラマ『本気のしるし』。2019年10月からメ~テレ他で放送されるやいなや、既存のドラマ枠から逸脱するクオリティの高さと視聴者の予想をことごとく裏切る登場人物の行動から、「先が読めなさすぎ!」と大きな反響を呼んだ。その後、2020年10月に未公開シーンを入れた“ディレクターズカット版”の劇場公開が決定。コミック原作、地方局の深夜ドラマ発としては異例の、カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション2020に選出されるという快挙を達成した。

虚無感を抱えながら職場の女性ふたりと曖昧な関係を続けている主人公、辻を演じるのは『レディ・プレイヤー1』でハリウッド・デビューを飾り、『蜜蜂と遠雷』では日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した森崎ウィン。一方、その場しのぎで嘘を繰り返し、無自覚に関わる者を翻弄するヒロイン、浮世を演じるのは『去年の冬、きみと別れ』で注目された土村芳。そのほか、宇野祥平や石橋けい、福永朱梨、忍成修吾、北村有起哉ら個性派俳優が脇を固め、愚かな男女の転落サスペンスを盛り上げる。

ハッピーアワー
Happy Hour

濱口竜介監督作品/2015年/日本/317分〔3部作・途中休憩(25分間)2回あり〕/DCP/ビスタ

■監督 濱口竜介
■脚本 はたのこうぼう(濱口竜介/野原位/高橋知由)
■撮影 北川喜雄
■音楽 阿部海太郎

■出演 田中幸恵/菊池葉月/三原麻衣子/川村りら

■第68回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門最優秀女優賞・脚本スペシャル・メンション/2015年・2019年日本映画プロフェッショナル大賞2010年代最優秀作品賞受賞/第37回ナント三大陸映画祭コンペティション部門『銀の気球』賞・観客賞受賞 ほか多数受賞

©2015 神戸ワークショップシネマプロジェクト 

【2021年8月7日から8月13日まで上映】

もっと私を好きになりたい。

30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは…。中学生の息子がいる桜子は、多忙な夫を支えながら家庭を守る平凡な暮らしにどこか寂しさを感じていた。編集者である夫をもつ芙美もまた、真に向き合うことのできないうわべだけ良好な夫婦関係に言い知れぬ不安を覚えていた。あかりはバツイチ独身の看護師。できの悪い後輩に手を焼きながら多忙な日々を過ごし、病院で知り合った男性からアプローチを受けるも今は恋愛をする気になれずにいる。

純の現状を思わぬかたちで知った彼女たちの動揺は、いつしか自身の人生をも大きく動かすきっかけとなっていく。つかの間の慰めに4人は有馬温泉へ旅行に出かけ楽しい時を過ごすが、純の秘めた決意を3人は知る由もなかった。やがてくる長い夜に彼女たちは問いかける。
—私は本当になりたかった私なの?

4人の女性たちが直面するそれぞれの人生の岐路――世界が注目する濱口竜介監督の代表作。

演技経験のない4人の女性たちがロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞し話題となった本作は、市民参加による「即興演技ワークショップ in Kobe」から誕生した。ほとんどの登場人物を演技未経験者がつとめ、総尺5時間17分の大作となった『ハッピーアワー』。これまでにない試みで映画をつくりあげたのは、映画学校の生徒たちを起用した4時間を超える大作『親密さ』や、トータル7時間を超える東北記録映画三部作(『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』)など、常に挑発的な作品づくりを続けてきた濱口竜介。本作の次に発表した商業デビュー作『寝ても覚めても』は第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出、次回作『ドライブ・マイ・カー』(8/20公開)は第74回カンヌ国際映画祭脚本賞ほか3部門受賞、『偶然と想像』(12月公開)は第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)受賞の快挙を達成している。

30代後半の女性たちを主人公に、4人それぞれの家庭や仕事、人間関係を丁寧に描きながら、濱口は、どこにでもいる“普通”の女性たちが抱える不安や悩みを、緊張感あふれるドラマとして見事に表現してみせた。今の私は本当になりたかった自分なのか? 本当に伝えたいことを言葉にできているのか? ゆっくりと、迷いながら発せられる彼女たちの一言一言が、観ている者にスリリングな感動を届けてくれる。