エルマンノ・オルミ監督特集初日の11/5(土)に、最新作『緑はよみがえる』を配給されたチャイルド・フィルム代表の工藤雅子さんをゲストにお招きし、トークショーを開催しました。撮影地やオルミ監督のご自宅などについて、スライドを見ながらご説明いただきました。その一部をご紹介します。
映画の舞台、アジアーゴ高原はベネチアの北西に位置しており、第一次大戦の激戦地でした。ここでは54万3000人が戦死しており、戦争記念堂にはイタリア人だけでなく敵方のオーストリア、ハンガリーの兵士も眠っているそうです。
ここでは、従軍した20歳の青年が、攻撃の始まる5時間前に死を覚悟して両親に宛てた手紙が展示されています。41年の歳月が経ってから発見されたというその手紙には、自分という人間がいたことを、家族に忘れないで欲しいと何度も繰り返し書かれています。この話は『緑はよみがえる』に出てくる若い中尉のエピソードと繋がっているようですね。
主な舞台となった塹壕は、内部を撮影するためのものと外観を撮影するためのもの、それぞれ標高の違う場所2か所に作ったそう。標高の低い方(それでも1100m!)に作った内部撮影用のセットは今もまだそのまま残されているそうです。
オルミ監督ご自身も、塹壕セットから車で数分のところに、自ら設計された家に1976年(『木靴の樹』を製作する2年前)から住んでいらっしゃいます。奥様は、オルミ監督の長篇2作目『就職』('61)に18歳で出演し、そのまま監督と結婚されそれ以降は映画に出てらっしゃらないそうです。『就職』撮影中の写真では、奥様の肩に手をおく監督の姿が。オルミ監督のイタリア男な一面を垣間見られるエピソードです。
そのほか、主要人物の役を演じられたクラウディオ・サンタマリアさん、アレッサンドロ・スペルドゥーティさんや、塹壕セットを作った方、軍曹役で出演された地元の方、音楽を担当された方などのエピソードも写真とともにご紹介いただきました。
最後には、オルミ監督から日本のみなさんへのメッセージ動画も。こちらからも見られますのでぜひどうぞ。
ちなみに上映期間中、当館ロビーにて塹壕セットのジオラマ作品を展示中! なんと工藤さんのご友人が作成されたものだそうです。オルミ監督の直筆サイン入りポスターとともに展示しておりますので、ぜひご覧になってくださいね。
工藤さん、貴重なお話をどうもありがとうございました!
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