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「早稲田松竹クラシック」特集の記念すべきvol.100にお送りするのは、世界的な奇才・鈴木清順監督が大正時代を舞台に描いた
『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』の通称「浪漫三部作」怒涛の一挙上映です!

50年代から60年代にかけて、日活製作で任侠映画やギャング映画の型破りな傑作を世に放った清順が、
より自由な製作体制で創造力をさらにフルスロットルにさせた驚異の作品群。
この三作の前では、誰もがまるで子どものようにその不条理さに翻弄され、おののき、
そしてその現世ばなれした美しさに陶然とすることになります。
つづけて体験すれば、映画の「おもしろさ」の概念が決定的に変わってしまうこと確実。

さあ、この機会にセンス・オブ・ワンダーな清順ワールドを巡る旅へと、参りませう!

※鈴木清順監督プロフィールはこちらをご覧ください。

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ツィゴイネルワイゼン
(1980年 日本 144分 35mm SD/MONO)
pic 2015年6月20日から6月26日まで上映 ■監督 鈴木清順
■原作 内田百
■製作 荒戸源次郎
■脚本 田中陽造
■撮影 永塚一栄
■編集 神谷信武
■美術 木村威夫/多田佳人
■音楽 河内紀

■出演 原田芳雄/大谷直子/藤田敏八/大楠道代/真喜志きさ子/麿赤児/樹木希林

■第31回ベルリン国際映画祭審査員特別賞/第4回日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀助演女優賞(大楠道代)・最優秀美術賞/第23回ブルーリボン賞監督賞・特別賞受賞/1980年度キネマ旬報ベストテン日本映画第1位 ほか多数受賞・ノミネート

むかし、男のかたわらには
そこはかとない
女の匂いがあった。
男にはいろ気があった。

pic士官学校教授の青地と元同僚で無頼の友人・中砂(なかさご)は、旅先で弟の葬式帰りだという芸者・小稲に会う。1年後、結婚したという中砂の家を青地が訪れると、その妻・園は小稲に瓜二つであった。

中砂と園のあいだに娘が生まれ、青地の名をとって豊子と名づけられるが、翌年、園はスペイン風邪にかかり幼い豊子を残して死ぬ。新しい乳母ができたという中砂邸を訪ねた青地は、園が赤ん坊を抱いているので驚くが、それは小稲であった。

中砂が死んで数年後、美しい少女に成長した豊子を連れて小稲が青地の家にやってきた。そして、中砂がサラサーテのレコードを貸したはずだから返してほしいと言う…。

pic77年、怪作『悲愁物語』(こちらも必見)で映画界に10年ぶりの復帰を果たした清順が、続けて手がけたさらに輪をかけてふしぎな映画。飄々としたユーモラスな語り口に誘われるうちに、この世ではない光景を覗いてしまう戦慄を描いた衝撃作。主演は『八月の濡れた砂』などの映画監督・藤田敏八と名優・原田芳雄。対照的なふたりの醸し出す独特の魅力もさることながら、あまりにも異様な一人二役を演じる大谷直子の人間離れした美しさから目が離せない! 観る者の魂すら持って行ってしまうような、危険な色気に満ちた一本。

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陽炎座
(1981年 日本 139分 35mm SD/MONO)
pic 2015年6月20日から6月26日まで上映 ■監督 鈴木清順
■原作 泉鏡花
■製作 荒戸源次郎
■脚本 田中陽造
■撮影 永塚一栄
■編集 鈴木晄
■美術 池谷仙克
■音楽 河内紀

■出演 松田優作/大楠道代/中村嘉葎雄/楠田枝里子/原田芳雄/加賀まりこ/大友柳太朗/麿赤児

■第5回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞(中村嘉葎雄)/1981年度キネマ旬報ベストテン日本映画第3位

三度びお会いして、
四度目の逢瀬は恋になります。
死なねばなりません。
それでもお会いしたいと思うのです。

pic大正末年の1926年。新派の劇作家・松崎春孤は落とした付け文が縁で品子という美しい女に会う。その後も偶然というには出来すぎたかたちで三度会う不思議を、パトロンの玉脇に話す。しかし、品子と三度目に会い一夜をともにした部屋が、玉脇の邸宅の一室とそっくり同じであることを発見してしまう。

そんなとき、松崎の前にもう一人の美女イネが現れ「玉脇の妻です」と名乗るが、イネは重い病気で松崎が出会う直前に病院で息を引き取っていた――。

pic前作『ツィゴイネルワイゼン』が清順流の怪奇映画だとすれば、本作は現世と死者の世界を彷徨う男と女を描いた清順流の異形のラブストーリー。観る者の予測を裏切り続けるカットのつながりやカメラワーク、人物の所作などによって立ち上がる奇々怪々な異界は、観る者を強烈な陶酔へといざなう。終盤になだれ込む圧倒的な光景は、一度見たら生涯忘れられないだろう。清順のフィルモグラフィの中でもひとつの頂点をなす、繊細にして過激な大傑作。大楠道代、加賀まりこ、楠田枝里子などの華やかな女優陣と共に、「止まりながら走って下さい」といった、清順演出の洗礼を受けた松田優作の静謐な熱演に注目!

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夢二
(1991年 日本 128分 35mm ビスタ/MONO)
pic 2015年6月20日から6月26日まで上映 ■監督 鈴木清順
■製作 荒戸源次郎
■脚本 田中陽造
■撮影 藤澤順一
■編集 鈴木晄
■美術 池谷仙克
■音楽 河内紀/梅林茂

■出演 沢田研二/坂東玉三郎/毬谷友子/宮崎萬純/広田玲央名/ 大楠道代/原田芳雄/長谷川和彦/麿赤児

絵描きはたいてい女好き。
惚れろ惚れろ女ども。
男は甘えて膝枕、
夢の話を繰り返す。

picシルクハットの人の群れと、ふわふわと舞う紙風船。かきわける夢二。フロックコートの男と向き合い、夢二はふざけ半分に引き金を弾くが、もとより当てるつもりはない。しかし男はゆっくりと、夢二に銃口を向ける。竹久夢二は悪夢にとりつかれている。

恋人の彦乃と駆け落ちするため金沢の湖畔にやってきた夢二は銃声を聞く。隣の村で殺人があったという。稀代の殺人鬼・鬼松が妻と妻を寝盗った男・脇屋を殺して山に逃げ込んだのだ。浮かび上がってくるはずの夫・脇屋の死体を待つ女・巴代と湖上で出会う夢二。逢瀬を重ねる夢二と巴代。忍び寄る脇屋の影。フロックコートの男は脇屋だったのだ。悪夢が現実となって夢二に迫る――。

pic軽やかな諧謔精神に満ちた『夢二』は、前二作のテーマを引継ぎつつ、まぎれもなく新たな地平に到達した驚愕の一本。紅葉豊かな金沢を舞台にしているのに、一体全体何処の国の映画を観ているのか判らなくなるほどアナーキーな画面のつらなりから生まれる昂揚感は圧巻の一言。公開当時「『夢二』というタイトルの意味は黒澤明監督の『夢』のパート2ということです」と清順は冗談めかして言ったというけれど、まさに極彩色の夢の論理を覗き見ているような気持ちにさせられる作品。 竹久夢二を飄々と演じる沢田研二や、夢二美人を体現した宮崎萬純の他、初の「男役」に挑んだ坂東玉三郎や殺人鬼を演じる伝説の映画監督・長谷川和彦など、清順映画らしくひと癖ある豪華絢爛な出演者たちも愉しい、「浪漫三部作」堂々の最終作!

(ルー)

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