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今週上映の『紙の月』『空中庭園』の原作者・角田光代さんは、映画『八日目の蝉』
ドラマ「対岸の彼女」、また「紙の月」「八日目の蝉」は連続ドラマ化もされるなど、映像化作品が非常に多い作家さんです。
そうとは知らずにご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。

『空中庭園』は豊田利晃監督(『青い春』)が「家族間では隠しごとを一切しない」というルールを持つ家族を描いたドラマ。
母親は家族が幸せに暮らすため、この一風変わったルールに固執するのですが、実は夫も娘も息子も、
さらに彼女自身もが誰にも言えない「秘密」を抱えています。
母親を演じた小泉今日子さんは、家族の「秘密」が明らかになっていくにつれ、苦しみを募らせていくさまを体現。
特に雨の中、全身全霊で感情を爆発させるシーンは豊田監督の刺激的な演出とも相まって圧巻です。

一方、『紙の月』は、横領を犯した女性銀行員の顛末を描くサスペンスドラマ。
『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が、破滅へと突き進む女性の姿を、スピーディーな展開で描いています。
この物語の主人公もまた「秘密」を抱えている一人です。

ごく平凡で真面目だった彼女が、若い男に入れ込み、その恋人にも夫にも黙って、信じられないほどの金を使い込んでいく。
その姿を観ていると、なぜ彼女がそこまでするのか、なぜ止められないのか、本当に男のためだけなのか、
彼女は一体どうなってしまうのか――。彼女への興味は加速度的に高まり、ラストまではあっという間です。
主人公を演じた宮沢りえさんは、こちら側の世界から(行ってはいけない)あちら側の世界へと、
堕ちていく女性を迫真の演技でみせ、観客をぐいぐいと物語の世界へと引き込んでいきます。

両作品を通してわたしたちは、彼女たちがなぜその「秘密」を持つようになり、なぜ守ろうとするのか、見届けることになります。
そして彼女たちに訪れる結末を知ったとき、感じることは観客それぞれ皆違うと思います。
そういう映画は良い映画であると思うし、今週の二本は「そういう映画」です。

(かわうそ)

空中庭園
(2005年 日本 114分 35mm ビスタ/SR) pic 2015年3月28日から4月3日まで上映 ■監督・脚本 豊田利晃
■原作 角田光代「空中庭園」(文藝春秋刊)
■撮影 藤澤順一(J・S・C)
■編集 日下部元孝
■主題歌 UA「この坂道の途中で」
■音楽監督 ZAK

■出演 小泉今日子/板尾創路/鈴木杏/広田雅裕/國村隼/瑛太/今宿麻美/勝地涼/ソニン/永作博美/大楠道代

たったひとつだけ、
私は家族に隠していることがある。

pic今や「ダンチ」と呼ばれているニュータウンの一室に暮らす京橋家。“家族間では秘密をつくらない”という自分たちで作ったルールを守ることもできず、それぞれ誰にも言えない秘密をもっていた。娘のマナは、学校をサボり、巨大ショッピングセンターで時間を過ごし、時には見知らぬ男性とラブホテルに向かう。弟のコウもまた学校に行っていないようだし、父・貴史は浮気に忙しく、長年の恋人・飯塚に付きまとわれたり、新しい恋人ミーナの若さに振り回されている。

妻・絵里子もベランダのガーデニングに丹精を込めつつも、内心、母・さと子とのこれまでの関係に悩み、手に入れた家族を守ることに必死になっている。ふとしたきっかけから、ミーナがコウの家庭教師として京橋家に乗り込んできた! “存在するはずのない”お互いの秘密が暴露されはじめて…。

家族っていったいなんなのか。
それを知りたくてこの小説を書いた。
書いても見つけられなかった答えを、この映画は見せてくれた。
                          ―――角田光代

pic『青い春』で男の子たちの青春をライブ感覚で描き出し絶賛された豊田利晃が、本作では“女性”を描くことに挑戦している。原作は、第3回婦人公論文芸賞を受賞した角田光代の同名小説。静かな怒りを内包した角田作品の“毒”と、豊田監督の持つ“ドライヴ感”が共鳴し、映画は一瞬たりとも目が離せない緊張感を保ち、一気にクライマックスまで駆け抜ける。走り続けるストーリーと、形を変え続ける感情、そのダイナミクスは妨げられることなく観客をぐいぐいと作品に引き込んでゆく。

pic出演は、主婦・絵里子を小泉今日子、その母・さと子役を大楠道代が演じ、物語のバックボーンとなる母娘関係に説得力をもたせる卓越した名演を生みだした。そして、娘・マナを鈴木杏、夫・貴史を板尾創路、息子・コウを広田雅裕が演じ“京橋家”が完成した。そのほか永作博美、ソニン、國村隼、勝地涼、瑛太など、実力派キャストが集結し、見ごたえのある人間ドラマを作りあげている。

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紙の月
(2014年 日本 126分 DCP PG12 ビスタ) pic 2015年3月28日から4月3日まで上映 ■監督 吉田大八
■原作 角田光代「紙の月」(ハルキ文庫刊)
■脚本 早船歌江子
■撮影 シグママコト(J.S.C.)
■編集 佐藤崇
■主題歌 ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ「Femme Fetale」
■音楽 little moa/小野雄紀/山口龍夫

■出演 宮沢りえ/池松壮亮/大島優子/田辺誠一/近藤芳正/石橋蓮司/小林聡美

平凡な主婦が起こした、巨額横領事件。
何不自由ない生活を送っていたはずの彼女に、
何が起きたのか――。

picバブル崩壊直後の1994年。夫と二人暮らしの主婦・梅澤梨花は、銀行の契約社員として外回りの仕事をしている。細やかな気配りや丁寧な仕事ぶりによって顧客からの信頼を得て、上司からの評判も高い。何不自由ない生活を送っているように見えた梨花だったが、自分への関心が薄い夫との間には、空虚感が漂いはじめていた。

そんなある日、梨花は年下の大学生、光太と出会う。光太と過ごすうちに、ふと顧客の預金に手をつけてしまう梨花。最初はたった1万円を借りただけだったが、その日から彼女の金銭感覚と日常が少しずつ歪み、暴走し始める――。

角田光代×吉田大八×宮沢りえ
日本映画界最高峰のコラボレーション!
感情を揺さぶる衝撃のヒューマンサスペンス

pic2011年に映画化された『八日目の蝉』をはじめ、女性を中心に抜群の信頼性と人気を誇る直木賞作家、角田光代のベストセラー小説「紙の月」が、ついに映画化された。監督は、第36回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八。一人の女性が、「聖」と「悪」の両面を抱えながら能動的に堕ちていく様を、スピード感のあるサスペンス大作として完成させた。

pic主人公・梅澤梨花を演じるのは、今や日本を代表するトップ女優として舞台・テレビと八面六臂の活躍を見せる宮沢りえ。相手役となる光太には、近年目覚ましい若手実力派の池松壮亮。そして、映画オリジナルキャラクターの銀行窓口係を大島優子、ベテラン事務員を小林聡美が演じ、銀行内で繰り広げられるサスペンスに奥行きを与えている。そのほか田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司と、重厚で豪華な共演陣が集結した。

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