日々の暮らしに追われ、いつもと同じ道を歩き、見慣れた景色を眺める。
そこから抜け出したら、めくるめく世界が広がっているかもしれない!
旅をするときって、日常から離れる楽しみで胸いっぱいになりますよね。
映画を観るのも、それに似ているような気がしませんか??
今週の早稲田松竹は 『それでも恋するバルセロナ』と 『ミッドナイト・イン・パリ』の二本立て。
ウディ・アレン監督が描くアバンチュールなバルセロナとロマンティックなパリへといざないます。
美しい異国の地に魅せられた主人公たちは、きらめく魔法にかかり、
情熱的な恋をして、夢のような時間を過ごします。
その国ならではの至福の時を満喫し、いつもより大胆な自分になり、
「これが本当の自分」「これが理想の人生だ」と、酔いしれるのです。
でもそれは、
束の間の恋、うたかたの夢。
彼らが夢から覚めた時、旅は終りを告げるのです。
まるで12時の鐘で引き戻されるシンデレラのように。
ウディ・アレン監督の頭に浮かんだ世界。
監督はロマンティックでキラキラ輝く浮世離れしたその世界に、
たっぷりのユーモアと少しの皮肉を加えて物語を締めます。
これを見たら、きっと、あなたも魔法にかかるはず。
それでは、夢の旅へ、いってらっしゃいませ。
それでも恋するバルセロナ
VICKY CRISTINA BARCELONA
(2008年 スペイン/アメリカ 96分 ビスタ/SRD)
2012年11月17日から11月23日まで上映
■監督・脚本 ウディ・アレン
■撮影 ハビエル・アギーレサロベ
■プロダクションデザイン アライン・バイネ
■衣装デザイン ソニア・グランデ
■出演 ハビエル・バルデム/ペネロペ・クルス/スカーレット・ヨハンソン/パトリシア・クラークソン/ケヴィン・ダン/レベッカ・ホール/クリス・メッシーナ
ヴィッキーとクリスティーナは親友同士。ヴィッキーは慎重派で、堅実な彼と婚約中。一方のクリスティーナは恋愛体質な自由人。2人はアメリカを離れ、ひと夏をバルセロナで過ごすことに。ある日、2人はセクシーな画家、ファン・アントニオと出会う。クリスティーナが一目で恋に落ちる一方で、ヴィッキーも少しずつ、戸惑いながらも彼に惹かれていく――。ヴィッキーの悩みとは裏腹に、順調に付き合いだしたクリスティーナとファン・アントニオ。そこに彼の元妻、激情的な天才、マリア・エレーナまで現れて…!?
2009年のアカデミー賞受賞、そしてゴールデン・グローブ賞を受賞したウディ・アレンの“恋”の傑作、『それでも恋するバルセロナ』。舞台はそれまでのニューヨークやロンドンとは真逆、太陽が降り注ぐロマンチックな街、バルセロナへ。恋するゴージャスなキャストに、本作がアレン作品主演3作目となったミューズ、スカーレット・ヨハンソン。本作でアカデミー賞を受賞したペネロペ・クルス。新星レベッカ・ホールに加え、『ノーカントリー』のオカッパ殺人鬼から一転、セクシーなモテ男にハビエル・バルデム。今も大活躍中のゴージャスなスターたちが一同に会した。
性格も嗜好もかけ離れた3人の女と、1人の男。恋し、恋され、入り乱れ、4人の関係は予想だにしない怒涛の展開を迎える。この恋、最後に勝つのは恋する情熱か、冷静な自分か? 女心を熟知する魔術師ウディ・アレン。彼が本作で描くのは、ままならない男女関係のみならず、それでも人を惹きつけてやまない恋の魔力。あなたもきっと、バルセロナで恋に落ちたくなる――。
ミッドナイト・イン・パリ
MIDNIGHT IN PARIS
(2011年 スペイン/アメリカ 94分 ビスタ/SR)
2012年11月17日から11月23日まで上映
■監督・脚本 ウディ・アレン
■撮影 ダリウス・コンジ
■プロダクションデザイン アン・シーベル
■衣装デザイン ソニア・グランデ
■編集 アリサ・レプセルター
■音楽 アレクサンドル・デスプラ
■出演 オーウェン・ウィルソン/マリオン・コティヤール/レイチェル・マクアダムス/キャシー・ベイツ/ エイドリアン・ブロディ/カーラ・ブルーニ/マイケル・シーン/ニナ・アリアンダ/カート・フラー/トム・ヒドルストン/ミミ・ケネディ/アリソン・ピル/レア・セドゥー/コリー・ストール
■アカデミー賞脚本賞受賞、作品賞・監督賞・美術賞ノミネート/ゴールデン・グローブ脚本賞受賞、作品賞・男優賞・監督賞ノミネート/放送映画批評家協会賞オリジナル脚本賞受賞、作品賞・コメディ映画賞ノミネート/英国アカデミー賞オリジナル脚本賞ノミネート/インディペンデント・スピリット賞助演男優賞・撮影賞ノミネート ほか受賞・ノミネート多数
2010年夏、ハリウッドの売れっ子脚本家ギルは、婚約者と憧れの街パリにやって来た。それなのにどこか満たされない彼は、本格的な作家に転身し、ボヘミアンな人生を夢見ている。そんなギルが深夜0時を告げる鐘の音に導かれ、さまよい込んだ先は、活気漲る芸術&文化が花開いた1920年代だった! これは夢か、はたまた幻かと驚くギルの前に、次から次へと高名なる人物を名乗る面々と、官能的な美女アドリアナが現れて…。
本作は、現実逃避的な主人公が夜ごとタイムスリップを繰り返し、偉大な芸術家たちにめぐり会う奇想天外な物語。ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、ピカソ、ダリ、ルイス・ブニュエル、ロートレック、ゴーギャンらの偉人キャラクターが心憎いほどぞろぞろと登場するのだから、一瞬たりとも目が離せない!
セーヌ河岸、オランジュリー美術館、ロダン美術館、ジヴェルニーのモネの庭園、ヴェルサイユ宮殿、マキシム・ド・パリ…有数の名所を舞台にウディ・アレンが初めて全編パリで撮り上げた本作は、昨年のカンヌ国際映画祭のオープニングを飾り、熱狂的に迎えられる。その後、全米で公開されるや、アレン史上最大のヒットを記録し、本年度ゴールデン・グローブ賞の脚本賞を受賞。その勢いに乗ってアカデミー賞では、作品・監督・脚本・美術の主要4部門にノミネートされ、見事に脚本賞でのオスカー獲得を果たす。ちなみに作品賞候補に名を連ねるのは『ハンナとその姉妹』(86)以来、実に25年ぶり。そして、今回で遂に15本のノミネートを数えた脚本賞も最高賞に輝く結果となり、話術の達人たる所以を証明して見せた。
監督生活47年、監督作42本目にして、自己最高の興行成績を樹立したウディ・アレン最新作『ミッドナイト・イン・パリ』。誰もがきっと夢中になる、遊び心たっぷりの“世紀のホラ話”をご堪能あれ!