こんなにパーフェクト・マッチで愉快な二本立てが実現するなんて! 我ながらスゴイぞ、早稲田松竹。ということで、今週上映するのは去年世界で抱腹絶叫の大ヒットを飛ばした2本、「キック・アス」と「ゾンビランド」です。
ルックからストーリーからB級の匂いがプンプンする両作品ですが、だてにヒット飛ばしてません。完成度の高さは誰もが納得のA級レベル(でもやっぱりB級臭い、そこが良い)! この手の映画ファンも大満足のお約束パターンをしっかり押さえつつ、今までになかった斬新さをミックスして新しい観客の掴みもバッチリ!
注目すべきは“ギャップ”の絶妙な配合です。格好良さとダサさ、ダンディーさと貧弱さ、愛らしさと残虐さ、派手さと地味さ、過激さと平凡さ等々、相反する要素をぎゅっと詰め込んでおきながらも決して崩れない最高のバランス。格好良ければ良いほどダサく、ダサければダサいほど格好良い…これが笑えるったらもう。
私のイチオシは「キック・アス」に登場するザ・ギャップ親子。こんなに輝いてるのを久しぶりにみた!…かもしれないニコラス・ケイジ扮する“ビッグ・ダディ”と、主役を食う勢い!…のクロエ・グレース・モレッツ扮する“ヒット・ガール”の2人です。普段は柔和でちょっとダサい平凡なパパと、目に入れても痛くないくらい愛らしい娘が、戦闘モードになると豹変。泣く子も黙る残忍冷酷タフガイ×大量殺戮美少女となって、敵をバッタバッタとなぎ倒していきます。ヒーローというよりプロの殺し屋と呼んだほうがいいくらい豪快ですが、実は固い親子の絆で結ばれているのもポイント。華麗なパフォーマンスでド肝を抜くだけでなく、ひと際熱い涙も誘ってくれちゃいます。
世界中でハマる人が続出した理由でもあるこの“ギャップ”の驚異的なバランスは、抜群のセンスと高度なテクニックがあったからこそなせた技。B級だとなめてかかると痛い目にあう実力…そこには「ヒーロー」や「ゾンビ」という映画界鉄板のテーマへの揺るぎない愛情と、新たな角度から勝負を仕掛ける本気が可能にした全く新しい面白さがあります。
さあ皆さんも、笑って泣いて大興奮!
早稲田松竹が自信をもっておすすめするノンストップのエンターテインメント・ライドに乗って、
この衝撃を体感してみませんか?
ゾンビランド
ZOMBIELAND
(2009年 アメリカ 88分 シネスコ/SRD)
2011年4月23日から4月29日まで上映
■監督 ルーベン・フライシャー
■撮影 マイケル・ボンヴィレイン
■音楽 デヴィッド・サーディ
■出演 ウディ・ハレルソン/ジェシー・アイゼンバーグ/アビゲイル・ブレスリン/エマ・ストーン
新型ウィルスの爆発的流行により、人類の大半が人喰いゾンビと化し、地上がゾンビだらけの“ゾンビランド”となってしまった世界。臆病で胃腸が弱く、引きこもりの青年コロンバスは、“ゾンビの世界で生き残るための32のルール”を作り、それを慎重に実践して生き延びてきた。
ある日、彼は屈強な腕力と抜群の射撃テクニックでゾンビ地獄を生き抜いてきたワイルドな男タラハシーと出会い、行動をともにする。更に、したたかな処世術を身に付けた詐欺師の美しい姉妹ウィチタとリトルロックも仲間に加わった。それまで他人とまともに接したことのなかったコロンバスにとって、それははじめて生きている事を実感し、友情や恋を体験することができた、かつてなく楽しい冒険の日々。やがて、4人はゾンビのいない天国があるという噂を信じ、ロサンゼルス郊外の遊園地“パシフィックランド”を目指すのだが…。
血肉飛び散る衝撃のホラー! スリリングな戦慄のサスペンス! 興奮のバトルが連続する怒涛のアクション・ロードムービー! 主人公の成長を描いた爽快な青春ラブストーリー! 誰もが喜ぶマル秘ゲストの痛快サプライズ! そして、随所にナンセンスなギャグとマニアックな映画ネタ・パロディを散りばめた爆笑のコメディ! これはただのゾンビ映画ではなく、娯楽映画の要素をすべて盛り込んだ極上のアドベンチャー・エンターテインメントである。
キック・アス
KICK-ASS
(2010年 アメリカ 117分 シネスコ/SRD)
2011年4月23日から4月29日まで上映
■監督・製作・脚本 マシュー・ヴォーン
■製作 ブラッド・ピット
■原作・製作総指揮 マーク・ミラー/ジョン・S・ロミタ・Jr
■脚本 ジェーン・ゴールドマン
■撮影 ベン・デイヴィス
■音楽 ジョン・マーフィ/ヘンリー・ジャックマン/マリウス・デ・ヴリーズ/アイラン・エシュケリ
■出演 アーロン・ジョンソン/クリストファー・ミンツ=プラッセ/マーク・ストロング/クロエ・グレース・モレッツ/ニコラス・ケイジ
NYに住むデイヴは、オタクでスーパーヒーローに憧れる平凡な高校生。不良に絡まれても何もできず、目撃者も助けてはくれない。そんな現実に嫌気がさしたデイブは、思い切ってインターネットで買った自前のスーツとマスクを装着、勝手にヒーロー活動を開始する! しかし、突然強くなるわけもなく、初日に犯罪者に出くわしたデイヴはあっさりボコボコにされてしまう。試合終了…と思いきや、その捨て身の活動がインターネットで話題になり、“キック・アス”の名で一躍有名に!
この活躍が地元マフィアのボス・ダミコの目に留まり、事態は思いもよらぬ展開を見せる。ダミコは全てのトラブルをキック・アスのせいだと思い込み、彼を抹殺するよう部下に命じた。同じ頃、超本格的な訓練を積んだ父と娘の最強自警団ペア“ビッグ・ダディ”&“ヒット・ガール”がデイヴの前に現れる。彼らはダミコ犯罪帝国を破壊しようと日々チャンスを窺っていたのだ。命を狙われるキック・アス、ダミコ帝国崩壊を狙うビッグ・ダディ&ヒット・ガール。果たして、銃撃も流血もいとわない過激バトルに飛び込んだ彼らの運命は――?
“キック・アス”を演じたのは、『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』など目覚ましい活躍を見せるアーロン・ジョンソン。特殊能力を持たず少し間抜けなキック・アスになるべく、ジョンソンは「クラッカーを食べながらソファに座っているだけの厳しい(?)訓練」を積んで撮影に挑んだ。
一方、主役を食う強烈なインパクトで話題をさらったのは、最強美少女“ヒット・ガール”を演じたクロエ・グレース・モレッツ。一晩に70回の腕立て伏せと70回の懸垂、バタフライナイフや致命傷を与える武器の扱い方など、撮影前の5カ月をハードな訓練にあてたという。そして生まれた超本格アクション+バイオレンスに加え、口から飛び出す超過激なワードの数々! まだあどけなさの残るキュートなルックスとのギャップに誰もがド肝を抜かれるはず。世界が夢中になったヒット・ガールのアブナイ魅力を見逃すな!