お祭りさわぎが大好きな皆さま。お待たせいたしました!霜月から師走へと駆け抜ける今週の早稲田松竹は、2010年お祭り映画のエース対決、愛すべき馬鹿ヤローどもの狂宴『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』と、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』の二本立てでお送りいたします。
アメリカでは、結婚式直前に新郎と親しい男性友人たちが独身最後の夜遊びに繰り出すバチェラー(独身者)パーティーと呼ばれる習慣があるそうですが、つまりは男友達が集まってとことんハメを外す夜。そんな一夜が『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』の舞台です。誰しも心当たりがあるであろう、気心知れた友達との、特別な夜のどんちゃん騒ぎ。ハシャぎ過ぎて翌日やっちまったと気づいても後の祭り。なのに、あいつの特別な夜だったから良しと、潔く後悔出来てしまうような夜の記憶を、緻密な脚本で想像の遥か斜め上をいく、どえらいスケールで作り上げた本作。低予算で有名スターを起用しなかったにも関わらず、『メリーに首ったけ』に大差をつけて、全米コメディ映画史上歴代No.1の興行収入を樹立してしまいました。
そんな『ハングオーバー!〜』で、ハンサムだけど女好き、いいかげんだが頼れる主人公を見事に演じたブラッドリー・クーパーが、今週の橋渡し役。『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』では、米軍最強の特殊部隊・Aチームの色男担当、“ブラジャーからミサイルまで何でも揃えてみせるぜ ”の調達屋フェイスに扮しています。ヒーローがウジウジと苦悩したり、現代の世相を鋭く風刺したりする余分な描写は一切なし。80年代に絶大な人気を誇ったテレビシリーズから10年以上も企画の練り直しを経て、映画化を実現させたカーナハン監督が、「僕がこのシリーズで好きだったのは、ドラマの設定云々よりも彼らの間にある仲間意識や愛情だったんだ」と語るように、とにかくぶっとい友情で結ばれた特攻野郎Aチーム。『シンドラーのリスト』、『第9地区』、そして『ハングオーバー!〜』の主人公と、元UFC世界ライトヘビー級王者が、“馬鹿な事をやらせたら右に出るものはいないぜ!”の4人組を結成とくれば、そりゃそんなチーム無敵ですよ。
コメディ映画は、その国の文化や背景を知らないと笑えないなんて言われますが、そんな心配一切ご無用の二本立て。「僕の映画は映画館で観るために作っている」と『ハングオーバー』のフィリップス監督は強調しています。「自宅のテレビで観ても価値が損なわれない映画もある。でもいくらテレビが大きくなっても、週末の夜に野郎どもが百人も集まって一緒に笑ったり叫んだりする体験だけは、映画館でしか味わえない。特に僕の映画は、主人公たちと観客がひとつになって初めて完成するんだよ。」
バカな男たちの、だからこそ恰好いい男の本音に溢れた今週の二本立て。だめ男の友情にホロリとし、その生き様に痺れるこの体験を、映画館で是非!!
特攻野郎Aチーム THE MOVIE
THE A-TEAM
(2010年 アメリカ 118分 シネスコ/SRD)
2010年11月27日から12月3日まで上映
■監督・脚本 ジョー・カーナハン
■脚本 ブライアン・ブルーム/スキップ・ウッズ
■撮影 マウロ・フィオーレ
■音楽 アラン・シルヴェストリ
■出演 リーアム・ニーソン/ブラッドリー・クーパー/クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン/ジェシカ・ビール/シャールト・コプリー/パトリック・ウィルソン
「作戦は奇を以ってよしとすべし!」…幾多の特殊ミッションを遂行し、輝かしい戦歴を刻んで来た米軍特殊部隊、<Aチーム>は、既に生ける伝説と化していた。イラクでの務めを終えて撤退しようとしていたジョン・ハンニバル・スミス大佐(通称ハンニバル)は、CIAのリンチからゲリラ集団が米ドル紙幣の原版を盗み、巨額の札束とともにバグダッドから運び出そうとしているという情報を告げられる。誇り高きハンニバルは、上官に<Aチーム>の出動を直談判。見事、ゲリラを豪快に蹴散らした<Aチーム>だったが、突然の爆発!その混乱に紛れ、原版が何者かによって持ち去られてしまう。「これは罠だ!」ハンニバルが気付いた時には後の祭り。軍法会議にかけられた<Aチーム>は、全員が監獄送りを宣言されてしまう!
「弱気を助け、悪をくじく」のガッツを貫き、筋の通らないことは絶対に許さない。そんな神出鬼没の4人が、いよいよ世界に殴り込みをかけた。1980年代に全米をはじめ日本でも絶大な人気を博した「特攻野郎Aチーム」が、満を持してスクリーンに進出!
ありえないほど豪快で奇抜なスペクタクル。思わず頬がゆるむ小粋な笑いのセンス。意外性に富んだハラハラドキドキのストーリー展開。そんなアクション映画の王道3カ条を威風堂々と徹底追及し、あらゆる世代の観客にとびきりの興奮と元気を与える痛快無比なエンタテインメント巨編、それが「特攻野郎Aチーム」なのだ。映画史上最強の4人組の、名誉を賭けた一大バトルを見逃すな!
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い
THE HANGOVER
(2009年 アメリカ 100分 シネスコ/SRD)
2010年11月27日から12月3日まで上映
■監督・製作 トッド・フィリップス
■脚本 ジョン・ルーカス/スコット・ムーア
■撮影 ローレンス・シャー
■音楽 クリストフ・ベック
■出演 ブラッドリー・クーパー/エド・ヘルムズ/ザック・ガリフィアナキス/ヘザー・グラハム/ジャスティン・バーサ/ジェフリー・タンバー
■ゴールデン・グローブ作品賞(コメディ/ミュージカル)/放送映画批評家協会賞コメディ映画賞/MTVムービー・アワードコメディ演技賞・トンデモ・シーン賞
結婚式を2日後に控えた新朗ダグは、独身最後の夜を満喫するため、悪友3人と共にラスベガスへ。高級ホテルのスイートでしこたま酒を浴び、バカ騒ぎする男たち。しかし、翌朝目が覚めると、部屋は無茶苦茶、花ムコの姿は消え、代わりに一頭の虎と赤ん坊が部屋の中に――。
昨夜の記憶が全くない!一体、彼らに何が起きたのか?結婚式は明日。鳴りやまない婚約者からの電話。この事態を彼女に隠し通し、とんでもない証拠品だけを頼りに、失った記憶と親友を取り戻せるのか!?
低予算で製作された本作は、口コミに次ぐ口コミを呼び、アメリカを全土を爆笑させた結果、全米コメディ映画史上歴代No.1という驚異的な興行収入を打ち立てた。ジョーク満載の、いわゆるアメリカンコメディとは一線を画す練り上げられた設定と巧妙な脚本を辛口の批評家たちからも賞賛を浴び、本年度ゴールデン・グローブ賞で作品賞を受賞する快挙を成し遂げた!
世界的に有名なスターはいないものの、本作には個性豊かな顔ぶれが揃っている。4人の主要男性陣は、アメリカのコメディファンなら、これまでもあちこちで見かけてきた実力派。4人の中でリーダー的存在であるフィルを演じたブラッドリー・クーパーは、最近も『イエスマン“YES”は人生のパスワード』『そんな彼なら捨てちゃえば?』など、ヒット映画に出演してきた。今回が初めてとなる主役級の役のおかげでスターの仲間入りを果たした彼は、PEOPLE誌恒例の「The Sexiest Man Alive」特集でもっともセクシーな男のひとりに名前を挙げられ、今後の主演作も続々と決定している。全米を、そして世界を驚愕させた2009年最大のメガ・ヒット・ムービー!