【2023/3/11(土)~3/17(金)】『アザー・ミュージック』『恋人はアンバー』// 特別レイトショー『サポート・ザ・ガールズ』

ジャック

1995年、同性愛が違法でなくなってから2年後のアイルランドを舞台とした『恋人はアンバー』。自身のセクシュアリティについて悩む高校生のエディとレズビアンであることを隠しているアンバーは、まだまだ偏見の残る田舎町で、卒業まで偽のカップルとして過ごし、平穏を得ようとします。自ら古い考え方にとらわれているエディにとって、ひょんなことから始まったこの関係は、自身を見つめなおすだけでなく、さらなる一歩を踏み出すきっかけとなっていきます。

2016年に閉店してしまったニューヨークのレコード店を追ったドキュメンタリー『アザー・ミュージック』。タワーレコードの向かいに店舗を構え、メジャーやインディーズ、ジャンルを問わず音楽との出会いを提供していたその場所では、多様な人が集まり、数々の発見がありました。店内でのライブも開催されており、まさにニューヨークにおける音楽文化の交流点といっても過言ではないでしょう。

どちらの作品も描いているのは出会いについて。世間の当たり前も実は一つの考え方に過ぎず、自分の知らない所では様々な人がいて様々な生き方や考え方、好みがあること。そんなことに気づかせてくれる人や場所と出会えたとしたらとても幸運なことです。一人ではたどり着けなかったところに、今手を伸ばそうとしているのかもしれない。そんな不安と期待に満ちた体験を暖かく映し出しています。

そしてこの二つの映画は出会いのすばらしさを語るだけでなく、環境が月日とともに変化していくことまで見据えているように思います。高校を卒業したあと、『恋人はアンバー』の二人はどうなっていくのでしょうか。また『アザー・ミュージック』が閉店したあと、スタッフやお客さんたちはどこに居場所をみいだしているのでしょう。映画の中だけでは語られない、その先のストーリーを想像してしまいます。時代の過渡期を背景に描かれる出会いと別れ。新しい変化とどう向き合っていくのかについての一つの記録であり、きっと私たちの今日にまで続いていると思わせてくれる作品です。

恋人はアンバー
Dating Amber

デイヴィッド・フレイン監督作品/2020年/アイルランド/92分/DCP/PG12/ビスタ

■監督・脚本 デイヴィッド・フレイン
■製作 レイチェル・オケイン/ジョン・ケヴィル
■撮影 ルーリー・オブライエン
■編集 ジョー・ソーヤー
■音楽 ヒュー・ドラム/スティーブン・レニックス
■衣装 ジョアン・オクレイ

■出演 フィン・オシェイ/ローラ・ペティクルー/シャロン・ホーガン/バリー・ワード/シモーヌ・カービー

■第17回アイリッシュ映画&テレビ賞(IFTA)2部門受賞・8部門ノミネート/第32回ニューヨークLGBTQ映画祭特別賞受賞

© Atomic 80 Productions Limited/ Wrong Men North 2020, All rights reserved.

【2023年3月11日から3月17日まで上映】

ふたりだから、自分に出会えた――。

1995年、同性愛が違法でなくなってから2年後のアイルランド。同性愛者への差別や偏見が根強く残る田舎町で、自身がゲイであることを受け入れられない高校生・エディと、レズビアンであることを隠しているクラスメイトのアンバー。家族や同級生にセクシュアリティを悟られないように平穏に卒業を迎えるため、2人は“ニセモノの恋人”を演じることに!

性格も趣味も全く違う2人だったが、ぶつかり合いながらも、悩みや夢、秘密を打ち明けるうちに、唯一ありのままの自分をさらけ出せる、かけがえのない存在になっていく。しかし、一緒に訪れた都会・ダブリンで、運命的な出会いによって新たな世界に触れた2人は、“理想的”だったこの関係にも終わりが近づいていることに気づいてしまい…。

アイルランドから届いた、ユーモラスでチャーミングな青春映画の傑作!!

アイルランドで2020年に封切られたのを皮切りに、各国で公開・配信され圧倒的な共感を集めた本作。第17回アイリッシュ映画&テレビ賞(IFTA)で8部門ノミネート、2部門受賞の快挙を達成し、第32回ニューヨークLGBTQ映画祭「New Fest」特別賞を受賞。日本国内でも、第29回レインボー・リール東京、第31回 映画祭TAMA CINEMA FORUM、第20回EUフィルムデーズですでに上映が行われ、各回満席となった。

劇中音楽は『Once ダブリンの街角で』で知られるヒュー・ドラムが担当。挿入歌としてPULPの「Mile End」やU2の「All I Want Is You」など、UK・アイルランド発の名曲たちが全編を彩る。また、衣装は、本作でIFTAのコスチュームデザイン賞にノミネートされた、ジョアン・オクレイが担当。アイルランドならではの美しい風景と音楽・衣装そのすべてがマッチし、懐かしい90年代を切り取ったこの映画をよりエモーショナルに昇華させている。

閉鎖的な社会で自分らしく生きることを求めてもがきながら、特別な関係を築き成長していくエディとアンバー。彼らが最後に下す決断に、晴れやかな感動が押し寄せる。アイルランド中が恋に落ちた、最高にユーモラスでチャーミングな青春映画の傑作が、日本上陸!

アザー・ミュージック
Other Music

プロマ・バスー | ロブ・ハッチ=ミラー監督作品/2019年/アメリカ/85分/DCP/ビスタ

■監督・製作 プロマ・バスー/ロブ・ハッチ=ミラー
■撮影 ロブ・ハッチ=ミラー/プロマ・パスー/マイク・ロセッティ
■編集 グレッグ・キング/エイミー・スコット
■音楽監督 ドーン・サッター・マデル
■音楽監修 ティファニー・アンダース
■プロデューサー デレク・イップ/エメット・ジェームズ

■出演 クリス・ヴァンダルー/ジョシュ・マデル/トゥンデ・アデビンペ/ジェイソン・シュワルツマン/JD サムソン/マット・バーニンガー/レジーナ・スペクター/マーティン・ゴア/ベニチオ・デル・トロ/オノ・ヨーコ/アニマル・コレクティヴ/ニュートラル・ミルク・ホテル/ヴァンパイア・ウィークエンド

© 2019 Production Company Productions, LLC

【2023年3月11日から3月17日まで上映】

イースト・ヴィレッジのランドマーク。異次元への扉。インディーズの砦──

2016年の夏、音楽文化になくてはならない場所として愛されてきたニューヨークのレコード店「アザー・ミュージック」が閉店した。マンハッタンのイースト・ヴィレッジに店を構え、通りの向かい側にそびえる大手レコードストアに向こうを張って”その他の音楽”と名付けられたこのインディーレコード店は、ただCDやレコードを販売するだけの店ではなかった。そこには人々がバンドを結成し、レコードレーベルを立ち上げ、キャリアをスタートさせる気風があり、インターネット普及前夜の音楽ファンにとってはメジャー/インディーズを問わず新しい音楽に出会うことのできる貴重な場にもなっていた。

しかし社会状況や音楽業界の変化により、レコード店は苦境に立たされてきた。最近ではほとんどの人が音楽をサブスプリクションでストリーミング再生しており、かつてのようにお店に通うことは稀になってしまったからだ。人が集まることで文化を形成するコミュニティが存続の危機に立たされている中で、このドキュメンタリーはアザー・ミュージックという場所が人々にとってどのような意味を持っていたのか問いかけ、そしてその精神が受け継がれていくことへの希望を掲げている。

ニューヨーク、伝説のレコードショップ “OTHER MUSIC”。その波乱万丈な21年間を追いかけた、 愛と汗と涙のドキュメンタリー。

本作のために、店のオーナのクリス・ヴァンダルーとジョシュ・マデルをはじめ、仕入れや接客などで個性を発揮するスタッフたち、そしてアニマル・コレクティヴやヴァンパイヤ・ウィーケンドなど店に縁のある多くのミュージシャンへのインタビューが実現。また盛んに行われてきた数々のインストアライブ映像なども交えながら、アザー・ミュージックの20年以上の歴史を辿る。

監督はプロマ・バスーとロブ・ハッチ=ミラーの二人組。かつてアザー・ミュージックの店員と常連客という関係だったロブとプロマは、店での出会いをきっかけに公私にわたるパートナーになった。本作はクラウドファンディングで資金調達したことでも話題となり、多くの人のサポートを得て、2019年のトライベッカ映画祭でプレミア上映された。

【特別レイトショー】サポート・ザ・ガールズ
【Late Show】Support the Girls

アンドリュー・ブジャルスキー監督作品/2018年/アメリカ/93分/DCP/ビスタ

■監督・脚本 アンドリュー・ブジャルスキー
■製作 ヒューストン・キング/ サム・スレイター
■撮影 マティアス・グランスキー
■編集 カレン・スクロス
■音楽監修 リズ・ローソン

■出演 レジーナ・ホール/ヘイリー・ルー・リチャードソン/シャイナ・マクヘイル/ジェームズ・レグロス/ディラン・ゲルーラ/アマンダ・ミシェルカ

■2018年ニューヨーク映画批評家協会賞主演女優賞受賞

★本作品はレイトショー上映です。
☟入場料金
一律1000円/割引なし
★チケットは、朝の開場時刻より受付にて販売いたします(当日券のみ)。

©︎2018 Support The Girls, LLC All Rights Reserved.

【2023年3月11日から3月17日まで上映】

明日の私たちは、もっと強い

リサ・コンロイは高速道路沿いにあるスポーツバー、ダブル・ワミーズでマネージャーを務めていた。 彼女は高圧的で人種差別を行う店のオーナーであるカビーに嫌気がさしており、また日常的に行われる客からの従業員の女の子たちへの嫌がらせやセクハラなどへの対処に頭を悩ませているが、その面倒見の良さから従業員や常連客からの信頼は厚い。

ある日、リサは暴力的な彼氏との間で揉め事を起こし裁判沙汰になっている店員のシャイナのため、「シスターフッド・ファンド(姉妹のための募金)」と名付けた洗車サービスを開始するも、カビーからその違法なサービスを咎められ、募金で得た金を全て没収されそうになる。かねてよりそりが合わない二人はぶつかり合い、ついにリサはガビーからクビを言い渡される。しかし彼女を慕うメイシーやダニエレらの店員は、リサの解雇に反発し、スポーツバーが賑わう格闘技の試合がある夜にストライキを画策するのだが…。

オバマ元大統領も認めた現代のガールズパワームービー!

日常の生活に蔓延する女性蔑視と人種差別に、友情と信念で立ち向かう女性たちを描き出した『サポート・ザ・ガールズ』は“マンブルコアのゴッドファーザー”とも名高いアンドリュー・ブジャルスキーがメガホンを執った。一見「どこにでも存在する」、だが誰もが知っている「違和感」をパワフルかつユーモラスに切り取った本作は、SXSWを皮切りに世界中の映画ファンを魅了。毎年発表されているオバマ元大統領が発表するフェイバリットにも選出された。

俳優陣たちの演技は見事ながら、主人公リサを演じたレジーナ・ホールの存在感は群を抜き、ニューヨーク映画批評家協会賞の主演女優賞をはじめ、数々の映画賞の受賞・ノミネートを果たした。そんな俳優たちの確かな演技と、見過ごされそうな些細な差別や偏見を丁寧に切り取ったアンドリュー・ブジャルスキー監督の手腕が見事に合わさった本作は、まさしく“現代のガールズパワームービー”と呼ぶにふさわしい傑作映画である。