| 3/7(土)・9(月)・11(水)・13(金) | |||
|---|---|---|---|
| 夏の砂の上 | 13:00 | 17:20 | |
| 平場の月 | 10:40 | 15:00 | 19:20 ~21:25 |
| 3/8(日)・10(火)・12(木) | |||
|---|---|---|---|
| アジアのユニークな国 | 10:20 | 14:15 | 18:10 |
| 星と月は天の穴 | 11:55 | 15:50 | 19:45 ~21:50 |
☆上映作品が日替わりになります。スケジュールにご注意ください。
▼チケット販売時刻▼
【3/7(土)・9(月)・11(水)・13(金)】
初回からの二本立て >>> 10:00
・それ以降の回/ラスト1本 >>> 各回その直前の回が始まって10分後
【3/8(日)・10(火)・12(木)】
初回からの二本立て >>> 9:40
・それ以降の回/ラスト1本 >>> 各回その直前の回が始まって10分後
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★指定席でご案内しております。チケットの販売は窓口のみとなります。受付にお時間がかかることが予想されますので、ご来場の際はお時間に余裕を持ってお越しください。
★そのほか、ご入場システムに関する詳細は、「劇場案内」ページをお読みください。

ミ・ナミ
今週の早稲田松竹は、『アジアのユニークな国』『星と月は天の穴』『平場の月』『夏の砂の上』を上映いたします。
『アジアのユニークな国』に登場する主婦の曜子は、夫が仕事で留守にしている平日の昼間、1階で義父の介護をしつつ2階で違法風俗を営業しています。映画は曜子とその客とのやりとり、帰宅した夫との会話や、客人との“いけないこと”のあれこれを盗み聞きしてしまう隣人たちの姿、曜子が激しく嫌悪する“ある為政者”の名前によってこの国と世界の抱える歪さを徐々に露わにしていきます。ただ本作の肝は、社会派映画の体裁とメッセージを表面的には備えているにもかかわらず、その“社会派”の支持者さえも引きつり笑いをしてしまうような現実をあぶり出しているところではないでしょうか。何気ないながらふとしたときに微妙に横滑りし非現実感を帯びる会話を、さも自然に成立させている役者陣の巧い芝居に没入していると、思想や党派性を越えて日本全体に向けられたせせら笑いに、自らの思考も根底から揺さぶられたような気がします。
『星と月は天の穴』の主人公は、妻に捨てられた小説家の矢添。みじめな過去を娼婦との関係でやり過ごしていましたが、偶然知り合った大学生・紀子とのねじれた関係が彼の日常と心をさざ波立せます。1969年を舞台にした吉行淳之介の小説が原作である本作で語られていることは、言うなれば時代に置き去りにされた古い価値観でしかないのですが、そこに拘泥するしかない矢添はむしろ笑いを誘うほど。本作はある男の極私的な日々を綴っているようにみえますが、精神的な恋愛を求めてもがき、 “身体的コンプレックス” に自らの老いを厳然と突きつけられるやるせなさといった矢添の滑稽さは、ある瞬間我々観客の物語にも照らし出しているかのようです。
『平場の月』は、妻との離婚のあと地元に戻り印刷会社に再就職した青砥と、彼がかつて想いを寄せていた須藤葉子と再会するところからはじまります。二人は意気投合するも、しかしともに若くもなく、とりわけ人生の浮き沈みを経験した須藤葉子は、失敗をやり直すことにも、新しいことに踏み出すことにも恐怖を感じています。「ただ、そばにいる」という暖かさを持つ青砥は、そんな須藤葉子との空白を少しずつ埋めていきます。「青砥」「須藤」と終始苗字で呼び合う二人は他者から見れば変わったカップルかもしれませんが、その間にはたしかに愛情の手ざわりがあるのです。不器用な二人が醸し出す人とつながり合うことの困難と愛おしさに、実に胸が痛くなります。
うだるように暑い夏の長崎を舞台にした『夏の砂の上』の小浦治とその妻・恵子は、5歳の息子を事故で亡くした喪失感から関係も破綻。さらに小浦は、造船所が閉鎖し失職してしまいます。坂の多い長崎のある一角の、上り坂を上がり切らない中腹に住まいがあり日々上り下りを繰り返している小浦の足取りはとりとめがなく、この世の者ではないほど頼りないものです。そんな彼の生活に入りこんだのが、妹・阿佐子が連れてきた娘の優子でした。厄介払いでもするように預けられた優子もまた、小浦と同じくどこにも停留できない不安感を漂わせていて、好意を寄せてくるバイト先の先輩・立山との関係も投げやりでいます。交わらないはずの人生で出会った二人がそれでも結んだ関係は、尊重や連帯というほどに湿った関係ではないですが、根無し草のように孤立した心がたしかに共振した瞬間は、見る者に慰めを与えてくれます。
違法と合法。聖と俗。精神と肉体。生と死。若さと老い。愛という感情と、そうでないもの。これらは対立する価値観だとされています。しかし双方の合間で、どちらにもいないことをゆるしている今週の映画たちを観たあとでは、世界とはもっと“分からなさ”の中にあるのかもしれないと考えさせられます。観客の皆さまも、スクリーンに映し取られた矛盾と曖昧さ―映画だけが描き得るこの“豊かさ”に、ぜひ触れに来ていただきたいと思います
夏の砂の上
On Summer Sand
■監督・脚本 玉田真也
■製作・プロデューサー 甲斐真樹
■共同プロデューサー オダギリジョー
■原作 松田正隆(戯曲「夏の砂の上」)
■撮影 月永雄太
■編集 ウエダアツシ
■音楽 原摩利彦
■出演 オダギリジョー/髙石あかり/松たか子/満島ひかり/森山直太朗/高橋文哉/篠原ゆき子/光石研
■第27回上海国際映画祭審査員特別賞受賞
■オフィシャルサイト
https://natsunosunanoue-movie.asmik-ace.co.jp/
■物販情報
・パンフレット(990円)
©2025映画「夏の砂の上」製作委員会

★本作品はバリアフリー音声ガイド・バリアフリー日本語字幕対応作品となります。
乾いた心が、かさなるとき――
雨が一滴も降らない、からからに乾いた夏の長崎。幼い息子を亡くした喪失感から、幽霊のように坂の多い街を漂う小浦治。妻の恵子とは、別居中だ。この狭い町では、元同僚の陣野と恵子の関係に気づかないふりをするのも難しい。働いていた造船所が潰れてから、新しい職に就く気にもならずふらふらしている治の前に、妹・阿佐子が、17歳の娘・優子を連れて訪ねてくる。おいしい儲け話にのせられた阿佐子は、1人で博多の男の元へ行くためしばらく優子を預かってくれという。こうして突然、治と姪の優子との同居生活がはじまることに…。
夏の砂のように乾ききった心に沁み込む一筋の希望を描く、切なくて温かい珠玉の物語。
映画『美しい夏キリシマ』の脚本、映画『紙屋悦子の青春』の原作を手掛けた長崎出身の松田正隆による傑作戯曲を、気鋭の演出家・玉田真也が映画化。 全編オール長崎ロケで、息子を亡くした喪失感をきっかけに人生が止まってしまった主人公と、妹が置いていった17歳の姪との突然の共同生活からはじまる物語を紡ぎだした。
主人公・小浦を本作で共同プロデューサーも務めるオダギリジョーが、治の姪・優子をNHK連続テレビ小説『ばけばけ』のヒロインに抜擢された髙石あかりが、治の妻・恵子を松たか子が演じている。さらに、優子の母で、治の妹・阿佐子役の満島ひかりをはじめ、高橋文哉、森山直太朗、光石研ら豪華なキャスト陣が作品世界に彩りを添える。
平場の月
A Moon in the Ordinary
■監督 土井裕泰
■原作 朝倉かすみ「平場の月」(光文社文庫刊)
■脚本 向井康介
■プロデューサー 那須田淳/水木雄太
■撮影 花村也寸志
■編集 穗垣順之助
■音楽 出羽良彰
■主題歌 星野源「いきどまり」
■出演 堺雅人/井川遥/坂元愛登/一色香澄/中村ゆり/でんでん/安藤玉恵/椿鬼奴/栁俊太郎/倉悠貴/吉瀬美智子/宇野祥平/吉岡睦雄/黒田大輔/松岡依都美/前野朋哉/成田凌/塩見三省/大森南朋
■オフィシャルサイト
https://hirabanotsuki.jp/
■物販情報
・パンフレット(990円)
© 2025映画「平場の月」製作委員会

★本作品はバリアフリー音声ガイド・バリアフリー日本語字幕対応作品となります。
はじまりは、中学の初恋――
妻と別れ、地元に戻って印刷会社に再就職し、慎ましく、平穏に日々を生活する主人公・青砥健将。その青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子は、夫と死別し今はパートで生計を立てている。お互いに独り身となり、様々な人生経験を積んだ二人は意気投合し、中学生以来、離れていた時を埋めていく――。
ある日、アパートの部屋から月を眺めていた須藤。「お前、あのとき何考えてたの?」青砥にそう問われ、「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね、ちょっと」そう答えた須藤。再び、自然に惹かれ合うようになった二人。やがて未来のことも話すようになるのだが…。
「これまでにない大人の恋愛小説」が実写映画化。リアルで切ない珠玉のラブストーリー
朝倉かすみによる小説「平場の月」は、男女の心の機微を繊細に描いた珠玉の物語。映像化権をめぐり30社以上からのオファーがあった本作が、満を持して実写映画化となった。
主人公・青砥健将に、堺雅人。近年は強烈なキャラクターを演じることが多かった堺が、本作では一転、等身大の実年男性を演じている。その青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子に、井川遥。芯の強さと、儚さを併せ持つ女性を演じきった。
監督は『花束みたいな恋をした』『罪の声』の土井裕泰、脚本を『ある男』『愚か者の身分』の向井康介が務め、15歳の瑞々しい初恋と大人の切ない恋愛を、確かな演出力で繊細に描き出している。
アジアのユニークな国
A Unique Country in Asia
■監督・脚本 山内ケンジ
■プロデューサー 野上信子/長井龍
■撮影・編集 渡部友一郎
■音楽 大城静乃
■出演 鄭亜美/岩本えり/金子岳憲/岩谷健司/鈴木将一朗/泉拓磨/島田桃依/浅井浩介/波多野伶奈/村上晴/赤刎千久子/丙次/金谷真由美/西出結/北原州真/山内政勝
■オフィシャルサイト
https://starsands.com/uniqueajia/
■物販情報
・パンフレット(800円)
©︎『アジアのユニークな国』製作委員会
これは政治的な映画ではない。政治と社会に敏感な、ある妻についての話である。
都内に夫と暮らし義理父の介護をしている曜子は、ある政治家が嫌い。あることがきっかけで最近自宅でよくないことを始めている。夫は気がついていない。しかし、隣家の主婦が気がついているようだ。
ソフトバンクモバイルのCM「白戸家」を手がけ、演劇プロデュースユニット“城山羊の会”の劇作家・演出家として第59回岸田國士戯曲賞、第74回読売文学賞を受賞した山内ケンジ監督の、長編5作目となる純粋社会派深刻喜劇。
夫が仕事に出ている平日の昼下がり。ひとつ屋根の下では、妻は1階では介護を、2階では違法風俗を行なっている。そんなとある一家を覗いてみると見えてくる、とある国の姿とは。 ただ、わくわくする77分間。
星と月は天の穴
The Stars and the Moon are Holes in the Sky
■脚本・監督 荒井晴彦
■原作 吉行淳之介「星と月は空の穴」(講談社文芸文庫)
■プロデューサー 清水真由美/田辺隆史
■撮影 川上皓市/新家子美穂
■編集 洲﨑千恵子
■音楽 下田逸郎
■主題歌 松井文「いちどだけ」他
■出演 綾野剛/咲耶/岬あかり/吉岡睦雄/MINAMO/原一男/柄本佑/宮下順子/田中麗奈
■オフィシャルサイト
https://happinet-phantom.com/hoshitsuki_film/
■物販情報
・パンフレット(1100円)
© 2025「星と月は天の穴」製作委員会

★本作品はバリアフリー音声ガイド・バリアフリー日本語字幕対応作品となります。
あなたは、軀と恋愛しているのよ――
小説家の矢添は、結婚に失敗して以来10年、独身のまま40代を迎えていた。心に空いた穴を埋めるように、娼婦・千枝子と時折り体を交え、捨てられた過去を引きずりながらやり過ごしていた。そして、誰にも知られたくない自身の“秘密”にコンプレックスを抱えていることもあって、女性を愛することに尻込みをしてしまう。
そんな矢添は、執筆する恋愛小説の主人公に自分自身を投影することで「精神的な愛の可能性」を探求するのが日課だった。ところがある日、画廊で偶然出会った大学生の瀬川紀子と、彼女の粗相をきっかけに奇妙な情事へと至り、矢添の日常と心が揺れ始める。
妻に捨てられたこじらせ男の、滑稽で切ない愛の行方。
キネマ旬報脚本賞に5度輝く日本を代表する脚本家・荒井晴彦。『火口のふたり』をはじめ、自ら監督を務めた作品群では人間の本能たる“愛と性”を描き、観る者の情動を掻き立ててきた。最新作の本作では、長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品を映画化。過去の離婚経験から女を愛することを恐れる一方、愛されたい願望をこじらせる40代小説家の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら綴っている。
主人公の矢添克二を演じるのは、荒井と『花腐し』でもタッグを組んだ俳優・綾野剛。これまでに見せたことのない枯れかけた男の色気を発露、心と体の矛盾に揺れる滑稽で切ないキャラクターを生み出した。そして、大学生・紀子を咲耶、なじみの娼婦・千枝子を田中麗奈が、大胆かつ繊細に演じ切る。
1969年という日本の激動期を背景に一人の男の私的な物語を映す、滋味深き日本映画が誕生した。



























