| 7/11(土)・13(月)・15(水)・17(金) | |||
|---|---|---|---|
| 旅人の必需品 | 10:10 | 14:10 | 18:10 |
| 小川のほとりで | 12:00 | 16:00 | 20:00 ~21:55 |
| 7/12(日)・14(火)・16(木) | |||
|---|---|---|---|
| 水の中で | 12:05 | 17:10 | |
| 私たちの一日 | 13:25 | 18:30 | |
| 自然は君に何を語るのか | 10:00 | 15:05 | 20:10 ~22:00 |
▼チケット販売時刻▼
【7/11(土)・13(月)・15(水)・17(金)】
・10:10『旅人の必需品』からの二本立て ▶ 9:30
・それ以降の回/ラスト1本 ▶ 各回その直前の回が始まって10分後
【7/12(日)・14日(火)・16日(木)】
・10:00『自然は君に何を語るのか』からの三本立て ▶ 9:20
・それ以降の回/ラスト1本 ▶ 各回その直前の回が始まって10分後
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★指定席でご案内しております。チケットの販売は窓口のみとなります。ご来場の際はお時間に余裕を持ってお越しください。
★そのほか、ご入場システムに関する詳細は、「劇場案内」ページをお読みください。

パズー
ホン・サンスの映画を観ていつもちょっとだけ気になることがある。それは、同じ内容のセリフが何度か繰り返されることだ。
「それ、あなたに似合っています」「ありがとうございます」「本当に、あなたに似合っていますよ」
こんな具合だ。なぜ強調するのだろう。「大事な事なので二度言いました」というどこかで聞いた言葉が頭の中で思い出されるが、映画を見終わってから考えてみても、特に特別な意味を持つセリフだとは思えない。なのに、妙に忘れられない。
思えば、ホン・サンスの映画そのものがどれもそんな印象だ。何か大切なことを汲み取ろうとするけれど、絶妙に指の間からすり抜けていってしまうような、それでも何かが残っているような…。わかりやすいテーマも起伏のあるストーリーもない。一年に2、3本というペースで新作を発表していることに驚くが、同じ俳優と役どころで同じような映画を撮っているからまぁそりゃそうかと納得もできる。
「映画を作るとき、大抵わたしは、場所と、人と、天気を選びます」とホン・サンスは語る。最初に決まっているのはその3つだけ。脚本は次の日の撮影する分だけ前日の夜に書き、当日の朝俳優に初めて渡されるという。それなのにアドリブはほとんどなく脚本通りなのだそう。俳優たちは心の準備や役作りというものをさせてもらえない(しなくていい)から自分の考え=アドリブを挟み込む余地がそもそもないのかもしれない。自由なのか不自由なのか、なんだかよくわからない。
それなのに、いや、それだから? ホン・サンスの映画を観るといつも新しさがあって、フレッシュな気持ちになる。同じことを繰り返している“ように見える”のになぜ? なんか悔しい!
この“ように見える”ところにホン・サンスの「魔法」がある。なんてことのないダラダラとした会話のなかに、ふと急に切実な人生哲学が立ち現れるのだ。うわ!今何か大切なこと言った!とハッとする。なのに、次のシーンではもうそれは消えている。まるで流れ星みたい。これを「魔法」と言わずして何と言おうか。
日常と特別な瞬間は、別々にあるものではなく常に隣りあわせである。日々の生活の中に突然やって来るその美しい一瞬をキャッチできたら、素敵な人生になるだろう。近年のホン・サンスの映画はどれも、そういうことを教えてくれている、のかもしれない(やっぱりうまくキャッチできていない気もするけれど、それもそれで良いか)。
旅人の必需品
A Traveler's Needs
■監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽 ホン・サンス
■プロダクションマネージャー キム・ミニ
■出演 イザベル・ユペール/イ・ヘヨン/クォン・ヘヒョ/チョ・ユニ/ハ・ソングク/キム・スンユン
■第74回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員賞)受賞
■オフィシャルサイト
https://mimosafilms.com/gekkan-hongsangsoo/
■物販情報
・パンフレット(1500円)※完売しました
©2024Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
詩、マッコリ、年下のボーイフレンド。
ソウルを旅する謎めいたフランス人女性イリス。フランス語の個人レッスンをしている彼女は、生徒たちの家を渡り歩くが、あまりに風変わりな教え方に、人々はみな戸惑うばかり。レッスンが終わると、彼女は年下のボーイフレンドの家へと帰っていく。イリスは何をしに韓国へやってきたのか。なぜフランス語を教えているのか。韓国の国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)の詩に触れるなかで、徐々に彼女の謎に満ちた日常が浮かび上がっていく。
ホン・サンス×イザベル・ユペール、三度目のコラボレーション。
軽やかに、ユーモラスに、そしていくつもの謎とともに語られる、このうえなくロマンチックな現代の寓話。
多作で知られるホン・サンス監督の31作目となる『旅人の必需品』は、ベルリン国際映画祭で五度目の受賞となる銀熊賞(審査員賞)を受賞。『3人のアンヌ』『クレアのカメラ』に続き、これが三度目のコラボレーションとなるイザベル・ユペールを主演に、これまで以上に軽やかでロマンチックな寓話を届けてくれる。
親しみにあふれた雰囲気のなか、異国からの来訪者を中心に据えた設定が、いつも以上に会話劇の面白さを際立たせる。英語とフランス語、韓国語が混じり合う会話は、当初は無邪気で愛らしい気配をたたえるが、ささいな誤解やすれ違いから気まずげな雰囲気が漂いだす。そんな彼らのぎこちない会話を打ち砕くのが、ホン・サンス映画には欠かせない酒の力。イリスがこよなく愛するマッコリを飲み交わすうち、芽生えたはずの不信感はいつしか心地よいリズムに変わり、こらえきれない笑いが画面を満たす。
小川のほとりで
By the Stream
■監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽 ホン・サンス
■プロダクションマネージャー キム・ミニ
■出演 キム・ミニ/クォン・ヘヒョ/チョ・ユニ/ハ・ソングク/カン・ソイ/パク・ミソ
■第77回ロカルノ国際映画祭最優秀演技賞受賞
■オフィシャルサイト
https://mimosafilms.com/gekkan-hongsangsoo/
■物販情報
・パンフレット(1500円)※完売しました
©2024Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
一度きりの舞台、一晩だけの本音。
演劇祭が間近に迫るソウルの女子大学。ある恋愛スキャンダルの穴埋めをするため、講師として働くジョニムは、有名な俳優で舞台の演出も手がける叔父のシオンを臨時の演出家として招聘する。演劇祭に向け寸劇作りがスタートするが、学生たちの恋愛事件の余波や、大学教授と叔父との新たな恋の予感など、10日の間にさまざまな出来事が巻き起こる。
女子大の演劇祭をめぐり、学生たちと大人たちの恋愛模様が交錯するキャンバス群像劇
『逃げた女』、『小説家の映画』に続くキム・ミニ主演作となった『小川のほとりで』。本作での演技により、第77回ロカルノ国際映画祭で最優秀演技賞を受賞したキム・ミニは、テキスタイルアーティストであり大学で講師として働く40代の女性ジョニムを演じ、これまでにない新たな女性像を私たちに見せてくれる。大学付近の小川でのスケッチを日課にする彼女の日常は規則正しいルーティンに満ちているが、叔父の来訪と共に徐々に変化が生じ始める。いざこざに巻き込まれる学生たちを庇護者のように見守り、叔父と恩師の接近を疑いの目で見つめる彼女は、観察者という新たな立場からこのドラマを牽引する。
大学を舞台に教授や学生たちがくりひろげる恋愛劇といえば、『教授とわたし、そして映画』や『ヘウォンの恋愛日記』といった監督の過去作を彷彿とさせるが、本作は、男女の恋愛沙汰や酒宴での諍いをくりかえし描いてきたかつての作品とはまったく別の景色を見せてくれる。年上の男性教師と女子学生との恋愛に代わって現れたのは、それぞれの人生を歩んできた大人たちの恋模様であり、将来への不安を抱える若者たちが紡ぐ親密な関係性。そして年を重ねた者と若者たちとの間に生まれた期間限定の交流は、ささやかだけれど大事な人生哲学を伝えてくれる。誰もが不完全なこの世界で描かれる、やさしさと驚きに満ちたホン・サンス流群像劇である。
水の中で
In Water
■監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽 ホン・サンス
■プロダクションマネージャー・歌 キム・ミニ
■出演 シン・ソクホ/ハ・ソングク/キム・スンユン
■第73回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門正式出品/カイエ・デュ・シネマ誌「2024年の映画ベスト10」第3位
■オフィシャルサイト
https://mimosafilms.com/gekkan-hongsangsoo/
■物販情報
・パンフレット(1500円)
© 2023 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
ぼやけたままでいい。
大学卒業後、俳優業に専念していた青年ソンモは、自主制作で短編映画を監督しようと決意する。かつての同級生ふたりを連れ、リゾート地として知られる済州島へ向かうが、思うようにシナリオは書けず、煩悶しながら海辺を散策していた。そんな折、ひとりの女性との出会いをきっかけに、語るべき物語を見出す。やがて、海辺での撮影が静かに始まる──。
夏の終わりの済州島、自主映画を撮るために集まった男女3人組を描く青春ドラマ。
“新生ホン・サンス”といえる2020年代以降のフィルモグラフィのなかで、とりわけ特異な作品と言われているのが『水の中で』。ベルリン国際映画祭では、上映前にこれからかかる映画は決して映写ミスではない旨アナウンスがされるなど、「全編ピンボケ映画」として物議をかもしたこの映画は観客を戸惑わせる。とはいえ、「全編ピンボケ映画」という名称は必ずしも正しくない。完全にぼやけたカットもあれば、かろうじて人々の顔が判別できるカットもあるなど、意図的に微妙な差異がつけられており、細かな演出によってストーリーや登場人物は自然と理解できる。斬新な撮影手法ではあるが、決して観客を戸惑わせるだけの問題作ではないのだ。
映画製作をめぐる映画であり、旅先でのひとときを描いたヴァカンス映画でもある本作は、やはり脚本執筆に行き詰まり海辺の町へとやってくる映画監督の男を主人公にした、過去作『浜辺の女』を思い起こさせる。だが本作の主人公は、恋愛をめぐって男同士で争ったり、ふたりの女性の間を優柔不断に行き来したりはしない。描かれるのは、ひとりの青年が自身の創造性を発見するまでの思索の時間であり、彼の才能を信じる旧友たちとの美しい友情関係だ。初めて映画を監督しようとする青年ソンモを演じるのは、『イントロダクション』でも進路を模索する青年を演じたシン・ソクホ。ソンモの大学時代からの友人で、彼が作る映画の協働者となるふたりを演じるのは、ハ・ソングク(『自然は君に何を語るのか』)と、キム・スンユン(『旅人の必需品』)。実際に3人は建国大学映画学科の同窓生で、シン・ソクホとハ・ソングクは同じ授業を受けた同期、キム・スンユンは後輩と、映画の中での関係性とも重なっている。
私たちの一日
In Our Day
■監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽 ホン・サンス
■プロダクションマネージャー キム・ミニ
■出演 キム・ミニ/キ・ジュボン/ソン・ソンミ/パク・ミソ/ハ・ソングク/キム・スンユン
■第76回カンヌ国際映画祭監督週間クロージング作品
■オフィシャルサイト
https://mimosafilms.com/gekkan-hongsangsoo/
■物販情報
・パンフレット(1500円)
© 2023 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
人生には刺激が必要だ
ある二人の人物が、二つの家でそれぞれに過ごす一日。ひとりは、友人の家に滞在する休業中の俳優サンウォン。もうひとりは、小さなアパートで一人暮らしをする詩人のホン・ウィジュ。彼らのもとには将来への不安を抱く若い客たちが訪れ、さまざまな質問を投げかける。そんな折、友人の飼い猫がふと姿を消して──。交わりそうで交わらない、二つの一日が静かに並走していく。
元女優と詩人、それぞれの元を訪れる悩める若者たち
交わりそうで交わらない二人の一日を綴る至極の会話劇
二人の主人公を演じるのは、今やホン・サンス映画には欠かせない存在となったキム・ミニと、『川沿いのホテル』でも老詩人役を演じロカルノ国際映画祭で金豹賞(男優賞)を受賞した名優キ・ジュボン。彼らの所へ訪れる人々を、ホン・サンス映画を支えてきたベテランたちと若手俳優らが共演し、年長者と若者による真摯でありながらユーモラスな人生問答を繰り広げる。
交互に描かれる、二つの場所と二つの時間。サンウォンは友人ジョンスの愛猫と戯れ、女友達とワインで乾杯をする。健康上の理由から禁酒と禁煙を命じられたウィジュは、焼酎を欲しながらノンアルコールビールの缶を次々に空けていく。そんな彼らが共通して食べるのは手作りのインスタントラーメンだ。いつものように、ホン・サンス映画の人々はコミカルで軽妙な会話をくりひろげる。
なかでもキ・ジュボン演じる詩人が若者からの問いかけに対して披露する答えの数々は、とぼけた味わいを醸しながら、ときにハッとするほど鋭く物事の本質を捉えていく。ホン・サンスらしい人生がたっぷりと詰まったその会話を聞くうち、誰もが、芸術と人生との深い関係に気付かされる。気の置けない友人たちとの宴の時間には、しかし暗い影が見え隠れする。愛する者の喪失。遠からぬ死の気配。別離の重み。たとえ形となって現れなくても、悲劇はすぐそばにある。長い一日が終わる頃、私たちは日常の中に潜むドラマチックな瞬間を数多く発見するだろう。
自然は君に何を語るのか
What Does That Nature Say to You
■監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽 ホン・サンス
■プロダクションマネージャー キム・ミニ
■出演 ハ・ソングク/クォン・ヘヒョ/チョ・ユニ/カン・ソイ/パク・ミソ
■第75回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品
■オフィシャルサイト
https://mimosafilms.com/gekkan-hongsangsoo/
■物販情報
・パンフレット(1500円)
©2025 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
コーヒーを飲んで帰るはずだった
詩人のドンファは、恋人ジュニを家まで送り届けた際、玄関先で彼女の父と鉢合わせ、思いがけずジュニの家族と一日を過ごすことになる。初めはぎくしゃくしていたが、ジュニの家族に家や近所を案内され会話を重ねるうちに少しずつ距離を縮めていく。やがて一家が揃う夕食の席で、勧められるまま酒を口にするうち、緊張から酔いが回り、次第に気まずい雰囲気が漂いはじめる。
恋人の両親とたまたま過ごすことになった青年の一日
和やかな会話は酒が進むにつれて気まずさを帯びていく、酩酊ホームドラマ
これまでホン・サンスの映画では「映画」と「恋愛」を主題にした物語が形を変え幾度も描かれてきた。そんなホン・サンス映画も、30年以上の時を重なるなかで、少しずつ変化を遂げてきたようだ。
映画監督に加え、俳優や小説家、大学で芸術を教えるアーティストなど、これまでにないキャラクターが登場するようになったここ数年、ぐっと登場回数が増えたのは詩人の存在だ。名声を得た老詩人が息子たちと再会する様子を描いた『川沿いのホテル』、同じキ・ジュボンが隠遁生活を送る詩人を演じた『私たちの一日』、イザベル・ユペール演じる謎めいたフランス人女性と暮らす若き詩人が登場する『旅人の必需品』。そして本作では、35歳の詩人ドンファを主人公に、彼が恋人の家族と過ごす思いがけない一日の様子が映される。詩人のドンファ役には、『逃げた女』、『旅人の必需品』でも詩人役を演じたハ・ソングク、本作がホン・サンス映画での初主演作となる。
裕福な弁護士の父を持ちながら、好きな詩を書き慎ましく暮らすことを好むドンファは、恋人の家族を前に、詩作に対する思いや理想の生活を熱く語る。世間一般の価値観からは距離を置く彼の姿からは、監督自身の芸術に対する信念が透けて見える。一方で、定職を持たず詩人を名乗る男が世間からどのような視線を向けられるか、現実社会の厳しさが、皮肉っぽくコミカルに映し出され、絶妙な笑いをもたらしてくれる。
この映画のもうひとりの主人公は「自然」そのものだ。主に一軒の家を舞台としながらも、自然からインスピレーションを受けて詩をつくるドンファの周囲には、山頂から眺める美しい日没や月夜の風景が広がり、またジュニの祖母の墓である立派な大木や、彼らが見学に訪れる寺の周囲の湖、夜の庭に咲く花、犬や鶏など、人間たち以外の多くのキャラクターが重要な役割を果たしている。
































