【2026/6/27(土)~7/3(金)上映】『しあわせな選択』(同時上映:短編『審判』) +『別れる決心』// 特別レイトショー『お嬢さん』

しかまる。

今週のプログラムは、韓国映画界を代表する巨匠パク・チャヌク監督特集です。

私が初めてパク・チャヌク監督の作品に触れたのは、今回レイトショーで上映する『お嬢さん』(2016)でした。そして二本立て上映される『別れる決心』(2022)、『しあわせな選択』(2025)と近年の作品を順番に追うなかで印象的だったのは、ジャンルや題材を変えながらも、一貫して人間の欲望や倫理の境界を描き続けていることです。

『お嬢さん』は日本統治下の朝鮮を舞台に、偽りや支配、欲望が複雑に絡み合う官能サスペンス。巧妙などんでん返しや計算し尽くされた映像美のなかで、抑圧された女性たちが自らの運命を切り拓いていく姿を描き、パク・チャヌク監督の美学を存分に味わえる代表作です。

続く『別れる決心』は、刑事と容疑者の間に生まれる愛と疑念が交錯するロマンティック・サスペンス。『お嬢さん』でみせたセンセーショナルな官能性とは対照的に、本作の極限まで身体的接触を抑えた演出はパク・チャヌク監督の新境地と言えます。美しき容疑者ソレと彼女を犯人と疑う刑事ヘジュン。疑惑と警戒の眼差しを向けるうち、互いを求める感情が深まっていく様を、複雑な構成と遊び心に満ちたカメラワークで魅せていきます。

そして最新作『しあわせな選択』では、『別れる決心』から一転、ブラックユーモアを交えながら現代社会の歪みを映し出します。映画の原題「어쩔 수가 없다(仕方ない)」が示すように、リストラされた中年男性マンスは、転職活動を成功させるため"仕方なく"殺人に手を染めていきます。イ・ビョンホンが好演する主人公マンスのドタバタ劇に笑わされる一方で、家族を守るためという理由はどこまで正当化されるのか、「本当に他に選択肢はなかったのか?」という倫理的な問いを観客へ投げかけます。

官能サスペンス、メロドラマ、ブラックコメディへと作風を変化させながらも、常に人間の欲望と倫理の"境界線"を描き続けてきたパク・チャヌク監督。本特集では、これら3作品に加え、初期に制作された短編『審判』も上映します。60歳を過ぎてもなお進化を続けるパク・チャヌク監督の映画世界を、ぜひスクリーンでご堪能ください。

しあわせな選択
No Other Choice

開映時間 ※『審判』と同時上映
パク・チャヌク監督作品/2025年/韓国/139分/4K DCP/PG12/シネスコ

■監督 パク・チャヌク
■原作 ドナルド・E・ウェストレイク著「斧」(文春文庫刊)
■脚本 パク・チャヌク/イ・ギョンミ/ドン・マッケラー/イ・ジャヘ
■撮影 キム・ウヒョン
■編集 キム・サンボム/キム・ホビン
■音楽 チョ・ヨンウク

■出演 イ・ビョンホン/ソン・イェジン/パク・ヒスン/イ・ソンミン/ヨム・ヘラン/チャ・スンウォン

■第83回 ゴールデン・グローブ賞作品賞・主演男優賞・非英語作品賞ノミネート/第82回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品/第50回トロント国際映画祭国際観客賞受賞

©2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED.

【2026/6/27(土)~7/3(金)上映】

ドロドロのしあわせまであと3人。

製紙会社で25年間、堅実に仕事をしてきたマンスは、心からそう思い、妻と2人の子供、2匹の犬と郊外の大きな家で“理想的”な人生を送っていた。突然、会社から解雇されるまでは。必死に築いてきた人生が、一瞬のうちに崩壊!? 好調の製紙会社への就活も失敗したマンスが閃いたのは、衝撃のアイデアだった。それは……「ライバルがいなくなれば、仕事は手に入る」

常識の枠を軽々と踏み越えた“就活サバイバル”に世界が熱狂!

斬新で大胆、チャレンジングな設定を、誰もが夢中になるエンターテインメントへと昇華させる。そんな韓国映画の真骨頂が発揮される快作が、またひとつ誕生した。韓国を代表する巨匠、パク・チャヌク監督によるこの新作は、ヴェネチア国際映画祭コンペティション出品、トロント国際映画祭で国際観客賞を受賞など、数々の栄誉を受け、ゴールデングローブ賞では、作品賞、主演男優賞、非英語作品賞にノミネート。『パラサイト 半地下の家族』を世に送り出したCJ ENMスタジオが製作を、NEONが北米配給を担当し、最高のエンターテインメントを世界に放つ!

主人公マンスには、『JSA』以来、長編映画では25年ぶりにパク・チャヌク作品に出演し、ゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされたイ・ビョンホン。その妻に、ドラマ「愛の不時着」で大反響を起こし、本作で青龍映画賞主演女優賞を受賞したソン・イェジン。韓国の2大スターが夫婦を演じるのに加え、本作で同賞助演男優賞を受賞したイ・ソンミンら実力派キャストの競演が物語に厚みをもたらす。

AIやグローバル化といった現代的テーマに、家族ドラマ、スリラー、さらにパク・チャヌク作品としては異例の弾けるユーモアが交錯する超・話題作!

審判
Judgement

開映時間 ※『しあわせな選択』と同時上映
パク・チャヌク監督作品/1999年/韓国/26分/DCP/ビスタ/英語字幕付き

■監督・脚本 パク・チャヌク
■撮影 パク・ヒョンチョル
■編集 キム・サンボム
■音楽 チェ・ヒョク

■出演 キ・ジュボン/チェ・ハクラク/コ・インベ/クォン・ナンヒ

【2026/6/27(土)~7/3(金)上映】

一つの遺体、二つの真実。

百貨店崩壊事故により死亡した若い女性の遺体が霊安室に安置されている。遺体の顔は激しく損傷し身元確認が難航していたが、「5年前に家出した私たちの娘だ」という夫婦が現れ、記者同伴のもと葬儀が行われようとしていた。だが、霊安室の職員が遺体の顔を見るなり「7年前に家出した私たちの娘だ」と言い出す。多額の保証金を狙った嘘なのか?さらに、記者がある女性を連れてきたことで、事態は混迷を深めていく…。

若き日のパク・チャヌクが、黒い笑を交えて下す〈審判〉——人間の〈非倫理〉。

第57回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作『オールド・ボーイ』や、第75回カンヌ国際映画祭監督賞受賞作『別れる決心』、そして最新作『しあわせな選択』まで、常に世界の映画シーンを刺激し続ける鬼才パク・チャヌク監督が、『JSA』の前年である1999年に発表した26分の短編。主演は『川沿いのホテル』などホン・サンス監督作品にも多数出演する名優キ・ジュボン。

別れる決心
Decision to Leave

パク・チャヌク監督作品/2022年/韓国/138分/4K DCP/シネスコ

■監督 パク・チャヌク
■脚本 パク・チャヌク/チョン・ソギョン
■撮影 キム・ジヨン
■編集 キム・サンボム
■音楽 チョウ・ヨンウク

■出演 タン・ウェイ/パク・ヘイル/イ・ジョンヒョン /コ・ギョンピョ

■第75回 カンヌ国際映画祭監督賞受賞/第95回アカデミー賞国際長編映画賞部門韓国代表/第80回 ゴールデン・グローブ賞作品賞ノミネート(非英語作品) ほか多数受賞・ノミネート

© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

【2026/6/27(土)~7/3(金)上映】

疑惑がふたりを惹き寄せ 愛がふたりを引き裂いた

男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュンと、被害者の妻ソレは捜査中に出会った。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしかヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたヘジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった…

出会いは“刑事と容疑者”のはずだった…。
疑うほどに惹かれ合う、珠玉のサスペンスロマンス

『オールド・ボーイ』『お嬢さん』など唯一無二のストーリーテリングで世界中の観客を魅了し続けてきた巨匠パク・チャヌク監督。本作は、サスペンスとロマンスが溶け合う珠玉のドラマとなっている。第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門では監督賞を受賞し、アカデミー賞国際長編映画賞部門の韓国代表に選出された。

韓国では公開後に発売された脚本集がベストセラーになり、劇中のセリフがネットで大流行。本作が描く迷路にハマり込む人々が続出した。次から次へと起こる予想外の展開、細部までこだわり抜かれたビジュアル、相手の本心を知りたいヘジュンとソレのスリリングな駆け引き…先の読めないドラマは、映画史上最大の“美しくも残酷な結末”に向かって突き進んでいく。

刑事ヘジュンを演じるのは、『グエムル -漢江の怪物-』などで知られる韓国きっての演技派パク・ヘイル。厳格な刑事が女性との出会いをきっかけに深みにハマり崩壊していく様を、繊細かつダイナミックに演じた。物語のカギを握る女ソレを演じるのはタン・ウェイ。アン・リー監督の『ラスト、コーション』で全世界の注目を集めた彼女が、女性の心の内を渾身の演技で表現する。

【特別レイトショー】お嬢さん
【Late Show】The Handmaiden

パク・チャヌク監督作品/2016年/韓国/145分/DCP/R18+/シネスコ

■監督・脚本 パク・チャヌク
■原作 サラ・ウォーターズ「荊の城」(創元推理文庫刊)
■脚本 チョン・ソギョン
■撮影 チョン・ジョンフン
■音楽 チョ・ヨンウク

■出演 キム・ミニ/キム・テリ/ハ・ジョンウ/チョ・ジヌン

■2016年カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品・芸術貢献賞受賞/LA批評家協会賞外国映画賞・美術賞受賞/サンフランシスコ映画批評家協会賞美術賞・外国映画賞受賞 ほか多数受賞・ノミネート

©2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED

【2026/6/27(土)~7/3(金)上映】

愛されたくば、騙せ

1939年の朝鮮半島。支配的な叔父と、膨大な蔵書に囲まれた豪邸から一歩も出ずに暮らす華族令嬢・秀子のもとへ、新しいメイドの珠子こと孤児の少女スッキがやってくる。実は詐欺師一味に育てられたスッキは、秀子の莫大な財産を狙う“伯爵”の手先だった。伯爵はスッキの力を借りて秀子を誘惑し、日本で結婚した後、彼女を精神病院に入れて財産を奪う計画だ。だがスッキは美しく孤独な秀子に惹かれ、秀子も献身的なスッキに心を開いていく…。

パク・チャヌクが放つ、狂おしい官能と欲望の罠。
華麗で過激な、究極の騙し合いを描いた超衝撃作。

原作は英国の小説家サラ・ウォーターズの傑作「荊の城」。監督は、『オールド・ボーイ』、『渇き』で世界を震撼させ、『イノセント・ガーデン』ではハリウッド進出も果たした韓国の巨匠パク・チャヌク。本作は、過激で倒錯したエロスと先の読めないサスペンス、そして隅々まで贅を尽くした美で観るものを魅了する。

映画は三部構成で、第一部はスッキの視点で、第二部は秀子の視点で事件の顛末が描かれ、第三部は衝撃的な真相が明かされる。第69回カンヌ国際映画祭で絶賛され、韓国では官能描写の激しさから成人映画指定(R19)となるも動員400万人以上を記録。世界的にも異例のヒットを飛ばし、スキャンダラスな大ヒット作となった。