
すみちゃん
ニュースやSNSで、人々が平気で殺されている瞬間を目にする。
これは本当に現実なのだろうか?
戦争映画で観てきたような恐ろしいことが、今まさにあちこちで起きている。
どうして人間は、人間を殺して、笑うことができるのだろう?
どうして人間は、ここまで残酷になれるのだろう?
『処刑の丘』『炎628』はどちらも第二次世界大戦中のソ連が舞台だ。『処刑の丘』ではパルチザン部隊に参加した男ソトニコフが、『炎628』では銃を拾ってパルチザン部隊となった少年フリョーラが、仲間のために食糧を確保しに向かう。しかし、二度と元の場所に戻ることはできない。道中、敵に出くわして助けを求めた先でかくまってくれた人もろとも、ナチスに捕まってしまうのだ。誰かのために行動をしたはずなのに、行動すればするほど誰かを傷つけてしまう。だからといってどこかへ逃げることはできない。逃げても逃げても敵はいる。死んでも生きても地獄のような状況が、永遠と続く。
彼らの表情が忘れられない。ソトニコフの、絶望と諦めの中でも自分の尊厳を守ろうとする顔。フリョーラのただ凄惨な状況を目撃することしかできない顔。人を燃やして笑うナチス兵士たちの顔、顔。顔。戦争が始まってしまったら、取り返しがつかない。ただ見つめるか、殺されるか、はたまた寝返って殺す側になるのか…。
戦争が終わったからといって、元の生活にすぐ戻れるわけではない。第二次世界大戦でソ連の負った犠牲は想像を絶するもので、混沌としている状況を、カネフスキー監督はワレルカという少年を通して描いた。『動くな、死ね、甦れ!』『ひとりで生きる』『ぼくら、20世紀の子供たち』を監督したカネフスキーは、自分と同じストリート・チルドレンだったワレルカ役のパーヴェル・ナザーロフに自身を投影し、そしてソ連解体後の路上で生きる子供たちをカメラで追った。戦後に巣食う暴力や殺伐とした世界の中を、どうにか生きていこうとする小さくて力強い命を、カネフスキーは映画にしている。子供たちが生きる未来が明るいものであってほしいと、祈りを込めたような作品群だ。
『炎628』で、‟共産主義は劣等民族に宿るから根絶すべきだ“という理由で子供を優先して殺したと話すナチス側の男がいた。その言葉を聞いたとき、カネフスキーが撮影していた子供たちのことを想った。彼ら彼女らは今、40~50歳になっているのだろうか。どんな生活をしているのだろうか?もしかしたらウクライナへ侵略をしているかもしれない。国家に反逆して殺されているかもしれない。分からない。分からないけれど、生きていてほしい。カネフスキーの祈りが、伝わっていてほしい。
動くな、死ね、甦れ! デジタルリマスター版
Freeze Die Come to Life
■監督・脚本 ヴィターリー・カネフスキー
■撮影 ウラディミール・プリリャコフ/N・ラズトキン
■音楽 セルゲイ・パネヴィッチ
■出演 パーヴェル・ナザーロフ/ディナーラ・ドルカーロワ/エレーナ・ポポワ
■第43回カンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞
【2026/3/28(土)~4/3(金)上映】
舞台は第二次世界大戦直後、収容所地帯と化したソ連の炭鉱町。大人でさえ自分を守ることで精一杯な世の中を、危うげながらも逞しく生きる12歳の少年ワレルカ。彼の引き起こす無垢な、しかし、やってはならない悪さは、母親への反発と相まって次第にエスカレートしていく。そんな彼の前に、守護天使のように現れては、危機を救ってくれる幼馴染の少女ガリーヤ。二人に芽生えた淡い想いは次第に呼応していくが、やがて運命はとんでもない方向へ転じていくのだった…。世界を魅了し続ける少年映画の金字塔。
ひとりで生きる
An Independent Life
■監督・脚本 ヴィターリー・カネフスキー
■撮影 ウラディミール・プリリャコフ
■音楽 ボリフ・リチコフ
■出演 パーヴェル・ナザーロフ/ディナーラ・ドルカーロワ/エレーナ・ポポワ
■第45回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞
【2026/3/28(土)~4/3(金)上映】
15歳になったワレルカは少年期に別れを告げようとしていたが、大人たちの世界はますます悲劇的な様相を呈し、彼にとって唯一、ガリーヤの妹ワーリャと一緒にいる時だけが心落ち着く時だった。そんな中、ある事件をきっかけに学校を退学になったワレルカは、ワーリャの思いをよそに、ひとりで町を出る。故郷や家族と離れ、ひとりで生きるワレルカ。一方、残されたワーリャは、返事のないワレルカに手紙を送り続け…。幼さを見せながら、大人へと成長していく少年の心の風景をスクリーン上で開花させた傑作。
【レイトショー】ぼくら、20世紀の子供たち デジタルリマスター版
【Late Show】We, the Children of the 20th Century
■監督・脚本 ヴィターリー・カネフスキー
■脚本 ヴァルヴァラ・クラシルコワ
■音楽 クロード・ヴィラン
■出演 パーヴェル・ナザーロフ/ディナーラ・ドルカーロワ
■第44回べルリン国際映画祭ヤングフォーラム部門正式出品作品
【2026/3/28(土)~4/3(金)上映】
国際的な評価を得たカネフスキーが次にカメラを向けたのは、社会体制が崩壊したロシアの都市に巣くうストリート・チルドレンたち。窃盗、強奪、売春、そして殺人…残忍性をエスカレートさせていく彼らの裏側に傷つきやすい感受性を見るカネフスキー。やがてカメラは、思わぬ場所でワレルカの面影を残したパーヴェル・ナザーロフの姿を捉える。そして、2本の映画で共演したのち、全く異なる人生を歩み成長していったパーヴェルとディナーラが再会を果たす。デジタルリマスター版を日本初公開!
炎628
Come and See
■監督 エレム・クリモフ
■原作 アレシ・アダモーヴィチ「ハティニ物語」
■脚本 エレム・クリモフ/アレシ・アダモーヴィチ
■撮影 アレクセイ・ロジオーノフ
■美術 ヴィクトル・ペトロフ
■音楽 オレーグ・ヤンチェンコ
■出演 アレクセイ・クラフチェンコ/オリガ・ミローノワ/リュボミラス・ラウツァヴィチュス/ウラダス・バグドナス
■1985年モスクワ国際映画祭最優秀作品賞受賞
【2026/3/28(土)~4/3(金)上映】
愛しき者の生命(いのち)—— 奪い去り、抹殺する暴力 来たりて見よ! 焼きつくされた628の村々…。
領されたベラルーシの村。フリョーラ少年は砂に埋まった小銃を掘り出し、母の声を聞かずパルチザン部隊に参加することを決意する。パルチザンでの生活は過酷を極めた。ある日、彼の前にグラーシャという美しい女性が現れる。彼女は隊長へ想いを寄せていたが、フリョーラと距離を縮めていく。作戦遂行のため部隊が森を出発し、キャンプにはフリョーラとグラーシャだけが残された。そこへ突然ドイツ軍の攻撃が始まり落下傘部隊が降下してくる。二人は森の中へ身を潜め、隙を見てフリョーラの故郷の村へ向かうのだが…。
むごたらしい現実。伝説の戦争映画。
1943年にベラルーシのハティニ村で起こったナチス・ドイツによる戦争犯罪の一つ「ハティニ虐殺」を基にした小説「ハティニ物語」を映画化。旧ソ連でナチス・ドイツ軍による集団虐殺を体験した少年の壮絶な体験が描かれている。
戦争の悲惨さと残酷さを真正面から描き切ったエレム・クリモフ監督の渾身の作品。その過激で強烈な映像は、今なお多くの映画ファンからカルト的に熱い支持を受ける戦争映画の傑作である。
(IVCのBlu-rayサイトより抜粋)
処刑の丘
The Ascent
■監督 ラリーサ・シェピチコ
■脚本 ラリーサ・シェピチコ/ユーリ・クレピコフ
■撮影 ウラジーミル・チュフノフ/パベル・レベシェル
■編集 ワレリヤ・ベロワ
■音楽 アルフレード・シュニットケ
■出演 ボリス・プロトニコフ/ウラジミール・ゴスチューヒン/セルゲイ・ヤコブレフ/リュドミラ・ポリャコワ/ヴィクトリヤ・ゴルジェンツル/アナトリー・ソロニーツィン
■1977年ベルリン国際映画祭金熊賞受賞
【2026/3/28(土)~4/3(金)上映】
「裏切りか? 死か?」
1942年、ナチス・ドイツ占領下の真冬のベラルーシ。パルチザン隊はドイツ軍の追手をかわしながら、銃撃戦の末に森の中へと逃げ込む。多くの負傷者を出し、また食糧も底をつきかけていた。隊の兵士リューバクとソトニコフは食料調達のため近くの農場へ派遣されるが、農場はすでにドイツ軍の襲撃を受け跡形もなく焼き払われていた。引き返す訳にもいかず、二人は雪の中をさらに進むと一軒の農家に辿り着いた。そこはある村長夫婦の家で、食糧も豊富にあった。ソトニコフは彼らがドイツ軍に食料を提供しているのではと見抜き問い詰める。しかし二人は食料調達を優先し、その家で飼われていた羊を持ち帰ろうとするが、ドイツ軍と遭遇してしまう。
二人の兵士の心象と受難を静謐な映像で描いた衝撃作!
ナチス・ドイツに捕えられたパルチザン部隊の二人の兵士たちの揺れ動く心象を、詩的な語り口と鮮烈な映像で描いてゆく反戦映画の傑作。戦争と不条理と無益さ、人間の奥深さと愚かさ、そして生と死の尊厳を卓越した演出力で語りきる。
監督はソビエトで最も偉大な女性監督として知られるラリーサ・シェピチコ。個人の内面の葛藤に徹底的に焦点を当て、唯一無二の作風で高い評価を獲得。本作は1977年ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した。2022年に英国映画協会が発表した「史上最高の映画ベスト100」にも選出され、近年再び注目が集まっている。
(IVCのBlu-rayサイトより抜粋)































