■監督 ジャン=ピエール・メルヴィル
1917年、フランスのパリ生まれ。第二次世界大戦中は、英陸軍、自由フランスの一員として従軍。戦後、映画界入りを希望するが、願いはかなわず自分の手でプロダクションを設立。低予算、少人数のクルー、ロケ撮影中心というミニマムな製作体制で映画をつくるように。長編デビュー作の『海の沈黙』(47)は完全なる自主製作によってつくられた。
その後、ジャン・コクトーの依頼で『恐るべき子供たち』(50)を映画化、『いぬ』(62)、『ギャング』(66)といった犯罪映画から、戦争大作『影の軍隊』(69)まで数多くの作品を手掛ける。なかでもアラン・ドロンを主演にした『サムライ』(67)、『仁義』(70)でよく知られている。
メルヴィルの独自の製作手法は後のヌーヴェルヴァーグの監督たちに大きな影響を与え、ジャン=リュック・ゴダールは『勝手にしやがれ』(59)でメルヴィルを俳優として起用した。1973年死去。
・ある道化師の24時間 (46)
・海の沈黙 (47)
・恐るべき子供たち (50)
・この手紙を読むときは (53)
・賭博師ボブ (55)
・マンハッタンの二人の男 (58)
・モラン神父 (61)
・フェルショー家の長男 (62)
・いぬ (63)
・ギャング (66)
・サムライ(67)
・影の軍隊 (69)
・仁義 (70)
・リスボン特急 (72)
(1946年 フランス 18分 )
■監督・脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
■撮影 ギュスターヴ・ローレ、アンドレ・ヴィラール
■出演 ベビー(道化師)/マイス(道化師)
©1972 STUDIOCANAL
※『海の沈黙』と同時上映です
モンマルトルで働く2人組の道化師マイスとベビーの1日をドキュメンタリー風に描いた、メルヴィルのデビュー短編。パリの歓楽街で舞台に立つ男たちの日常をユーモアとペーソスたっぷりに活写。人生の裏街道を生きる者たちを終生追い続けたメルヴィルならではの傑作!
(1947年 フランス 87分 )
■監督・脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
■原作 ジャン・ヴェルコール
■撮影 アンリ・ドカ
■出演 ハワード・ヴェルノン/ニコル・ステファーヌ/ジャン=マリ・ロバン
©1948 Gaumont
※『ある道化師の24時間』と同時上映です
レジスタンス文学の最高峰といわれるジャン・ヴェルコールの同名小説にメルヴィルが感銘を受け映画化した本作。ドイツ占領下フランスの田舎町。自宅をドイツ軍将校の宿として提供している家族。芸術家肌の将校は、フランス語を使い家族とコミュニケーションを計ろうとするが沈黙で抵抗し続けるフランス人に歯がたたない。
3人の登場人物がほとんど会話を交わさず独白とひとり言のみで進行する異色の心理劇。戦時下での理想主義が挫折していくさまを処女作と思えない端正な映像で表現したこの作品はジャン・コクトーに高く評価され、メルヴィルの出発点として今なお必見の一本である。
(1961年 フランス・イタリア 128分 )
■監督・脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
■原作 ベアトリクス・ベック
■撮影 アンリ・ドカ
■出演 ジャン=ポール・ベルモンド/エマニュエル・リヴァ/イレーヌ・トゥンク
©1961 STUDIOCANAL - Concordia Compagnia Cinematografica S.P.A.
ナチ占領下のフランス。田舎町の学校で働くバルニーは、娘の洗礼を機に宗教への興味が湧き教会へ出向く。相手をしてくれたのは若く情熱的で勉強家のモラン神父。ユダヤ系フランス人である彼女は無神論者だったが、モランの話を聞いている内にキリスト教の教義に心惹かれ、やがてふたりの間には仄かな愛情が…。
ヌーヴェルヴァーグの監督たちを陰で支えた名カメラマン、アンリ・ドカによるハイ・コントラストのモノクロ映像、激しさとストイックな要素がせめぎあう演出が画面に異様な緊張感を醸しだす異色作。ジャン=ポール・ベルモンドとエマニュエル・リヴァの新鮮な存在感も見所。
(1956年 フランス 100分 )
■監督・脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
■脚本 オーギュスト・ル・ブルトン
■撮影 アンリ・ドカ
■出演 ロジェ・デュシェーヌ/ダニエル・コーシー/ギー・ドコンブル
©1955 Studio Canal All Rights Reserved
モンマルトルを根城に夜毎賭博場をめぐり大金をせしめていく初老の男。彼の名はボブ。パリの裏社会に精通し、高級アパルトマンで暮らす伝説の賭博師。ある日彼に耳よりな話が。8億フランの大金がドーヴィルのカジノの金庫に眠っているというのだ。さっそく昔の仲間を巻き込み現金強奪計画を立て始めるボブだったが…。
暗黒街に生息する男たち、いわくありげな女たちの人生模様が名カメラマン、アンリ・ドカのモノクロ映像で鮮烈に描かれていく。人生の終わりにさしかかったボブは果たして一世一代の賭けに勝てるのか。皮肉な幕切れに人生の哀感が漂う犯罪ドラマの大傑作!
(1962年 フランス・イタリア 109分 )
■監督・脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
■原作 ピエール・ルズー
■撮影 ニコラス・エイエ
■音楽 ポール・ミスラキ
■出演 ジャン=ポール・ベルモンド/セルジュ・レジアニ/ジャン・ドザイ
©1962 STUDIOCANAL - Compagnia Cinematografica Champion S.P.A.
“いぬ”とは警察に仲間を売る密告者のこと。ギャングの世界では死をもって償わなければならない危険な行為である。刑務所帰りのモーリスは、かつての仲間シリアンを誘って金庫破りの計画に手を染めるが、なぜか犯行当日警察に情報が漏れ追われるはめに。彼はシリアンが“いぬ”ではないかと疑念をもつ…。
ベルト付きのトレンチ・コートにソフト帽、どしゃ降りの雨、高速道路を疾走する自動車等フィルム・ノワール物の映画には欠かせない雰囲気描写や小道具の活かし方が絶妙な本作。話が二転三転するクライマックスの見事さ。メルヴィル・ワールドの神髄ここにあり。
(1969年 フランス・イタリア 145分 )
■監督・脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
■原作 ジョセフ・ケッセル
■撮影 ピエール・ロム
■出演 リノ・ヴァンチュラ/ポール・ムーリス/ジャン=ピエール・カッセル/シモーヌ・シニョレ
©1969 STUDIOCANAL - Fono Roma
第二次大戦中に出版されたジョゼフ・ケッセル(『昼顔』『サン・スーシの女』)の仏抵抗運動を描いた小説の映画化。ナチス占領下のフランスでレジスタンスとして活動するジェルビエは、処刑寸前に脱走。マルセイユで裏切り者を始末しパリに潜入、ロンドンのド・ゴールと合流するよう命令を受けるが…。
リノ・ヴァンチュラ、シモーヌ・シニョレらフランスを代表する名優たちの緊張感あふれる演技、スリリングなストーリー展開、名撮影監督ピエール・ロム(『カミーユ・クローデル』)による端正な映像が、人知れず戦いに死んでいった者たちへの挽歌としてスクリーンに炸裂する。
(1970年 フランス・イタリア 140分 )
■監督・脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
■撮影 アンリ・ドカ
■音楽 エリック・ド・マルサン
■出演 アラン・ドロン/ブールヴィル/イヴ・モンタン/ジャン・マリア・ボロンテ/フランソワ・ペリエ/ポール・クローシェ
©1970 STUDIOCANAL - Fono Roma
刑務所帰りのコレーは、店で買ったばかりの車のトランクに脱獄犯ボーゲルが隠れているのを発見。互いに相手の素性を察知した2人はスナイパーのジャンセンを仲間に加え宝石店襲撃を企てるが…。
クールな美貌のアラン・ドロン、野性美溢れるジャン・マリア・ボロンテ、アル中でやさぐれた風情を熱演するイヴ・モンタンら豪華三大スターの個性を最大限に活かしたフィルム・ノワールの傑作。テールフィンの大きいアメリカ車、たばこの煙が漂うナイトクラブ等、メルヴィルのアメリカ映画趣味が沈んだ色調のカラー映像で描写され、男たちの野望と挫折のドラマが見るものの胸を熱くする。
【オールナイトに関する注意事項】
・チケットの払い戻しはできません。
・18歳未満の方はご入場いただけません。
・チケットに記載された整理番号順に開映の20分前よりご入場いただき、場内は全席自由席となります。
・混雑している場合は、映画が始まって30分経ちますと、次の休憩時間までご入場をお待ちいただくことがございます。
・飲酒された方のご入場、アルコール類のお持ち込みはお断りいたします。
・他のお客様に迷惑をかける方、不快な思いをさせる可能性のある方のご入場はお断りいたします。
・特別興行のため、招待券はご利用いただけません。
・終了時刻などが変更になる可能性がございます。予めご了承ください。
・当館の事情により上映を中止した場合は、ご購入されたチケットの払い戻しをいたします。
ただし、チケット購入金額以外の費用(当館までの交通費等)はお支払いいたしません。