インド映画界最強のタッグともいえる“映画監督ラージクマール・ヒラニ×主演俳優アーミル・カーン”が織りなす、愉快爽快な世界的大ヒット作『きっと、うまくいく』と『PK』! この二本は、大人になるにつれて口に出せなくなっていくシンプルな疑問や思いを、私たちのハートにぶつけてきます。
『きっと、うまくいく』は人生を自分らしく生きていくヒントをくれる作品です。「成功ではなく、得意なことを突きつめよ」というラージクマール監督のメッセージを170分の間ガンガン注がれ、素直に夢を描く気持ちが湧いてきます。その監督の意志を何よりも支えているのが、自分の信じる道を突き進む、心優しき主人公・ランチョーを演じるアーミル・カーンの存在。彼自身が持っている純粋さと底なしの明るさが、役柄と見事にマッチしていて「アール・イズ・ウェール(きっと、うまくいく)」という単純なおまじないも「なんか、上手くいきそうかも…!!!」と本気で思わせる彼の役者、いや人間としての力強さに惚れ惚れしてしまいます。
世界を席巻した『きっと、うまくいく』の大成功の後、ラージクマール監督が最新作『PK』のテーマとして選んだのは“宗教”でした。多くの人が明確な宗教を持たない日本人には、とっつきにくい、できれば避けたい、触れづらいテーマ。しかし、この物語の主人公が宗教に対して固定概念を持たない“宇宙人”であることで、どこか私たちの感覚に近いものを感じさせます。
ラージクマール監督はインタビューでこう語ります。
『PK』では、人々が敢えて口にはしない感情を、思い切って描こうと思いました。ですから、映画が公開される時、とても心配しました。なぜなら、「私は神を信じ、宗教を信じています」というような感情をこの映画で描き、それに対し「それでいいのですよ、でも、あなた方の信仰心に敢えて私は向き合いますよ」という映画であったからです――(『PK』パンフレットより抜粋)
彼は「なぜ、神様を信じるのか」「なぜ、見返り無しに神様は助けてくれないのか」「なぜ、違う神様を信じる者同士が対立し、殺し合うのか」といった単純な疑問へ、気持ちを否定するのではなく物語を通して、信じている物事に真摯に向き合う眼差しを描いたのです。その視点は宗教に限ったものだけではなく、私たちが日常的に“こういうものだ”と思い込んで、諦めているすべての物に対しての投げかけなのかもしれません。
そんな、少しぎくりとする社会的な問題を扱いながらも、笑いあり、涙あり、ラブストーリーありのハートウォーミングな家族モノで、歌って踊るSFというインド映画らしいエンターテイメントの特盛フルコースを、素晴らしい完成度でやってのけています。そして、それらすべてが成立するのは、やはりアーミル・カーンの魅力あってこそだなと、改めて感じるのです。
情報が溢れかえる現代に生きていると、全てをフラットな視線で見ることが難しくなる瞬間があります。自分の理想や信念を持っていても、常識や、偏見、周りの意見に流されて「これはこういうもの。考えても変わらない」と、くじけてしまう事もきっとあるでしょう。そんな時に観る『きっと、うまくいく』と『PK』は、疲れて弱った心と凝り固まった頭を圧倒的なエンターテイメントの力でほぐして、現実に真正面から向き合うパワーをくれる最高の二本なのです。
きっと、うまくいく
3 idiots
(2009年 インド 170分 シネスコ)
2017年4月15日から4月21日まで上映
■監督・脚本・編集 ラージクマール・ヒラニ
■製作・脚本 ヴィドゥ・ヴィノード・チョプラ
■脚本 アビジャート・ジョーシー
■撮影 C.K.ムラリーダラン
■編集 ランジート・バハドウル
■音楽 シャンタヌ・モイトラ/アトゥル・ラニンガ/サンジャイ・ワンドレカール
■出演 アーミル・カーン/カリーナ・カプール/R・マーダヴァン/シャルマン・ジョーシー/ボーマン・イラニ/オーミ・ヴァイディヤ
■2010年国際インド映画アカデミー賞史上最多16部門独占(最優秀助演男優賞・最優秀主演女優賞・最優秀監督賞など) ほか多数受賞・ノミネート
©Vinod Chopra Films Pvt Ltd 2009. All rights reserved
躍進するインドの未来を担うエリート軍団が集う、超難関理系大学ICE。未来のエンジニアを目指す若き天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョー、機械よりも動物が大好きなファラン、なんでも神頼みの苦学生ラージューの三バカトリオが、鬼学長を激怒させるハチャメチャ珍騒動を巻き起こす。彼らの合言葉は「きっと、うまくいく!!」
ハリウッドを凌ぎ世界一の製作本数&観客動員数を誇る映画大国インドで、なんと歴代興行収入No.1、インドアカデミー賞では史上最多16部門独占の偉業を達成した『きっと、うまくいく』。全世界興収75億円を叩き出し、世界でリメイクが決定、日本でも異例の大ヒットを記録した。
主演は“ミスター・パーフェクト”の異名を取るボリウッドの大スター、アーミル・カーン。実際には40代半ばなのに、ハツラツとした若者にしか見えない素晴らしい名演技を披露している。
抱腹絶倒の学園コメディに見せかけつつ、根底に流れているのは、学歴競争が過熱するインドの教育問題に一石を投じて、真に今を生きることの素晴らしさを問いかける万国普遍のテーマ。そしてやはりボリウッドには外せない、作り込まれた歌とダンスシーン! 笑って泣いて心がほっこり温まる、奇跡のインド映画。何度でもスクリーンで観たくなる!!
PK
PK
(2014年 インド 153分 シネスコ)
2017年4月15日から4月21日まで上映
■監督・製作・脚本・編集 ラージクマール・ヒラニ
■製作 ヴィドゥ・ヴィノード・チョプラ
■脚本 アビジャート・ジョーシー
■撮影 C・K・ムラリーダラン
■音楽 シャンタヌ・モイトラ/アジャイ=アトゥル/アンキト・ティワーリー
■出演 アーミル・カーン/アヌシュカ・シャルマ/スシャント・シン・ラージプート/サンジャイ・ダット
©RAJKUMAR HIRANI FILMS PRIVATE LIMITED
留学先で悲しい失恋を経験し、今は母国インドでテレビレポーターをするジャグーは、ある日地下鉄で黄色いヘルメットを被り、大きなラジカセを持ち、あらゆる宗教の飾りをつけてチラシを配る奇妙な男を見かける。チラシには「神さまが行方不明」の文字。ネタになると踏んだジャグーは、「PK」と呼ばれるその男を取材することに。
「この男はいったい何者?なぜ神様を捜しているの?」しかし、彼女がPKから聞いた話は、にわかには信じられないものだった。驚くほど世間の常識が一切通用しないPKの純粋な問いかけは、やがて大きな論争を巻き起こし始める――。
日本中に笑いと涙と拍手喝采を巻き起こしたインド映画『きっと、うまくいく』。その監督・主演タッグが贈る最新作。SFコメディ、切ないラブストーリー、偏見や宗教問題といったテーマに斬り込んだ社会派ドラマなど、多数のジャンルを1つの映画に注ぎ込む手法は本作でさらに冴え渡り、『きっと、うまくいく』を超えるインド歴代興行収入No.1の記録を樹立。全米でも記録的大ヒットを樹立し、世界中のメディアを唸らせている。
主人公PKに扮したのは『きっと、うまくいく』のランチョーを演じたトップスター、アーミル・カーン。「今までで最も難しい役」と語るPKを愛嬌たっぷりに熱演。監督のラージクマール・ヒラニは、前作に続き「常識にとらわれず、わが道をいけ!」という熱いメッセージを貫く。国境も文化の壁も越えたストーリーと歓喜の涙がこぼれ落ちる圧巻のクライマックス。映画大国インドが放つワールドワイドな感動をとくとご覧あれ!