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司会:本日はよろしくお願いします。お二人は以前から親交があると伺ってるんですけれども 。

山下:そうですね。一年に一、二回くらい、飲みましょうってことになりますね。それでお互いに近況をぶちまけ合ったり。

西川:山下監督は作品ペースが早いので、私が山下監督の作品を観て面白いと思ったらこちらからメールしたりしますね。それがきっかけでまた飲みましょうって感じになったり。 初めて会ったのは、みちのく国際ミステリー映画祭(現・もりおか映画祭)ですね。

山下:西川監督は『蛇イチゴ』(2003)で、僕は『ばかのハコ船』(2002)をコンペの新人賞枠みたいなのに出品していたんですね。賞金100万でしたね。

西川:もらった(笑)。

山下:負けたちゃったんですよ(笑)。

西川:その時、山下さんの名前は知ってたのかな? 作品は観てなかったんだけど、会場で『ばかのハコ船』を見せてもらって、すごい面白いなって。

山下:よく一緒にご飯食べたりとかしましたね。そこにはポン・ジュノ監督もいましたよね。

西川:ポンさんは審査員でしたね。

山下:その時僕はポン・ジュノの作品をまだ観てなかった。

西川:私も観てなかった。

山下:『殺人の追憶』(2003)が韓国で大ヒットしている時でした。すごい監督さんなんですよって言われたんですけど。でも僕ら二人的には北方謙三さんが葉巻吸いながらいる事の方に「おお、すげえ」って(笑)。

西川:本当にブランデーとか飲んでたよね(笑)。

山下:それで映画祭終った後に『殺人の追憶』観て、「すごい人だったんだ」って(笑)。もっと話しとけば良かった。

お互いの撮影現場を訪ねて

西川:(『オーバー・フェンス』の)現場に行かせてもらったんですよね。函館の。

山下:そうです。来てくれたんです。「マイルが余ってるから行くね〜」って(笑)。

西川:そうそう。オダギリさんが主演だったから、ちょっと会いに行ってみようかなと思って行ったんですよね。

司会:どのシーンの撮影だったんですか?

山下:一回目のキャバクラのシーンだよね?

西川:赤いドレスで踊るシーンですよね。あとは、焼肉屋。

山下:その時、まだ撮影始まって一週間くらいで、結構、俳優陣が皆揃ってたんで、その(撮影の)後、一緒に飲みに行ってくれて。ありがとうございました(笑)。

西川:飲みに行ったっていうか、ホテルのロビーで飲んでたんだけど(笑)。俳優部はすごく仲が良さそうでしたね。

山下:そうですね、なんか羽伸ばしてる感じしましたね。

西川:満島(真之介)君とかは、撮影が無いのに現場に来ていて。本当にずっと一緒にいる感じでしたよね。

山下:うん。(役が)本人とは真逆のキャラじゃないですか。

西川:ホントそう。だから、観てびっくりしたもん。こんな役だったんだと思って。

山下:本人はもうニコニコ、ニコニコしてエネルギー有り余る感じで。だから撮影無い日も現場に来たり、あとは、とにかく寝てなかったみたいなんですよ、ベッドで。風呂も入らずに、というのを繰り返して。そういう役作りをしてました。

西川:そうなんだ。

山下:で、それをオダギリさんが馬鹿にするっていう(笑)。

場内:(笑)

山下:「ふーん」って言ってました(笑)。それが面白かったです。「やって意味あんの?」って(笑)。

西川:そういう人なんですよね。(笑)。

山下:そういう人なんですよ、オダギリさんは。そこで、コミュニケーションが生まれたんですよね。

西川:訓練校も函館だったんですか?

山下:函館ですね。実際に原作の佐藤さんが通っていたところは別にあって。もう一つのところを撮影では使いましたね。
で、僕も行ったんですよ、『永い言い訳』の現場へ陣中見舞いに。ほんっと、最後の最後のシーンですよね。

西川:クランクアップの日にね。『永い言い訳』で最後に本木さん(主人公の衣笠幸夫)が賞を獲ってそのパーティのシーンで、一番大変な時に来てくれて(笑)。

山下:『お盆の弟』(2015)の大ア章監督と行きました。西川監督はおれら二人いるから気を遣ってしゃべってくれたんですけど。あの日の撮影は大変だったんですね。

西川:ものすごく大変で、あんまり納得のいかないカットもあります(笑)。

山下:そんなに大変な時だとはわかってなくて…。

撮影監督との仕事について

西川:私は山下さんの現場を見て、カット割りを自分でやってないってことに驚きましたね。普通の日本の監督は自分でカット割りをして来るか、その場でカット割りをして助監督とかスタッフに伝えてカメラ位置を決めていくんだけど、山下さんはお芝居しか見てなくて、助監督さんと撮影の近藤(龍人)さんとで「このシーンはここから一発撮って、その後は寄り、寄りで最後引いて終わりましょう」みたいな組み立てをしている。すごく楽だね、って(笑)。

山下:5カット目以降くらいから頭の中で処理できないんですよ(笑)。もう、あとは任せる、みたいな。

西川:それで今までずっと撮ってきたってこと?

山下:そうかな。だから最初の頃はワンシーン、ワンカットが多かったんだと思う(笑)。

西川:それは近藤さん以外と組む時も?

山下:カメラマンによっては微妙には違うかもしれないですね。
近藤くんとはそれこそ自主映画から一緒にやってきたので、どうやってるのか自分ではちょっとわかんなくなってるかもしれない。ただ、近藤くんは才能ある演出家だから、彼の考えている演出意図には絶対何かあるはずだと思ってるんですね。自分でも絶対ここは譲れないってところはありますけど、基本的には近藤くんの方が正しいんじゃないかと。自分の中でカット割りとか撮影の哲学があんまり無いから、「このカメラマン、合わない」ってことはあんまり無いです。「このカメラマンとならどううまく撮影できるかな」というようにやって来た感じですね。

西川:『永い言い訳』のときは是枝監督作品の撮影をたくさん手がけられてきた山崎裕さんにやっていただいたんだけど、山下さんも組まれたんでしたよね?

山下:JTのコマーシャルで組みました。あと「山田孝之のカンヌ映画祭」(TV、2017)でパイロットフィルムを作ってもらいましたね。

西川:カメラマン役で…。

山下:ふふ、いや、「役」じゃない(笑)。「マン」で、「役」じゃないです。山崎さんとはどうでした。初めて組んだんでしたっけ?

西川:長編は初めてですね。『永い言い訳』は子どもも出てくるし、予測不能なことも多いだろうなと。演技経験のないような子もキャスティングしたし、長く撮影をする企画だったから、少人数体勢に適応してくれるカメラマンがいいなと思って。照明機材がふんだんに揃ってないと嫌だとか、色々環境が整わないとカメラ回さないっていう人もいるじゃないですか? それだと、今いいから回したいなって時に、適応してくれないだろうと思って山崎さんにオファーをしたんだけど…。

山下:大変でした?

西川:現場では5歳児が一番下だったんだけど、山崎さんが75歳。もうすごい幅のある現場なのよ。で、5歳児と同じくらい、山崎さんの取扱いが難しかった(笑)。

山下:無邪気過ぎて(笑)。でも、出来あがった画を観て「うわ、めちゃくちゃ的確でいい撮影じゃん」とビックリしました。山崎さんが撮影を担当された作品を全部観てるわけじゃないですけど、例えばタナダ(ユキ)さんの『俺たちに明日はないッス』(2008)を観ても凄い画を撮るなって当時思ったし、あと河瀬直美監督の『沙羅双樹』(2003)の現場に行ってたんですけど、手を怪我して包帯でグルグル巻きにして、何針縫っても「手持ち!」みたいな感じで。そういう「ライヴだ!」って感じのカメラマンだと思ってたんですけど、『永い言い訳』の画は重心をかけてちゃんと撮っていて。

西川:「手持ちしかできないと思わないでね」って言われた(笑)。
わりと三脚を立ててきちっと撮っていった部分もあるし、場面によっては手持ちで行きましょうと言うこともありました。山崎さんは手持ちの方が安定感があって、絵画的な画を撮ろうとはしないんですよ。カメラと身体が一体になったような人なので。でも、ドキュメンタリーのカメラマンだからかもしれないけど、どこからどうつないでもつながり易い画になってる。編集した後に、山崎さんのカメラがいかに的確かっていうことがわかりましたね。

お互いの作品で好きなところ

司会:お互いの映画はもう観てらっしゃるんですよね。  お好きなシーンとかはありましたか?

西川:(『オーバー・フェンス』は)訓練校の人間関係みたいなのがおもしろかった。そういう、うだつが上がらないような、男の人達のかたまりを山下さんが描くとやっぱりいいなって感じましたね。居酒屋から出てきた後の感じとか。

山下:あ〜。「ナンパでもします?」のところ? あそこねぇ、映画の中で唯一おれがセリフ書いたんですよ。ちょっと嬉しいな(笑)。

西川:ほらぁ。らしいなぁって思った。(『オーバー・フェンス』は)山下節みたいなのが抑えめの作品だったと思うんですよね。でも私は山下映画のファンだから、子供が遊園地で乗り物に置き去りにされるシーンとか、蒼井優ちゃんが動物を解放した時に、亀がすっごいところまで出てきてたりするのとか、山下さんぽいなと。

山下:「亀多いね」って言われましたね(笑)。亀置きやすいんですよ、あんまり動かないから。すごい使いまわしてるんで(笑)。

場内:(笑)

西川:最後のソフトボールの試合の時の、おじいちゃん(鈴木常吉さん)と孫の雰囲気とかもすごい良かったですね。

山下:僕はもう、『永い言い訳』はずっと泣いてましたね(笑)。うるうるうる〜ぽろぽろぽろ〜っと。本木さん演じる主人公って最初からダメじゃないですか。奥さんが髪切っているところからすでに。「あーなんかこれやな予感するな」って(笑)。自分に跳ね返ってくる系だなと。

西川:あはは。

山下:いちいち彼を追っていくんですけど、ことごとくダメだなって。自分と同化してるんですよね。「これっ!」って結論付けて終わるわけじゃないんだけど、体にじんじん残るような映画でしたね。
なんで西川さんはこう男の人を描けるのかなって。厳しいなって。俺の方がまだ優しいですよ(笑)。(オダギリさんに)最後ホームラン打たせるし(笑)。

西川:そうだね(笑)。
(『永い言い訳』は)男の人に、厳しいって言われることが多かったですね。でも自分では“男を描いてる”って意識はそんなに無くて、女で描くのはあまりに直接的で恥ずかしくて描きづらいから。自分の中にある汚さとか弱さとかを、ストッパーかけずにはっちゃけさせるために、男の人で描くことが多いんだと思う。男の人から「なんであんな事までわかるんですか」って言われるんだけど、私自身は男の人のことをわかってるっていう意識もないんですよ。
逆に、山下さんの映画に出てくる女の人って、すごくリアルだなって思うことが多い。女の人のダメな部分をうまく描いてるというか。女には女のちょっとおかしい、笑えるところってあるんだけど、それを描くのがすごい難しいんですよ。例えば『もらとりあむタマ子』(2013)のあっちゃん(前田敦子)とか、ああいうだらしなさ、可笑しみって良いなぁと思うんですよね。
今回の蒼井優ちゃんのキャラクターって、珍しいですよね?

山下:珍しいですね。もちろん“こういう女”っていうのはベースにはあったんだけど、正直僕もわかんなかったんですよね。脚本の高田さんとは、「わかんないままでいっか」みたいな。脚本から説明を全部排除しちゃった。だから蒼井さんは大変だったと思いますよ。

西川:蒼井優ちゃんがああいう人にしか見えないもんね。そのくらいハマってるから、「どうやって演出したの?」って山下さんに聞いたら、「いや、お任せ」って(笑)。

山下:無言のプレッシャーをこう…(笑)。

西川:ダンスとかは彼女ならではだよね。

山下:ああいうのは(脚本の)高田さんうまいなぁって思いますよね。

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自分で脚本を書くことについて

山下:僕は脚本を書かないので、そこはやっぱり西川さんと大きく違いますね。

西川:でもずっと向井(康介)さんと連名なイメージがあったけど、何年くらい前まで書いてたの?

山下:クレジットされたのは『松ヶ根乱射事件』(2006)が最後。それ以降は、まぁ、印税とか申し訳ないじゃないですか、ちょっと口出しただけで(笑)。

西川:優しいね(笑)。

山下:いやいや。『もらとりあむタマ子』は久々に二人で書いたんですよ。もともとは1話10分くらいのケーブルテレビの番組だったので、二人できゃっきゃ言いながら。1エピソード2、3時間で書いちゃって。俺、放っておくとああなるんですよ、基本的に幼稚だから。『どんてん生活』(1999)『ばかのハコ船』の頃の、男の子って感じにいつでも戻れちゃう。「タマ子」を作った時は36、7歳だったんだけど、「まだ俺たちこういうのできんだなぁ」って(笑)。

西川:まだ中学生やってんだなぁみたいな。

山下:中一くらい。まだ中二にもなれてない(笑)。放っとくとウンコとかおならで爆笑できちゃう(笑)。どんなに練った言葉のギャグよりも、バナナの皮でつるっと滑ってカツラがぽーんって飛んだほうが死ぬほど笑える自信あるんで(笑)。

場内:(笑)

西川:でも最近嫌なんでしょ、自分の台詞が。

山下:やだやだ。自分の意図とか、やりたい匂いとかが出てると。西川さんも嫌じゃないですか?

西川:嫌。嫌になってきた。
『永い言い訳』は、子どものシーンとかは台詞書かずにト書きだけにしておいたりして。後から観返して好きなシーンって、自分でしっかり決めてそれらしいことを言わせているところよりも、台詞が無いシーンとか、子どもと本木さんでその場を作ったシーンとかの方が好きですね。(自分の書いたものだと)「またこれか」って。自分の発想って限られてるから。

山下:僕の方は、もともと最初はオリジナルでやってたんですけど、厳密にいうと『リアリズムの宿』(2003)から原作のある企画なんですよね。そう思うと最初の2本くらいしか自主映画を作ってない。向井と、「そろそろオリジナルでやろっか!」って言いながら早10何年(笑)。
あ、だけど、今年の正月に、久しぶりにパキンっとひらめいて、向井にメールしましたね。おれから初めて。

西川:はじめて(笑)。自主の頃は?

山下:まぁ『どんてん生活』の頃は、『真夜中のカーボーイ』(1969)とか『スケアクロウ』(1973)とか、男二人だけのアメリカン・ニューシネマみたいなのがやりたいって俺が言って。言いだしっぺは俺でしたけど、結局一行も書けなくて向井に来てもらった。最初からほんとに一人で書けなかったですね。
西川さんは原作から撮影まで、3年くらいかけて、きっちりと丹念に作ってるじゃないですか。俺はもう次から次へ。
3年前くらいかな、『超能力研究部の3人』(2014)、「深夜食堂」(2009〜2014)、『味園ユニバース』(2015)作って「山田孝之の東京都北区赤羽」(TV、2015)と、それ全部続いてたんですよ。その時はパニックだったけど、そうじゃないとダメな体になっちゃったみたい(笑)。1本をコトコト煮込むと最初の何かが無くなっちゃう。西川さんとは同世代だけど、そこが俺との違いですよね。

西川:そうね〜。私はやっぱり現場よりも机についてる方が本拠地って感じがするかな。現場は朝も早いし嫌だなみたいな(笑)。まぁそれも変わってきつつあるけど。さっきも言ったように自分で書いた台詞は所詮なぁって。

山下:じゃあ別の人の脚本ってことも、この先あり得るの?

西川:う〜ん、それは無いと思うね。自分の仕事が無くなっちゃう感じがするから。撮るだけやれって言われても…大変じゃん、監督するって(笑)。
でも人が書いた原作ものって良いなと思う。原作の台詞をそのまま(映画に)移植するとか。一回だけ、NHKの朗読シリーズみたいな企画で、太宰治の「駆込み訴え」っていう話をやったんですよ(「太宰治短編小説集/駆込み訴え」2010)。原文そのままをナレーションで読んで、それに合った映像をつけるような。(聖書の)ユダがキリストを裏切る話で、一人称でなぜ私(ユダ)が裏切ったかを語るの。それを女子高生ものに置き換えて作ったんだけれど。
人が書いた言葉だとこんなに大船に乗った気持ちでできるんだぁって(笑)。絶対的に良いものだから自信が持てるよね。こういう楽しさってあるんだなって思えた。まぁだから、もしかしたら人が書いた脚本でも絶対的に素敵だって思えたらいけちゃうのかも。

山下:逆に、脚本だけを誰かに預けるっていうのも可能なの? 他の人が監督するの。西川さんできそうだけど。

西川:ああ、それ良いよね。やったことない。あ、でも私やっぱり筆がものすごく遅いから、2年くらい待ってくれる人もいないし、オファーも来ないよね。

山下:そうなってくると、あとはもう自分しか監督いないみたいなことになるよね。

西川:そんな感じかなぁ。でも、やれるんだったら、山下さんに撮って欲しいけどね。

温泉で共同合宿開催?!

西川:向井さんがこの前、毎日映画コンクールで脚本賞獲られていて、久しぶりに会ったんだけど。私は副賞で、湯河原の温泉のペアチケットをいただいたんだけど、向井さんも湯河原の温泉に籠るんだって?

山下:え、籠るの? 知らなかった。

西川:あぁ。なんか「書くときあるんだよね」って言ってた。私は是枝さんたちと茅ケ崎の旅館に3〜4日籠って合宿みたいな感じのをやったりもするんだけど。一回山下さんと向井さんが書いてるところに、こっちも共同合宿みたいな形で行ってみたいな〜って。

山下:はははは(笑)。湯河原で?

西川:書いてるところを見たいと思って。どういう風に作っているのかな〜っていうのがすごい興味があって。二人で脚本を作るって発想は私にはないから。見てみたいなって思いましたね。

山下:4年くらい前かな〜。向井くんと二人で岡山の温泉に行ったんですよ。「オリジナル書くぞ!」って言って。

西川:うん。

山下:結局毎晩スナック行って(笑)。

西川:あはは。

山下:すごい良い温泉入って、もうなんもやる気なくなってしまって。もうあれはなんだったんだろうって(笑)。でも、最初の一日目はテンション上げて、「よし!」ってお互い意見を言い合うんだけど、結構それで出し尽くしちゃって。あとはただ二人で温泉入ってたね〜。だから、温泉にもよるよね(笑)。

西川:あはは(笑)。でも、前話したときに「あ、これいける!」ってアイディアが出かけると、なぜか飲みに行くって言ってたよね。書かずに。

山下:あぁ〜、そうかもしんない。

西川:私もなんか「あ、きた!」って思うとテレビとか付けちゃうんですよ。その瞬間に。書けばいいのに。

山下:あはははは(笑)。僕らも盛り上がって、二人で「うわー!」って書き込むとかじゃないんですよね。一個なんか生まれたら、確かに「よし。ちょっと散歩行こうか」とかなってるかもしんない。

西川:うんうん。いや、一回「どうなってる〜? 山下さんたちは」とか言いながら、見させていただきたいって思ってます。

山下:食堂で皆で一緒にご飯食べるとか。じゃあ、湯河原で(笑)。

作品の自己分析――今までとこれから

司会:そろそろ良いお時間になってきました。せっかくなので、今回上映の作品の話に戻ります。どちらも今までとは、ちょっと違う作品になったのかなという印象を受けたんですけれども。集大成的な感じはありましたか?

西川:集大成というとね、もう終わり…みたいな感じがしてちょっと違うかなと思うけども、でも、40年生きてきての人生に対しての実感みたいなのはかなり詰めてるなとは思います。30歳の時には書けなかった。私は子どもはいないけど、子どもがいない人間にとって、子どもってどういう風に見えるのかとか、いないことをどう感じるのかとか。なんだろうな、男の人と女の人の関係性とかも、自分が見て感じたところとかを出してはいるので。作家っていうシチュエーションも含めて私小説的でもあるから、そういう意味では、30代の集大成みたいな感覚ではあるかな。だからあんまり次は、自分に近いモチーフとかはやりたくないな、しばらくは。結局考え方が似てきちゃうから。

山下:僕の方は、全然集大成とは思ってなくて、逆にリスタートな感じで。「あ、こうゆうの出来るんだ、おれ。」みたいな。こういうメンバーと、こういう原作と、こういう感じでこういう映画が撮れるっていう、自分の知らなかった部分をまた広げられたというか。

西川:何が一番、発見があった? 一番っていうのもあれだけど。

山下:なんだろう…説明しづらいんだけど、僕はマッチポイントっていう会社で、『リンダ リンダ リンダ』(2005)からずっと同じ根岸(洋之)さんっていうプロデューサーとやってきたんだけど、知らない間にチームって固まってたんだなって思いましたね。『オーバー・フェンス』は、『そこのみにて光輝く』チームに僕だけがスコッと入ったから。やっぱりチームというか、携わる人によって違った領域まで行ける感じがしたというか。意外と自分が凝り固まってたんだなって思いましたね。そう、だから集大成というよりも、「あ、こういう一面があったんだ、おれ。」って。だからこれから先、これを踏まえて、またちょっと違うものをと…でも、凝り固まるよね。色々。

西川:なってくるよね、やっぱり。でもすごいフットワーク軽いもんね。山下さんは。色んな企画にいい意味で乗っかってやってみるじゃない? 飛び込んでいく感じはすごく軽やかだなと思う。

山下:うーん、さっきも控え室で言ってたんですけど、自分らしさって言ったら『もらとりあむタマ子』とかになるじゃないですか。映画にするつもりじゃなくて作ったのが映画になって、しかも自分の持ち味を逆に発見するみたいな。
やりたいテーマとか、僕はなにか明確にあるわけじゃないので、“誰と作るとどういうことになるのか”ということを、そろそろ意識的にやっていかなきゃいけないんじゃないかなとは思うようになってきた。もう自分で人を選んでいいんじゃないかなって。

最後に・・・

西川:立ちっぱなしだった方、すみませんでした。長々とありがとうございました。10月の半ばに公開したんですけど、こうやって細く長く都内で掛けていただいて、二回目の方も来てくださってるんだと思いますけど、長い事愛していただいて感無量です。どうもありがとうございました。

山下:僕も9月から公開して細く長くやってもらってて。とりあえずこれからも頑張ります。映画作るんで。

西川:公開予定とかはあるんですか?

山下:…ちょっとまだ言えない(笑)。ですが、撮影するものとかはあるんで来年公開とかになるのかもしれないです。頑張って映画作ってまた西川さんとこうやってトークできればいいですね。どうもありがとうございました。

西川:ありがとうございました。

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