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★製作から長い年月が経っているため、『ダイヤルMを廻せ!』『見知らぬ乗客』は本編上映中お見苦しい箇所、お聞き苦しい箇所がございます。 ご了承のうえ、ご鑑賞いただきますようお願いいたします。

「観客をほんとうに感動させるのは、メッセージなんかではない。俳優たちの名演技でもない。原作小説のおもしろさでもない。観客の心をうつのは、純粋に映画そのものなのだ」アルフレッド・ヒッチコック

トリュフォーやシャブロルなどのヌーヴェルヴァーグの映画作家たちにとって、ヒッチコックはまさに映画そのものでした。彼らはヒッチコックの映画を自分たちなりに深化、発展させて映画を作っていきました。

もちろん心酔したのは彼らだけではありません。ドキュメンタリー映画『ヒッチコック/トリュフォー』では、トリュフォーがつまびらかにしたヒッチコックの映画哲学と華麗なテクニックが、現代の映画作家たちにとっても決定的なものだったことが浮き彫りにされます。スコセッシやフィンチャー、デプレシャン、黒沢清など世代や国籍を超えた映画作家たちの口からその魅力が語られる本作は、あまりにも贅沢なヒッチコックの副読本的作品です。

とはいえ、これ一本を観てヒッチコックを分かった気になるのが早計に過ぎるのは言うまでもありません。私たちが実際に作品に触れ、そのおもしろさを自分たちなりに(再)発見することこそ、トリュフォーや『ヒッチコック/トリュフォー』のケント・ジョーンズ監督の願いなのだと思います。今回上映する代表作三本を併せて観ることで、その魔術的世界をよりディープに堪能して頂けたら幸いです。

(ルー)

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ヒッチコック/トリュフォー
Hitchcock/Truffaut
(2015年 アメリカ/フランス 80分 DCP ビスタ) 上映日 11/11(土)〜17(金)★連日上映 ■監督・脚本 ケント・ジョーンズ
■脚本 セルジュ・トゥビアナ
■音楽 ジェレマイア・ボーンフィールド

■出演 マーティン・スコセッシ/デビッド・フィンチャー/アルノー・デプレシャン/黒沢清/ウェス・アンダーソン/ジェームズ・グレイ/オリヴィエ・アサイヤス/リチャード・リンクレイター/ピーター・ボグダノビッチ/ポール・シュレイダー

©COHEN MEDIA GROUP/ARTLINE FILMS/ARTE FRANCE 2015 ALL RIGHTS RESERVED. PHOTOS BY PHILIPPE HALSMAN/MAGNUM PHOTOS

君たち、たかが映画じゃないか

pic1962年の春、トリュフォーは、敬愛する監督ヒッチコックに長い手紙を送った。『大人は判ってくれない』でヌーヴェル・ヴァーグの旗手として時代の寵児であった若き映画監督による尊敬に満ちたその手紙は、ヒッチコックの心を動かし、ここに映画史に残る歴史的インタビューが実現、「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」が生まれることとなる。ヒッチコックを真の映画作家、芸術家として世界に認識させることに成功したこの映画本は、1966年に出版された後に各国で翻訳され、世界中の若い映画作家や映画ファンのバイブルとなった。

本作は、その「映画術」のための貴重なインタビュー音源とその後20年にわたるふたりの友情を感動的に映し出すドキュメンタリー。さらにマーティン・スコセッシ、デヴィッド・フィンチャー、ウェス・アンダーソン、黒沢清といった錚々たる現代の10名の巨匠たちが登場し、独自の視点でヒッチコック映画を解説するという豪華なフィルムである。

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裏窓
Rear Window
(1954年 アメリカ 113分 DCP ビスタ)
上映日 11/11(土)、14(火)、17(金) ■監督・製作 アルフレッド・ヒッチコック
■原作 コーネル・ウールリッチ
■脚本 ジョン・マイケル・ヘイズ
■撮影 ロバート・バークス
■音楽 フランツ・ワックスマン

■出演 ジェームズ・スチュワート/グレース・ケリー/セルマ・リッター/レイモンド・バー/ ウェンデル・コーリイ

©1954 Patron, Inc. Renewed 1982 Samuel Taylor & Patricia Hitchcock O'Connell, as Co-Trustees. All Rights Reserved.

窓から目撃した殺人事件――
車椅子の主人公に魔の手がのびる!

pic足を骨折し、車椅子とベッドでの生活を余儀なくされているカメラマンのジェフ。彼は退屈しのぎにと、窓から見える向かいのアパートの人々を眺めるのが日課になっていた。ところがある日、セールスマンの夫と口論をしていた病床の妻がいなくなっていることに気づく。恋人のリザや看護師のステラに協力を依頼し、裏窓を通した調査がはじまる。男が妻を殺したのでは、という数々の状況証拠をつかみ、疑いは確信へと変わっていく…。コーネル・ウールリッチの原作をヒッチコックが大胆に改変、技巧の極みを尽くして映画化したワンセットドラマの傑作。

トリュフォー:
「わたしは批評家時代に、『裏窓』をはじめて見て、これは陰惨なゲームだ、ペシミズムをこえて残酷な映画ですらある、と書いたものでした。いまのわたしはそんな風にこの映画を見ていません。(中略)むしろ、そののぞきのまなざしにはある種のやさしささえ感じられるのです。ジェームズ・スチュワートが裏窓から見る情景は、グロテスクでおぞましい人間たちの悲惨さではなく、人間の弱さのイメージなのだと考えるようになりました」

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ダイヤルMを廻せ!
Dial M for Murder
(1954年 アメリカ 105分 35mm ビスタ/MONO)
上映日 11/12(日)・11/15(水) ■監督 アルフレッド・ヒッチコック
■原作・脚本 フレデリック・ノット
■撮影 ロバート・バークス
■音楽 ディミトリ・ティオムキン

■出演 レイ・ミランド/グレース・ケリー/ロバート・カミングス/アンソニー・ドーソン

©1997 Warner Bros., Monarchy Enterprises B.V. and Regency Entertainment (USA) Inc. All rights reserved.

夫が仕掛けた恐ろしい罠!そして殺人…
グレース・ケリーのヒッチコック作品初主演作!

pic 元テニス選手のトニーと資産家の娘マーゴは一見仲の良い夫婦であったが、夫婦仲は冷めており、マーゴは推理作家マークと不倫の恋に陥っていた。それを知ったトニーはマーゴの殺害を企て、旧友レズゲートの弱みにつけこんでマーゴの殺害を依頼する。しかし襲われたマーゴがとっさにハサミでレズゲートを殺害してしまう。その事故に機転をきかせたトニーは、その事件を正当防衛ではなく、動機ある殺人となるように仕向けるのだった…。『裏窓』と同じ年に製作されたフレデリック・ノットの戯曲の映画化。ヒッチコック作品初出演となるグレース・ケリーはその後立て続けに主演することになった。また、当時は立体映画(3D映画)として制作された。

トリュフォー:
「これはわたしがヒッチコック映画のなかでも最もくりかえして見ている作品の一本であり、そして見かえすたびに、より大きなたのしみを味わっているということを申し上げておきたいと思います。(中略)わたしたちはその静かな様式化されたせりふの一句ごとに、ほとんど宗教的な、敬虔な気持ちで耳傾けるのです」

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Strangers on a Train
(1951年 アメリカ 101分 35mm スタンダード/MONO)
上映日 11/13(月)・11/16(木) ■監督 アルフレッド・ヒッチコック
■原作 パトリシア・ハイスミス
■脚本 レイモンド・チャンドラー/チェンツイ・オルモンド
■撮影 ロバート・バークス
■音楽 ディミトリ・ティオムキン

■出演 ファーリー・グレンジャー/ロバート・ウォーカー/ルース・ローマン/レオ・G・キャロル/パトリシア・ヒッチコック/ローラ・エリオット

©1951, Renewed ©1979 Warner Bros. Entertainment Inc.All rights reserved.

「次は君の番だ!」
次第に追いつめられて行く男、そして恐怖――
アメリカ時代のヒッチコックの最高傑作と名高いサスペンス

pic列車の中でテニス・プレーヤーのガイは見知らぬ乗客に声をかけられる。ブルーノと名乗るその男は、ガイが妻と不仲で、上院議員の娘アンと結婚したがっているなど、ガイの私生活を驚くほどよく知っており、ガイの邪魔な妻を殺す代わりに自分の父親を殺してくれと交換殺人を持ちかける。相手にしないガイだったが、ブルーノは殺人を実行。アリバイがなく、警察から疑われるガイに、ブルーノは執拗に脅迫する。「次は君の番だ!」と…。『太陽がいっぱい』のパトリシア・ハイスミス原作の犯罪小説の映像化。交換殺人を持ちかけられた男の恐怖と動揺を描いた、ヒッチコックの代表作。

トリュフォー:
「あなたはいつも、まず状況設定が強烈な映画をつくる。『見知らぬ乗客』はまさしく時刻表(ダイヤ)のような映画です。その完璧なスタイルの美しさは眼も心も酔わせてくれるので、観客を、完全に魅惑しえたのではないかと思います」

※引用したヒッチコックとトリュフォーの発言は全て「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」山田宏一、蓮實重彦訳(晶文社)からのものです

prof
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