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今週の混雑案内
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一年で一番湿度が高いこの季節。
いつもはうんざりするかもしれないけれど、
ウォン・カーウァイの映画を観るにはぴったりかもしれません。
香港(とブエノスアイレス)のむせ返る夜の香りが漂う彼の映画は、
夏のはじまりを告げる湿った風が、とてもよく似合います。

彼の映画だけがもっている、キザで粋でおしゃれな魔法。
音楽、カメラワーク、台詞、色使い…
それらはいずれも「恋愛の切なさ」を体現し、
『恋する惑星』『天使の涙』では軽やかに、
『ブエノスアイレス』『花様年華』では濃密に物語を彩ります。

それからとびきり魅力的な登場人物たち――

トニー・レオンのどうしようもなく切ない眼差し
金城武の健康的で人懐っこい笑顔
フェイ・ウォンの瑞々しい愛くるしさ
レスリー・チャンの熱を帯びた危うさ
マギー・チャンの匂い立つ艶やかなチャイナドレス姿

きっと、いや、必ず誰かに恋してしまうはずです。
でもしょうがない、だってウォン・カーウァイの映画はどれも、
「人を好きになることの切なさ」を描いているのだから。

今週は、香港のフィルムメイカー、ウォン・カーウァイの代表作4本を一挙上映。
初めて観る方には新鮮な驚きと喜びを、
何度も観ている方には胸を締めつける懐かしさを。
劇場のスクリーンでウォン・カーウァイの映画に出会いましょう。

(パズー)

天使の涙
堕落天使/FALLEN ANGELS
(1995年 香港 99分 ブルーレイ ビスタ) pic 2016年6月11日から6月13日まで上映 ■監督・脚本・製作総指揮 ウォン・カーウァイ
■撮影 クリストファー・ドイル
■美術・編集 ウィリアム・チャン
■音楽 フランキー・チェン/ローエル・A・ガルシア

■出演  レオン・ライ/ミシェル・リー/金城武/チャーリー・ヤン/カレン・モク

★3日間上映です。

もう、天使の恋はとまらない。

picクールな殺し屋と、そのパートナーである美貌のエージェント。仕事に私情を持ち込まないのが、二人の流儀。しかしその約束が揺らぎはじめているのを二人は知っている。殺し屋の残した痕跡を求めて、夜の街に出るエージェント。そして殺し屋と街で出会い一夜を共にする金髪チャイナドレスの女。

夜な夜な他人の店にもぐり込んで妖しげな営業を始める青年モウ。彼は失恋したての女の子に出会い、恋をする。幸福感でいっぱいになるモウ。でもこの失恋娘は失った恋人のことで頭がいっぱい。嘆き悲しむ彼女に、彼はある提案をする――。

5人の男女がすれ違う美しく切ない恋
『恋する惑星』で予定していたエピソードをもとに作り上げた
もうひとつのラブ・ストーリー!

pic様々な音が溢れ、ネオンきらめく香港の街を舞台に5人の天使たちの、切なく、愛しく、おかしく、涙ぐましい恋が疾走する。殺し屋を演じるのはトップ歌手のレオン・ライ。口のきけない青年役には『恋する惑星』で日本でもブレイクした金城武。女優陣には、ミス香港出身のミシェル・リー、台湾のトップ・アイドル、チャーリー・ヤン、香港映画界の「隠し玉」カレン・モクが揃った。

極端なワイドレンズで切り取られた空間、コマ落とし・コマ伸ばしの連続による躍動のアクションシーン、胸にささる台詞の数々。思いがけない音楽に胎動する香港の街。そして、スター俳優たちの生き生きした表情と、まったくの素人たちの名演がハーモニーを奏でる。『天使の涙』は目くるめくパワーで観客のハートを直撃する90年代最高のハートブレイク・エンタテインメントである。

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恋する惑星
重慶森林/CHUNGKING EXPRESS
(1994年 香港 103分 ブルーレイ ビスタ)
pic 2016年6月11日から6月13日まで上映 ■監督・脚本 ウォン・カーウァイ
■製作 ジェフ・ラウ
■撮影 クリストファー・ドイル/ラウ・ウァイキョン
■美術・編集 ウィリアム・チャン
■編集 カイ・キットウァイ/クォン・チリョン
■音楽 フランキー・チャン/ローエル・A・ガルシア

■出演 トニー・レオン/フェイ・ウォン/ブリジット・リン/金城武/チャウ・カーリン

■1995年香港電影金像奨作品・監督・主演男優賞受賞

★3日間上映です。

その時、ふたりの距離は0.1ミリ
57時間後、彼は彼女に恋をした。
その時、ふたりの距離は0.1ミリ
6時間後、彼女は彼に恋をした。

pic刑事223号は、エイプリル・フールに失恋。その恋人が忘れられず、ふられた日からちょうど1か月後の自分の誕生日までパイナップルの缶詰を毎日ひとつずつ買っていた。バーの片隅で金髪の女と出会った刑事233号。彼は恋人を忘れるために、その夜出会った女に恋をしようと決めていたのだった…。

刑事223号もよく立ち寄る小食店ミッドナイト・エクスプレスで働くちょっと変わった女の子フェイ。お店の常連である警官633号に淡い恋心を抱いている。彼にはスチュワーデスの恋人がいたが、二人には別れが待っていた。ある日、フェイは偶然手に入れた鍵で彼の部屋に忍びこむ…。

クエンティン・タランティーノ監督が絶賛! 
世界中にセンセーションを巻き起こした
ミラクル・エンタテイメント・ムービー

pic 『欲望の翼』『楽園の瑕』と大作の続いたウォン・カーウァイがそれまでの制作スタイルを一新して、短期間で撮影し、素早く仕上げたターニングポイントともいうべき一編。失恋した刑事の心を、謎の金髪女とのプラトニックな一夜が癒すことになる「重慶マンション」。そして恋した男の部屋に忍び込み、模様替えしていく女の姿を活写した「ミッドナイト・エクスプレス」の二つのエピソードで構成されている。

ウォン・カーウァイのモチーフ“すれ違い”が軽快な語り口で、さらに洗練された情景として浮かび上がり、日本でも大ヒットした本作。フェイ・ウォンが歌うクランベリーズの「Dreams」のカバー曲「夢中人」のメロディに乗せて、刹那的な恋を繰り返す若者たちをポップに描く。

歌姫フェイ・ウォンの起用や、ママス&パパスのヒット曲「夢のカリフォルニア」の効果的な挿入が目を引く。警官633号を演じたトニー・レオンは本作で香港電影金像奨主演男優賞を受賞した。刑事233号役の金城武は後に姉妹編『天使の涙』にも出演。彼の独特な風情もたまらない。

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花様年華
花様年華/IN THE MOOD FOR LOVE
(2000年 香港 98分 ブルーレイ ビスタ) pic 2016年6月14日から6月17日まで上映 ■監督・脚本・製作 ウォン・カーウァイ
■撮影 クリストファー・ドイル/リー・ピンビン
■美術・編集・衣裳 ウィリアム・チャン
■美術 マン・リンチャン/アルフレッド・ヤウ
■音楽 マイケル・ガラッソ

■出演 トニー・レオン、マギー・チャン/レベッカ・パン/ライ・チン/スー・ピンラン/ロイ・チョン(声)

■2000年カンヌ国際映画祭主演男優賞・高等技術院賞受賞/全米批評家協会賞撮影賞・外国語映画賞受賞 ほか多数受賞・ノミネート

★4日間上映です。

愛は、もうはじまっている。

pic1962年、香港。新聞社の編集者チャウと、商社で秘書として働くチャンはアパートの隣人として出会う。家庭を持つ貞淑な男と女。やがて互いの妻と夫が不倫していることを知り、二人は次第に時間を共有するようになる。そして、この運命の皮肉ともいえる出会いにより、いつしか戸惑いつつも、強く惹かれ合っていくのだった――。

紫煙とチャイナドレスの息を呑む美しさ
ウォン・カーウァイ監督の
新たなはじまりを告げる傑作

picセンシュアルで奔放な映像感性で評価されてきたカーウァイが、本作では明確な計算のもと、むしろ内省的で、文学的ともいえる世界を構築している。何気ない台詞にこめられた深い人間洞察。大胆なスタイルの語り口。主人公ふたりに徹底して寄ったミニマムな設定で、男と女の内奥に分け入る。

チャウに扮するのは、『欲望の翼』以来4本のカーウァイ作品に出演しているトニー・レオン。その存在感と円熟した演技でカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞した。いっぽうチャンを演じるのはマギー・チャン。節度と慎みをもちながら、沸き上がる感情に抗しきれない心の揺らぎを、しっとりとみせてくれる。ほっそりとした肢体をチャイナドレスに包み、色香を漂わせるその美しさには、ため息がでるばかりである。

撮影は、カーウァイの盟友、クリストファー・ドイルとリー・ピンビン。見事なコラボレーションで、スクリーンにまごうことなき本物の感情がみなぎる。切なさ、苦悩、怒り、戸惑い、愛。匂いたつような情感が映像に溢れている。

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ブエノスアイレス
春光乍洩/HAPPY TOGETHER
(1997年 香港/日本 96分 ブルーレイ ビスタ)
pic 2016年6月14日から6月17日まで上映 ■監督・脚本・製作 ウォン・カーウァイ
■撮影 クリストファー・ドイル
■美術・編集 ウィリアム・チャン
■音楽 ダニー・チョン

■出演 トニー・レオン/レスリー・チャン/チャン・チェン

■1997年カンヌ国際映画祭最優秀監督賞受賞

★4日間上映です。

どこまでいく?
地の果てまで

picアルゼンチン。旅の途中で知り合ったウィンとファイ。幾度となく喧嘩と別れを繰り返してきたこのカップルは、やり直すためにイグアスの滝を目指すが、またもささいなことから喧嘩別れとなる。そしてしばらく後、ブエノスアイレスのタンゴ・バーで働くファイのもとに、傷ついたウィンが転がり込んできた…。

壮大な南米の風景の中で、
いとおしく、切なく、
恋人たちの鼓動が響く

pic 『天使の涙』『恋する惑星』で全世界に旋風を巻き起こしたウォン・カーウァイが次に選んだのは、南米アルゼンチンを舞台に描く、新しい“愛の物語”だった。50周年を迎えたカンヌ国際映画祭で上映されると圧倒的な支持を集め、見事監督賞を受賞した。

惹かれ合いながらも、傷つける事しかできない男と男の刹那的な愛をトニー・レオンとレスリー・チャンが熱演。なみいる香港の俳優のなかで、着実に国際的なスターとしてキャリアを積んできた二人が、文字通り地球の裏側で見せる化学反応、その一瞬の輝きを、カーウァイは余すところなくフィルムに定着させた。

また、本作では印象的な音楽が全編を彩っている。冒頭、飛沫を上げる大滝のシーンで流れるカエターノ・ベローゾの美しいボーカル。恋人たちの別離と再会に寄り添うように奏でられる、官能と哀惜に満ちたアストル・ピアソラのタンゴ。そしてロック界のカリスマ、フランク・ザッパの魂を揺さぶるギター。天才たちの音楽が、映画の感情のうねりを体現する。

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