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夏をゆく人々
Le meraviglie
(2014年 イタリア/スイス/ドイツ 111分 DCP ビスタ) pic 2016年3月12日から3月18日まで上映 ■監督・脚本 アリーチェ・ロルヴァケル
■撮影 エレーヌ・ルヴァール
■編集 マルコ・スポレンティーニ
■美術 エミータ・フリガート
■衣装 ロレダーナ・ブシェミ

■出演 マリア・アレクサンドラ・ルング/サム・ルーウィック/アルバ・ロルヴァケル/ザビーネ・ティモテオ/マルガレーテ・ティーゼル/アンドレ・M・ヘンニック/モニカ・ベルッチ

■第67回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞

トスカーナの光と青い空のもと
蜂飼いの少女と家族の絆と葛藤――

pic光と緑あふれるイタリア中部・トスカーナ州周辺の人里離れた土地で、昔ながらの方法で養蜂を営む一家。ジェルソミーナは4人姉妹の長女で、自然との共存をめざす父ヴォルフガングの独自の教育と寵愛を受け、今や父よりもミツバチに精通している。家族は自然のリズムのなかで生活を営んできたが、夏、村にテレビ番組「ふしぎの国」のクルーが訪れ、一家がひとりの少年を預かった頃から、日々にさざなみが立ち始める――。

夢と日々のあわいに描いた
ひと夏の心にしみいる映像日記
イタリアの若き才能、ロルヴァケル監督の
カンヌ映画祭グランプリ受賞作!

pic匂いや風さえも感じられそうな青々とした幻想的な大地、穏やかな水面、自然と共存した限りなく自給自足の暮らしを描いた『夏をゆく人々』の映像は、時間を忘れさせ、そして常に田舎特有の物悲しさをもたらしています。イタリア・トスカーナ地方で父と養蜂の仕事をし、一家を支える長女ジェルソミーナ。そんな彼女が出会うひと夏のできごとは、自由に満ちた、ここではないどこかへの憧れを彼女に抱かせます。

picテレビ番組の収録で出会った美女・ミリー、突然家族の一員になったドイツ人の少年マルティン。彼らとの出会いによって変化に対する憧れは意志になっていき少女の人生に大きな一歩をもたらすのです。彼女の瞳はどのシーンでも印象的で、家族を支える力を持ち、そして未来の希望であふれているように感じさせます。彼女が懸命にとる行動は、誰にでも経験のある子供でも大人でもない時期の繊細でいて、向う見ずな逞しい時期を思い起こさせるのです。

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ヴィヴィアン・マイヤーを探して
FINDING VIVIAN MAIER
(2013年 アメリカ 83分 DCP ビスタ)
pic 2016年3月12日から3月18日まで上映 ■監督・製作・脚本 ジョン・マルーフ/チャーリー・シスケル
■撮影 ジョン・マルーフ
■編集 アーロン・ウィッケンデン
■音楽 J・ラルフ

■出演 ヴィヴィアン・マイヤー/ジョン・マルーフ

■2014年アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート/2015年英国アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞ノミネート/アメリカ映画編集者協会最優秀ドキュメンタリー賞ノミネート/セントラルオハイオエイア批評家協会最優秀ドキュメンタリー賞受賞/その他多数受賞・ノミネート

その才能は謎の扉の奥に――
ヴィヴィアン・マイヤーとは何者なのか?

pic2007年、ジョン・マルーフというシカゴ在住の青年がオークションで大量の古い写真のネガを手に入れた。その一部をブログにアップしたところ、熱狂的な賛辞が次から次へと寄せられた。ところが、その撮影者の名前「ヴィヴィアン・マイヤー」をネットで検索しても1件もヒットしない。2年後、彼女の名前を再び検索したところ、彼女が数日前に亡くなったという死亡記事が見つかった。ついに彼女の所在を突き止めたジョンだが、意外な事実を知ることになる――。

アカデミー賞ドキュメンタリー賞ノミネート!
[発見された]天才写真家
世界が絶賛した奇跡のドキュメンタリー

pic 1950年前後からナニー(乳母)として生計を立てながら、15万点以上に及ぶ写真を撮影していたヴィヴィアン・マイヤー。しかし生前1枚も公表せず、写真家として彼女は称賛されることはありませんでした。セルフポートレートに写るヴィヴィアン・マイヤーは、ミステリアスで不機嫌そうなのにもかかわらず、写真全体に溢れる雰囲気はとてもユーモアに溢れています。そして、彼女が撮影した人々もまた、その人らしさに溢れた最高の瞬間を収められているのです。

pic『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』で彼女との思い出を語るのは、彼女が世話をした子供たちやその両親たちです。その中で浮き彫りになってくる、彼女の抱えていた問題や悲しい記憶。しかし、それは真実のように見えながらも、聞けば聞くほど彼女の本当の気持ちは分からなくなっていくような気がします。語られるナニーとしてのヴィヴィアン・マイヤーと、写真家としての彼女の素晴らしい作品とが交互に映る映像を観ていると、変わり者で秘密主義、他人をよせつけない堅物の女性という周囲の印象と、遺品の中に見え隠れする「作品を見てもらいたい」という思いの差に胸が締め付けられるのです。

誰かと繋がること、何かを発信すること、他人に自分を気付いてもらうことは割と簡単な時代になりました。しかしだからこそ、余計に他人の目や、意見ばかり気にしてしまっているのかもしれません。今週上映する『夏をゆく人々』ではそんな現代の感覚から解き放たれる心地よさを、『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』では孤独の中で磨かれた才能との出会いをお楽しみください。

(スタンド)

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