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今週はダメな大人たちを徹底的に描いた痛快!ブラック・コメディー二本立て。大人だって、ダメなときはダメ! だって人間だもの!! と声高々に叫ぶ『フレンチアルプスで起きたこと』『人生スイッチ』をお届けします。

『フレンチアルプスで起きたこと』の主人公トマスは5日間のスキーバカンスにやって来たスウェーデン人一家の大黒柱。2日目までは、ハンサムで仕事の出来る最高のパパでした。しかし、家族の食事中に起こった雪崩で自分1人逃げてしまい、家族崩壊の危機を招いてしまいます。

トマスは自分自身を、クールな男であり立派な父親だと思っていました。しかし雪崩を前に、理想とは全く違う情けない姿を晒してしまいます。この物語はそれに気づいてしまった妻や子供たち、そしてトマス自身が、その事実とどう向き合っていくのか、人と人とが関わっていく上で抱いてしまう相手への期待と失望について、テンポよく軽妙な会話劇で描いています。

一方『人生スイッチ』は自分の感情の赴くままに怒りをぶちまけてしまった6人の主人公たちの物語です。それによって、彼らは自分の人生の歯車を狂わせてしまいます。しかし、彼らには後悔や反省の念など1ミリもありません。その姿はおもわず笑ってしまうほど滑稽で、もはや一種の清々しさに溢れています。最後のエピソードである、結婚式に浮気相手を招待した新郎にブち切れる花嫁の顛末は、胸に溜まった日々の不満をスカッと取り除いて最高の気分にさせてくれるでしょう。

今週の上映作品で語られている様に、ピンチにおちいるきっかけは、すぐ隣にあるのです。そう、明日は我が身。もしも彼らと同じ状況に立たされた時、あなたならどう乗り越えますか?

(スタンド)

フレンチアルプスで起きたこと
TURIST
(2014年 スウェーデン/デンマーク/フランス/ノルウェー 118分 DCP シネスコ) pic 2016年1月16日から1月22日まで上映 ■監督・脚本・編集 リューベン・オストルンド
■撮影 フレデリック・ウェンツェル
■美術 ヨセフィン・オースバリ
■編集 ジャコブ・セチェール・シュルシンガー
■音楽 オラ・フロットゥム

■出演 ヨハネス・バー・クンケ/リサ・ロブン・コングスリ/クララ&ヴィンセント・ヴェッテルグレン/クリストファー・ヒヴュー/ファンニ・メテーリウス

■第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞/ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞ノミネート/スウェーデン・アカデミー賞作品賞・監督賞含む主要6部門受賞 ほか多数受賞・ノミネート

僕が、君たちを守るから…陽光きらめくフレンチアルプスで、家族4人の楽しいバカンス――のはずが、家庭崩壊の危機!?

picフランスの高級リゾートにスキー・バカンスにやってきたスウェーデン人一家。スマートなビジネスマンのトマス、美しい妻エバ、愛らしい2人の子供たちの、誰もがうらやむ理想的なファミリーだ。バカンス2日目。スキーを楽しみ山際のテラスでランチをとっていると突然轟音が響いて雪崩が発生し、テラスは大パニックに陥る。幸いにも雪崩は直前で止まり、スキー場はすぐに笑いと活気を取り戻すが、雪崩の瞬間トマスが取った“期待はずれの行動”が家族の間に予想外の波紋を広げてしまう――。

ハリウッド・リメイク決定!
スウェーデンの新星が贈る
ユーモアたっぷりの人間ドラマ

pic2014年のカンヌ国際映画祭で絶賛され、アメリカで公開されるや、批評家や映画ファンの間で一大センセーションを巻き起こし、現代を描く最高傑作と絶賛された『フレンチアルプスで起きたこと』。その年の外国語映画賞でみごと最多の15部門を獲得し、ついにはハリウッド・リメイクまで決定している。

監督は、常識や偏見などが複雑にからみあう現代社会の人間行動を一貫して描き、“北欧のミヒャエル・ハネケ”と称されるリューベン・オストルンド。彼の持ち味である卓越した観察力による人間描写と、絶妙なユーモアに富んだ会話、北欧ミステリーを思わせるエンターテインメントな魅力が加わり、観客から深い共感を呼んだ。本作は、現代社会の家族における男性の役割を観察したコメディーであると同時に、誰しもが経験のある人生での失敗や、取り返しのつかない状況に陥った時、どのように自分自身と、そして大切な人と向き合っていくかを、私たちに提示してくれる。

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人生スイッチ
WILD TALES
(2014年 アルゼンチン/スペイン 122分 DCP PG12 シネスコ)
pic 2016年1月16日から1月22日まで上映 ■監督・脚本 ダミアン・ジフロン
■製作 ウーゴ・シグマン/ペドロ・アルモドバル/アグスティン・アルモドバル/エステル・ガルシア/マティアス・モステイリン
■撮影 ハビエル・フリア
■美術 クララ・ノタリ
■衣装 ルース・フィッセルマン
■音楽 グスターボ・サンタオラヤ

■出演 リカルド・ダリン/オスカル・マルティネス/レオナルド・スバラーリャ/エリカ・リバス/リタ・コルテセ/フリエタ・シルベルベルグ/ダリオ・グランディネッティ

■2014年アカデミー賞外国語映画賞ノミネート/アルゼンチンアカデミー賞10部門受賞/カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品

押したら、さいご。
きっかけは、日々の憤りの爆発。
最悪のその先の、予想を超えた<行きつく先>を笑え!

pic仕事の依頼を受けて、指定された飛行機に乗ったファッションモデル。話しかけてきた隣の席の男が、彼女の元カレを知っていて…/郊外のレストラン。ウェイトレスの女は、訪れた客が、かつて両親を破滅させた高利貸しの男だと気づき…/一本道を新車で走る抜ける男の前に、ノロノロ運転のポンコツ車が現れる。捨て台詞を吐いてその車を抜き去った後、男の新車がパンクしてしまい…

私たちの日常の中には切り替えてはいけないスイッチがある。それは身近にあって、うっかり押したときには、時すでに遅し。何がきっかけで押してしまうのか、押したらどんな世界が待っているのか――そして、絡み合う事件の最後に現れた、思いがけない救いの手とは?

「こんな映画みたことない!」
アルゼンチン歴代興収No.1を記録した
史上最高の驚愕と爆笑!

pic 知られざる映画大国アルゼンチンに大傑作が誕生した! 入場者400万人超という驚異の動員を記録し、歴代興収第1位をあっさりと更新。その全く先読みを許さない展開と、予想を超えた圧巻のラストの衝撃に、カンヌをはじめ、数々の映画祭を席巻。ついには米アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。監督は若き鬼才ダミアン・ジフロン。プロデュースを名乗り出た巨匠ペドロ・アルモドバルに「素晴らしい。コンマ一つも変えるな」と言わしめたオリジナル脚本で一躍注目を集めた。

ほんのささいなきっかけによって人生に躓き、そこから止めようのない<不運の連鎖>に巻き込まれ、鮮やかに落ちていく人々の姿を、全く新しい手法でユーモアたっぷりに描いた本作。誰も見たことのない6つのオチが、世界中の映画通の度肝を抜く!

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