今週は澄みきった青い空がよく似合う、ザ・青春映画の二本立て。
描かれているのも、多感な学生時代ならではの
不安や葛藤、そして友情だったりと実に普遍的なものです。
これまでもそんな学園モノは数えきれないほどあったはずなのに、
なぜかどうしようもなく惹かれて胸が熱くなる、
『幕が上がる』×『花とアリス殺人事件』を上映いたします!
『幕が上がる』の主演を務めるのは、ズバリ!
いま、会えるアイドルももいろクローバーZ!
彼女たちが演じるのは、とある高校の演劇部員。
それも、あっさりと地区予選で敗退してしまうような弱小演劇部です。
ひとりの新任教師との出会いから、演劇部は全国を目指すことに。
本格的に映画で演技すること自体が初めてのももクロメンバーが、さらに作中で演劇と向き合っていく。
それは役である演劇部員としての成長であり、
同時に彼女たちの成長とも重なる素敵な現象が起きています。
シナリオの順番通りに撮影していく「順撮り」という手法も手伝って、
より一層彼女たちの瑞々しい表情の変化に気づかされていくのです。
演じるということにまっさらで、そしてひたむきな姿勢で臨んだ
ももいろクローバーZでなければ作り得ない青春がここにはあります!
いっぽう『花とアリス殺人事件』は、
岩井俊二監督が11年前に作った『花とアリス』の少女ふたりの出会いを描いたお話。
蒼井優と鈴木杏という最強コンビから生み出される、
どうってことないけれど、心地よくてリアルな日常のやりとり。
彼女たちが見せた、等身大の笑顔や泣き顔が、前作『花とアリス』を輝かせていました。
そんなふたりで花とアリスの出会いを描くべく、
なんとアニメーションとして新たに生まれた今作。
ただ、実写で撮影をしたものを基にアニメーションを起こしていったり、
本物の景色を水彩画にしたような背景であったり、
単なるアニメにはならないのが岩井ワールド。
そんなリアルな世界観が、
主演のふたりはそのままに前日譚を描くことを成立させています。
きっとこの二作品に惹かれるのは、
役柄と彼女たちの結びつきに強い必然性を感じてしまうから。
弱小演劇部員たちが舞台の上で大きく一歩を踏み出すように、
花とアリスが中学で出会い、やがて同じ高校に進学するように、
それを演じた彼女たち自身も、作品を越えて変化しています。
“彼女たち”だから表現できた“少女たち”は、
希望も不安もひっくるめて、走り続けるのです!
花とアリス殺人事件
(2015年 日本 100分 ビスタ)
2015年6月13日から6月19日まで上映
■監督・製作・原作・脚本・企画・プロデュース・編集・音楽 岩井俊二
■製作 中山良夫/古田彰一/遠藤茂行/水口昌彦/都築伸一郎
■企画・プロデュース 石井朋彦
■CGディレクター 櫻木優平
■ロトスコープアニメーションディレクター 久野遥子
■実写撮影監督 神戸千木
■音楽 ヘクとパスカル
■声の出演 蒼井優/鈴木杏/勝地涼/黒木華/木村多江/平泉成/相田翔子/鈴木蘭々/郭智博/キムラ緑子
石ノ森学園中学校へ転校してきた中学3年生の有栖川徹子(通称:アリス)は、一年前に3年2組で「ユダが、4人のユダに殺された」という噂を聞く。さらに、アリスの隣の家が<花屋敷>と呼ばれ、恐れられていることも…。花屋敷に住むという同級生の「ハナ」ならユダについて詳しいはずだと知ったアリスは、花屋敷に潜入する。そこで待ち構えていたのは、引きこもりのクラスメイト・荒井花(通称:ハナ)だった…。
ユダは本当に殺されたのか? 花は何故、引きこもり続けているのか? ふたりの少女の「世界で一番小さい殺人事件」の謎を解く冒険が、始まる――。
岩井俊二監督が2004年に原作・脚本・監督を務めた映画『花とアリス』。日常、友情、そして恋に揺れる二人の少女、花とアリスの姿を描き、今でも多くのファンに愛され続けている。その前日譚となる二人の出会いのエピソードを、岩井俊二監督が完全オリジナルストーリー&初の長編アニメーション作品として贈り出す。本作では、実写でガイド撮影し、それを3DCGとロトスコープで忠実に追うという手法により、「実写の繊細かつリアルな演技」を表現。実写とアニメーションの融合という全く新しい映像世界が誕生した。
声優には、04年の『花とアリス』同様、アリス役に蒼井優、花役に鈴木杏。アニメーションになった花とアリスに新たな息を吹き込む。また、アリスの母親役に相田翔子、父親役に平泉成、花の母親役にキムラ緑子、バレエ教室の先生役に木村多江など、おなじみの顔がそろった。さらに、勝地涼、黒木華、鈴木蘭々ら豪華俳優が声優を務め、前作で花が恋する宮本先輩を演じた郭智博も、先生役で登場する。
幕が上がる
(2015年 日本 119分 ビスタ)
2015年6月13日から6月19日まで上映
■監督 本広克行
■原作 平田オリザ『幕が上がる』(講談社文庫刊)
■脚本 喜安浩平
■撮影 佐光朗(JSC)
■編集 岸野由佳子
■音楽 菅野祐悟
■主題歌 ももいろクローバーZ『青春賦』
■出演 百田夏菜子/玉井詩織/高城れに/有安杏果/佐々木彩夏/ムロツヨシ/清水ミチコ/志賀廣太郎/黒木華
富士山を一望する静岡県の富士ヶ丘高校に通うさおりは、演劇部最後の一年を迎えようとしていた。看板女優でお姫様キャラのユッコ、黙っていれば可愛いお調子者のがるる、一年後輩でしっかり者の明美ちゃんらとともに、年にたった一度の大会に挑む。
さしあたって悲願の地区予選大会突破を目指す彼女たちの前に、新任の美術教師・吉岡が現れる。東京で“学生演劇の女王”という異名をとっていた吉岡から「君たちと一緒に全国に行きたい」と告げられたさおりたちは、強豪校からの転入生・中西を加え、全国を目指し始める――。
監督は『踊る大捜査線』シリーズの本広克行。映画監督をやめようと思い悩んだ時期もあったという本広監督は、世界的な劇作家であり演出家の平田オリザが主宰する劇団「青年団」に刺激を受け、その世界に傾倒したことが、小説「幕が上がる」との出会いを生んだ。脚本は『桐島、部活やめるってよ』で一世を風靡した喜安浩平が手掛けている。
主演には「今、最も輝いている少女たちに演じてもらいたい」という想いから、ももいろクローバーZ の5人を大抜擢。彼女たちは撮影前に、平田オリザのワークショップに通い、俳優としての指導を徹底的に受け、体当たりで挑んでいる。共演には、黒木華、ムロツヨシ、志賀廣太郎、清水ミチコら、唯一無二の個性と実力を兼ね備えた俳優陣が集結した。