今週の混雑案内
フェイスブック
twitter
english
top

大人になっても、時々親が一人の人間であることを忘れてしまう。
親だって生まれて生きて死んでいく。自分と同じただの人間だということ。
親になる前の過去もあって、全てを投げ出して自由になりたいと願う時だってあるだろう。
後悔も沢山するだろうし、完璧な人ではないだろう。

自分が成人して自活していく上で感じる当たり前の現実の難しさ。
それをこなし、自分を産み、育ててくれた親の偉大さ。

『麦子さんと』の麦子は、母親に「あなたのこと、母親だと思ってないから」と言った。
そしてそれが最後の言葉になってしまった。
きっと似たようなことを自分も何回も言っている。
もし、あの言葉が最後になってしまったらと思うと悔やんでも悔やみきれないだろう。

『ペコロスの母に会いに行く』のゆういちは母親を介護施設に預ける決心をする。
その時の、救われた気持ちからくる罪悪感。
親が自分の事をわからなくなってしまったら、いつか、そういう決断を下す時が来るかもしれない。

スクリーンに映されているのは、どこにでもありうる現実の日常。
だからか自分の今までと、これからのように見えてしまう。
こんなにも胸が締め付けられるのは、 親という存在に子供はいつまでも甘えていたいと思っているからなのかもしれない。

この世に生まれてくる以上、親のいない人間などいない。
だから私は、この二つの映画は観客全員の物語になりうると思った。
親はいつでも、当たり前に側にいて強く、優しく、守ってくれる存在ではないと気づいた時、子供はどう向き合っていくのか。
その問の答えを、映画は優しく教えてくれる。

気づけば、もうすぐ母の日。今年はちょっと特別な贈り物をしちゃおうかな。

(スタンド)


麦子さんと
(2013年 日本 95分 DCP ビスタ)
pic 2014年4月26日から5月2日まで上映
■監督・脚本 吉田恵輔
■脚本 仁志原了
■撮影 志田貴之
■編集 太田義則
■音楽 遠藤浩二
■挿入歌 松田聖子「赤いスイートピー」

■出演 堀北真希/松田龍平/麻生祐未/ガダルカナル・タカ/ふせえり/岡山天音/温水洋一/余貴美子

■オフィシャルサイト http://mugiko.jp/

私たちを捨てたお母さんが突然死んだ。
私とお母さんの物語はそこから始まる――。

pic声優をめざす麦子は、頼りない兄と二人暮らし。専門学校への入学金をアルバイトで稼ぐ日々を送っていた。そんなある日、自分たちを捨てた母親が突然舞い戻ってきた。顔も覚えていない母との生活に戸惑う麦子。そして投げつけた一言は、「あなたのこと、母親だと思ってないから」。その言葉を最後に、母は帰らぬ人となった――。

兄に押し付けられ、母の故郷へ納骨に行くはめになった麦子。そこで初めて、母は町のアイドルだったことを知る。さらに、麦子は若き日の母に瓜二つだった。アイドルの再来に色めき立つ町の人々に振り回されながら、麦子は母の青春、人生を初めて知ることになる…。

笑った分だけ幸せになって、
泣いた分だけ優しくなれる。

pic『純喫茶磯辺』や『さんかく』など、今までオリジナル作品を中心に発表してきた吉田恵輔監督。本作は、監督自らの亡き母への想いが重なり出来上がった渾身の一作である。声優をめざすアニオタ女子という現代っ子を演じたのは堀北真希。親に無関心だった麦子が母の青春に巻き込まれ、やがてひとりの女性として成長していく道のりを等身大で演じ、今までにない彼女の一面を見せた。麦子の兄には、頼りないながらも長男らしい優しさをたたえ、その圧倒的存在感で映画界を牽引する松田龍平。そして、明るく振る舞う裏に哀愁を隠し、無償の愛で麦子を包み込もうとする母を、余貴美子が演じる。

picさらに、本作に必要不可欠だったのは、松田聖子による名曲「赤いスイートピー」だ。ラストシーンはこの曲なくして実感できないほどに、物語の喜びや哀しみ、そして懐かしさすべてが一緒になって、感動のクライマックスを迎える。「お母さんの子どもでよかった」―― その思いに、誰もが思わず涙する、珠玉のハートフル・エンターテインメントが完成した。

このページのトップへ

line

ペコロスの母に会いに行く
(2013年 日本 113分 dcp ビスタ) pic 2014年4月26日から5月2日まで上映
■監督 森ア東
■原作 岡野雄一
■脚本 阿久根知昭
■撮影 浜田毅
■音楽 星勝/林有三
■主題歌 一青窈「霞道(かすみじ)」

■出演 岩松了/赤木春恵/原田貴和子/加瀬亮/竹中直人/大和田健介/松本若菜/原田知世/宇崎竜童/温水洋一

■第87回キネマ旬報 日本映画ベスト・テン 第1位/第28回高崎映画祭最優秀作品賞・最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞受賞/第35回ヨコハマ映画祭2013年日本映画ベストテン 第3位・監督賞・撮影賞受賞

■オフィシャルサイト http://pecoross.jp/

認知症の母みつえと
バツイチ・ハゲちゃびんの僕
愛おしくて、ホロリ切ない僕らの毎日

岡野ゆういちは長崎生まれの団塊世代。漫画を描いたり、音楽活動をしたりと趣味にうつつを抜かし、仕事に身が入らないダメサラリーマンだ。

picそんな彼の母親みつえの認知症が始まったのは、夫のさとるが亡くなった頃からだ。それから10年、ある日はさとるのために酒を買いに出たところを孫に見つけられて連れ戻され、またある日はゆういちが帰ってくるのを駐車場で待ち続けて、危うく車に轢かれそうになった。そして、箪笥の引き出しから汚れた下着が大量に出てきたことも。ケアマネージャーに勧められたゆういちは、悩みながらもとうとう、みつえを介護施設に預けることに…。

だいじょうぶ。
なにかと不安もおありでしょうが、
笑いと愛をおとどけします。

原作は、長崎県在住の漫画家・岡野雄一が自身の経験をもとに描いたエッセイ漫画「ペコロスの母に会いに行く」。ひっそりと自費出版された本だったが、認知症の母との何気ない日常が、多くの共感と感動を呼び、現在18万部を超えるベストセラーとなっている。

pic監督は『喜劇 女は度胸』『男はつらいよ フーテンの寅』など卓絶した人情喜劇で映画ファンを唸らせてきた、喜劇映画の巨匠・森ア東。高齢化が猛スピードで進む日本では深刻な社会問題として扱われることが多い「介護」「認知症」をテーマにしながら、観る者を軽やかで明るい気持ちにさせ、涙も誘う温かい作品に仕上げた。

ときにペーソスを堪えながら、ユーモアたっぷりに主人公ゆういちを演じるのは岩松了。もうひとりの主人公みつえ役には、89歳にして映画初主演となる赤木春恵。実母の介護経験を活かした迫真の演技を披露している。若き日のみつえに原田貴和子、夫のさとるに加瀬亮。さらに原田知世、竹中直人、宇崎竜童、温水洋一など豪華キャストが集結! まったく新しい介護喜劇映画が誕生した。

このページのトップへ