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●→矢口監督 ●→司会

もしもし、あ、こんばんわ矢口です〜ありがとうございます。

本日はご来場いただきましてありがとうございます。
よろしくお願いいたします。

え、あ、僕に? あ、はい。いえいえお客さんに(笑) ほんとにこんなにたくさん来ていただいて、ありがとうございます。
立見の映画館というのはシネコンが流行って以来なかなか見られないので、とても嬉しいです。

先ほどハッピーフライトの上映が終了いたしまして、ご覧になったお客様も大勢いらっしゃると思いますが、
こちらは約4年前の作品です。振り返ってみていかがでしょうか?

振り返ってみてというか、さっき、こっそり後ろから観てまして…面白い映画ですよね(笑)
すごいキテレツというか、飛行機業界のことを根掘り葉掘り描きつつ、ちょっと小馬鹿にしてしまっているようなところもあって。
あと、フィルムの映写というのを久しぶりに観ました。それに音響がとてもよかったので、大迫力で、飛行機に乗った気分でご覧いただけたんじゃないかなと思います。

これから上映になります「ロボジ―」は、ロボットの中におじいさんが入っているというユニークな設定ですが、
どのようなきっかけで製作されたんでしょうか?

一番インパクトがあったのは、1996年に発表されたHondaの「P2」というロボットをニュースで見たことです。アニメとか映画のロボットではなくて、いわゆる二足歩行ロボットが好きになりすぎてしまったので、最初は映画とむすびつけようとは考えませんでした。10年近く経ってようやく、その「P2」が「ASIMO」というちっちゃいロボットに進化したときに、あんまり人間っぽく動くので、「ASIMOって、子役が入ってるんじゃないかな」って、ちょっと疑ったりして(笑) ロボットがあそこまで進化すれば、人が入っていても逆にごまかせてしまう。それくらいロボットの動きがすごいことになっちゃった。そこから発想しまして、ハッピーフライトの前に取材を始め、脚本も書きはじめました。ですが、なんやかんやありまして、ハッピーフライトをはさんで、ようやく再始動して、完成したという次第です。

そのロボジ―の小さい版「ミニジー」が受付のほうにございますので、是非みなさんお立ち寄りください。

ちょっと触れるくらいだったら大丈夫だと思います。ご利益があるかもしれませんから。

おさわりOKだそうです!

おさわり!?(一同笑) 写真も撮って大丈夫ですよ。あ、あと普通は舞台挨拶などでは写真撮っちゃだめよ、と言われることが多いと思うんですが、是非撮っていただきたいと…ただ僕が写りたいだけなんです(笑) この先もしかしたら劇場で「ロボジ―」「ハッピーフライト」がかかることがあるかもしれませんので、皆さんを宣伝にこき使おう、ということではありませんが(笑) 「面白い映画やってたよ」と周りにお知らせしていただけたら、うれしいなと思います。



Q&A

●→矢口監督 ●→質問されたお客様

q1監督にとって、エンターテインメントとは何をもってエンターテインメントであるかということと、エンターテインメントをすることに関して気を付けていることがあったら教えて欲しいと思います。
何をもってエンターテインメントか。 そうですね、それを見ている最中、自分の時間が流れているという…次の予定は何時だろうとか、 今あれをしなきゃいけない、これをしなきゃいけないとかいう個人の都合をすっかり忘れて、 その世界を楽しんでもらえるということがエンターテインメントではないかなと思って、 それを目指して作ってます。 ですが、なるべく多くのお客さんに楽しんでもらいたいとは思いつつも、 結局脚本を書くときも映画を撮影しているときも編集のときも、自分がお客さんだったら面白いと思うかどうか、これいらないと思うかどうか、 ということを考えているので、 ほんとはすごい手前勝手な観客視点で作ってしまってると思います。


q2「ロボジー」の中に入っているのは、なぜお爺さんでお婆さんではないのですか?
お爺さんを…あっ、皆さん知ってますよね…? お爺さんがロボットの中に入るお話って言っちゃっても大丈夫…?(笑) で、お婆さんを入れるとかわいそうに見えるので、お爺さんをいれました。 とても窮屈だし、かたくて重いロボットスーツを着なきゃいけないですから、 撮影自体が虐待になることは前もってわかってましたので、 虐待しても生き残る人を探して入ってもらいました(笑)


q3監督の作品を観ると、毎回楽しみのひとつなのが、少年時代に見た映画のオマージュがいろいろ感じられるような気がするんです。例えば「ハッピーフライト」は大空港シリーズのオマージュですよね、エアポートシリーズの…。
う〜ん(笑)
オープニングでシュミレーションをやって突っ込んでしまうシーンでは、漫画の「21エモン」を思い出したんですよね。藤子・F・不二雄の。そこから影響を受けたのではと思ったのですが。
すみません読んだことがなくて…。読みます(笑)


q4仕事に関して考えさせられました。ひとつのミスが大事故に繋がるところや、「すみません」で済ませようではいけないのだということなど、責任の重大さに感動しました。この発想はどのように生まれたのですか?
ハッピーフライトでは取材を2年ほどしました。サービスと言いつつも、エマージェンシー(緊急事態)になったら厳しく対処しなくてはならなくて、お客さんに対する態度が全く変わってしまうとか、スパナをなくしたら本当に見つかるまで帰れないとか、そういうことを取材でたくさん聞きました。バードストライク(鳥が航空機にぶつかる事故)があっちゃいけないんで「バードさん」という方がいらっしゃるとか。そういうことは自ら発想したわけではなくて、いろんな人から聞いた話の中から面白いものだけをチョイスして映画に含めたので、決して僕が勝手に思いついたとか、なんでも知っていたわけではありません。実は僕、飛行機がとても苦手で、乗るのも嫌だったんですが、映画のおかげで無事に乗れるようになりました。あ、そんなこと聞いてないですね(笑)


q5私の出身の中学校と高校で、「ウォーターボーイズ」が撮影されました。「ウォーターボーイズ」を撮った中学校だと言うと、みんなにすごいねって言われるんですが、特に水泳が有名な街でもないのにどうしてだったのだろうといつも疑問に思っています。ロケ地をどのように決めているのか教えてください。
この答えを聞くとがっかりされるかもしれないんですが(笑)、この街ってあの有名なあそこねと、すぐにわかるランドマークになるものや、アイコンになるような建物がないところを探しています。と言うのも、映画を見た人が、あれってもしかたら自分の地元の街かもとか、住んでた隣の街じゃないかとかいうふうに、身近な舞台、身近なキャラクターに感じてもらいたくて、感情移入しやすい場所を選ぶようにしています。「ウォーターボーイズ」の静岡県相良町を見つけたのは、シンクロ指導をしていただいた不破さんという水泳選手の方が、パフォーマンスのため巡業して回られた中で、「あの街にはぼろっちい25mプールと、素晴らしい50mプールが両方存在する」という情報をいただいたからなんです。いや、ぼろっちいじゃない、こじんまりとしたいい感じのプールがあるよと聞いたんです(笑) 実際に見に行ったらとてもよかったので、ロケ地になりました。


q6矢口監督の夢はなんですか?
毎年映画を撮れるようになりたい。いつも3〜4年くらい空いちゃうんです。なんだかオリンピックみたいになってる(笑) 量産すればいいってもんじゃないですけどね。必ず面白いものを、自分が劇場に行ってこれが観たいっていうものを、毎年作れるようになればいいなとは思いますが、ほんとにそれは夢のまた夢。たぶん毎年は無理だと思っております。


●→矢口監督 ●→司会

それでは最後にお伺いします。1年に1本映画を撮りたいという監督、次回作のご予定は?

あったらほんとにいいですよね(笑) ないですね(笑) 今日こうやってたくさん観ていただいてるんで嬉しいんですが、ロボジ―が大ヒットを記録すれば、きっとお金を出す偉いおじさんたちが、「矢口くん君は稼げる監督だねえ」と、またお金を出してくれると思うので、是非いろんな人におすすめして、ロボジ―をヒットさせて…このタイミングて言っても、もう間に合わないかな(笑) 間に合わせたいので、是非、よろしくお願いします!

本日はご来場ありがとうございました!



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