−誰かの笑顔がみたくて、走り出す!―
笑顔は全ての人間をつなげる力を持った、最も身近でとても大切なものです。理由はよく解りませんが、誰しも相手には笑顔でいて欲しいものだと…
誰かを笑顔にさせる事って、それだけに注目して考えると、とても難しく思います。相手の気持ちを考えて、よ〜く見て色んな情報をかき集めて行動に出る。でも、若い時って互いの気持ちを整理しきれずに相手とぶつかったり、すれ違ったり。時には、あえて荒波に身を投じる事だってあるでしょう。そんな事を繰り返して笑顔になれることもあれば、うまくいかないこともある。だけど、それでいいと思うんです! 皆それぞれの道を進む事で、自分を自分たらしめてゆくんです。そして人は大きくなるのかな?
今週は「モテキ」と「僕たちは世界を変えることができない。」の二本。
「モテキ」の監督・脚本は、TVドラマ「モテキ」から引き続きメガホンを取る大根仁。現代若者の中に潜む時代感覚を鋭いアンテナでキャッチし、若者たちの心をギュッと鷲掴みにしてゆきます。今作の中でも、今を生きる若者たちのカルチャー(twitter,進撃の巨人,TAICOCLUB,Sense of Wonder, LIQUIDROOM,EYESCREAM,ヴィレッジヴァンガードなどなど)を一般的なところからコアなところまで随所に散りばめ、現代の世界観をリアルに醸し出しています。
その雰囲気の中で躍動するのは、今を駆け巡る豪華キャストたち。主役森山未來を悩ませる、長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗、真木よう子。世の男の子たちとしては「羨ましい!」が大多数の意見でしょう。
さぁ森山未來演じる草食系男子・藤本幸世に突然訪れた"モテキ"の大波乱! 彼は誰かを、そして自分も笑顔にできるのか!?
「僕たちは世界を変えることができない。」の監督は深作健太(バトルロワイヤルU[鎮魂歌])。日常に不満は無いけれど何かモノ足りなさを感じているフツーの男子大学生が、ある日突然、150万円でカンボジアに小学校を建てよう!と思い立つ…そんな衝動から物語は始まります。
ノリで始めた彼らの前に立ちはだかる、様々な壁。知らなかった現実という溝。しかし、旅立った彼らの目に映る子供達の笑顔。それを包むように吹く爽やかな風のにおい。東南アジア特有のゆったりとあたたかな雰囲気の中、彼らは一生の記憶に残る大事なモノを得るのです。
今作は、フィクションとドキュメンタリーが溶け合った演出がなされています。若手ホープのキャスト陣が作品中で実際に様々な経験をし、葛藤の中で成長したのであろう心の機微を感じとることができるのも見所のひとつ。
一期一会の儚い出会いに思うことは千差万別。生きるという事は、何かを見つけていくことなのかもしれない、と頭によぎる作品です。作品の最後に、彼らが青い空に思い浮かべるものはなんでしょうか。
(まつげ)