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picいやー、少年時代ってすばらしい。
年を重ねて遠ざかれば遠ざかるほど、その頃が輝いてみえるものです。
今が苦しかったりすると、なおさらそう思ってしまいますよね。
でも、少年たちだって大変なんです。

ゴールデンウィーク突入の今週は、そんな少年たちから
“人生を生きるセンス”と“世界の変え方”を学ぶ二本立て
『100歳の少年と12通の手紙』『リトル・ランボーズ』を上映します。

子どもの頃、どんなことで嬉しかったり、ワクワクしたり、
苦しんだり、悩んだりしていたか覚えていますか?
どちらの作品も溢れそうなくらいの想像力で駆け抜ける少年たちが登場するのですが、 それぞれ胸の内に静かな孤独感や葛藤を抱いています。いま大人になった自分たちが、少なからず悩みや寂しさと持ちながら生活しているように、子どもの頃にも学校や家庭といった自分が生きていた世界の中で、問題は尽きなかったはずです。ひとつひとつの物事から受ける意味や衝撃を考えたら、大人よりもずっと複雑な状況かもしれません。毎日毎日、心も身体もせわしなく動いていました。
そんな少年時代の底抜けの楽しさと内に抱えた苦い部分を、それぞれの監督が“子どもの目線”で描いています。
 
余命がほんのわずかなオスカー(『100歳の少年と12通の手紙』)と、イギリスの片田舎の厳格な家庭で育つウィル(『リトル・ランボーズ』)に共通するものは、どこまでもポップで自由な想像力と、それを共有する大切な相手と出会えたということ。自分の中に収まっていた想像が、一緒に分かち合うことで現実の世界に広がっていく。それは自分の抱えている“苦い部分”の認識をも変え、一日一日の中で瑞々しく経験を重ねていく彼らのちょっとした言動は、観る者の心を揺さぶって止みません。

やっぱり少年時代ってすばらしい。
ただあの頃に思いを馳せるだけではなく、自分の内から使っていなかった想像力を引っ張り出して、いつもの世界を変えてみてはいかがですか?

(文/おまる デザイン/ザジ)


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100歳の少年と12通の手紙
OSCAR ET LA DAME ROSE
OSCAR AND THE LADY IN PINK

(2008年 フランス 105分 シネスコ/SRD) 2011年4月30日から5月6日まで上映 ■監督・原作・脚本 エリック=エマニュエル・シュミット(『100歳の少年と12通の手紙』(河出書房新社刊)/旧題『神さまとお話しした12通の手紙』(PHP研究所刊))
■撮影 ヴィルジニー・サン=マルタン
■音楽 ミシェル・ルグラン

■出演 ミシェル・ラロック/アミール/マックス・フォン・シドー/アミラ・カサール/ミレーヌ・ドモンジョ

■オフィシャルサイト http://www.100-12.com/)

「僕は少しくたびれました。また明日、おやすみなさい」
10日間で100歳まで駆け抜けた人生。
そこで知った生きる意味、大切な人々との絆。
その愛は、やがて周囲の人々の運命をも変えていく――

pic白血病で入院生活を送る10歳の少年・オスカーは、ある日偶然ピザ屋の女主人・ローズに出会う。残り僅かの余命を悟られないよう腫れものに触るような態度をとる周囲の大人たちと違い、ローズは遠慮なくオスカーに悪態をついた。そんなローズに心を開いたオスカーだが、ついに自分の余命を知ってしまった彼は、病院内の誰とも口を聞こうとしない。困り果てた院長は、ローズにオスカーの相手をするよう頼み込むのだった。

「死にそうな子の相手なんてお断りよ!」そう拒むローズだったが、ピザを買うことを条件にオスカーと話をするようになり、やがて2つの提案をする。それは、1日に10年ずつ歳を取ること、そして、毎日神様に宛てて手紙を書くことだった。初めての恋、告白、結婚、試練、妻との別離、そして…。1日に10年分の人生を生きたオスカーが、100歳を迎える日が来た。

人生はこんなにも面白く、温かい――
世界40カ国が涙した大ベストセラー、奇跡の映画化!     

pic原作は世界40カ国で読まれ、フランスでは160週にわたってベスト・テン入りするヒットとなった大ベストセラー小説。自身のキャリアを変えた作品を自らの手で映像化したのは、『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』『地上5センチの恋心』などで知られる現代フランスを代表する劇作家エリック=エマニュエル・シュミット。彼の洗練された台詞とファンタジックな世界観、名匠ミシェル・ルグランによる音楽、そして魅力的な登場人物たちが、人生の面白さと慈しみ、愛にあふれた感動の物語を誕生させた。


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リトル・ランボーズ
SON OF RAMBOW
(2007年 イギリス/フランス 94分 PG12 シネスコ/SRD) 2011年4月30日から5月6日まで上映 ■監督・脚本 ガース・ジェニングス
■撮影 ジェス・ホール
■音楽 ジョビィ・タルボット

■出演 ビル・ミルナー/ウィル・ポールター/ジェシカ・スティーヴンソン/ニール・ダッジェオン/ジュール・シトリュク/エド・ウェストウィック

■英国アカデミー賞新人賞(監督:ガース・ジェニングス)ノミネート

■オフィシャルサイト http://rambows.jp/

大人になるしかなかった子供と、子供らしさを禁じられた子供。
彼らを救ったのは、愛でも、神様でもなく
《たった一本の映画》だった――。

pic11歳のウィルは父親のいない家庭で母親、妹、おばあちゃんと暮らしている。教会の厳しい規律のもと、音楽や映画、TVなどの娯楽全てを禁止されているウィルの唯一の楽しみは、思いつくままにオリジナルのイラストやマンガをノートに描くこと。そんなウィルはある日、 校内きっての不良少年リー・カーターと知り合う。いろんな悪さを平気で働くカーターだが、やはり父親のいない家庭で育った彼は、留守がちな母親に代わり横暴な兄の朝食も作る自立した少年だった。

気弱で内気なウィルと、乱暴で悪ガキのカーター。一見対照的だが、共に孤独で想像力豊かな2人の友情が育つのに時間は掛からなかった。ある日、カーターの自宅で観た一本の映画『ランボー』に、ウィルは人生最初で最高の衝撃を受ける。僕らもこんな映画を作りたい!そんな気持ちで結ばれた二人は、お手製の映画作りを通じて友情を深めていく…。

「僕はランボーの息子だ!」
大人たちが心の片隅にしまい込んでいる宝物のような原風景。

監督・脚本はガース・ジェニングス。世界最高峰の映像クリエイター集団と評される製作会社ハマー&トングスを率いる彼は、ファットボーイ・スリム、ベック、レディオヘッドなどのミュージックビデオを手掛け、05年に映画監督デビュー。第2作となる『リトル・ランボーズ』は、当初まったくのインディペンデント制作だったが、2007年サンダンス映画祭で火がつき、米大手映画会社から世界配給オファーが殺到、遂には英アカデミー賞ノミネートという大成功をおさめた。

pic物語のベースにあるのは監督自身の少年時代。現在は映画監督となった彼の“夢の出発点”や“モノを作る喜びの原点”が、何もかもがPOPだった‘80年代の音楽やファッションへのオマージュたっぷりに描かれている。観客のリアルな支持と共に大きく成長したこの映画は、まさに十年に一本のニュー・スタンダードとして、世界中の観客をとびきりハートウォーミングな感動に包みこんでくれる。



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