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pic“あの頃”、私たちは窮屈でやぼったい制服をまとい、灰色の空の下、鬱々として学校の門をくぐった。神経質な教師にうんざりしながら、校庭を眺めていた。私たちは、そこで走っている冴えない同級生を目で追ったり、そうでなければ先輩か、今は会えない年上の人を想ったりした。勉強を楽しいと感じたり、無駄だと感じたりし、現実と憧れの間で揺れていた。

私たちは、自由や恋という欲求に正直で、そのためには保護者や教師という監視の目を欺くこともした。新鮮な空気を一瞬吸うために、何日も退屈な学校生活や両親の束縛に耐えなければならないのは、ぞっとすることだった。背伸びして足を踏み入れた世界の輝きは、何よりも華やかで、素晴らしく思えた。だが、甘い誘惑に全身で飛び込んでいった私たちの多くは、自分の愚かさに気付かずにいた。夢から覚めたとき、私たちは恋を失った痛みに泣いたのかもしれないが、自分の愚かさに愕然としたためだったかもしれない。その時私たちは、今の自分と別れを告げ、新しい段階へ踏み出す時期が来ているのだと悟った。

自分の将来を選択することは、ある者にとって諦めであり、またある者にとっては希望と確信だった。私たちのうち、17歳で自分の将来と運命的な出会いをしたのは、一握りの幸運な者だけだったと思う。生きがいと自分の居場所を見つけた私たちは、ただひたすらに全力を尽くした。例え不恰好でも、周囲を困らせることがあっても、絶対に妥協できない、守るべきものがあった。時に痛みを伴いながら、私たちは前進した。最高に輝ける瞬間を求めて。

私たちは、ありがちな青春を過ごす、無知で、愚かで、がむしゃらな、普通のスクールガールだった。世界がカラフルで、ユーモアと刺激と恋に満ちていることを望んでいた。“あの頃”は、あの頃の私たちだけが体験できた、特別な少女の時代だった。どんな失敗や後悔があっても、不思議に懐かしく、いとおしい。…その青春の日々なしに、今の自分はないのだから。

ガールズ・アフタースクール
あの頃に戻っても、私は私を止めたりしない――

17歳の肖像
AN EDUCATION
(2008年 イギリス 100分 PG12 シネスコ/SRD) pic 2010年10月23日から10月29日まで上映
■監督 ロネ・シェルフィグ
■原作 リン・バーバー
■脚本 ニック・ホーンビィ
■撮影 ジョン・デ・ボーマン
■音楽 ポール・イングリッシュビー

■出演 キャリー・マリガン/ピーター・サースガード/ドミニク・クーパー/ロザムンド・パイク/アルフレッド・モリナ/カーラ・セイモア/エマ・トンプソン/オリヴィア・ウィリアムズ

■英国アカデミー賞主演女優賞/インディペンデント・スピリット賞外国映画賞

■オフィシャルサイト http://www.17-sai.jp/

The life I want, there is no shortcut.
私の望む人生に、近道なんてない。

1961年、ロンドン郊外。ビートルズが流行した所謂“60年代”よりも少し前。16歳のジェニーは、オックスフォード大学を目指す優等生。苦手なラテン語もチェロの練習もすべては進学のため!と、学校と家を往復する退屈な毎日。両親はジェニーの将来を思うあまり、口を開けば大学の話ばかり。唯一の息抜きは、部屋でシャンソンを聴きながら、憧れのパリと自由な未来への想いをめぐらせることだった。

ある日、大雨の中チェロを抱えて立っていたジェニーに、一人の男性が声をかけてきた。彼の名前はデイヴィッド。倍も年が離れているが、堅苦しい周りの大人とは違った魅力的に惹かれ、ジェニーは恋に落ちる。初めてのナイトクラブや音楽会…刺激的な大人の世界が彼女を待ち受けていた。それは、学校の授業とは異なる“エデュケーション=教育”だった。しかし、17歳の誕生日を前に、もう後戻りはできない大人への入り口で、彼女は苛酷な現実を知ってしまう。大切な選択を迫られた彼女が、最後に自ら選んだ道とは…?

I feel old. But not very wise.
年取った気分よ…愚かなまま。

原作者のリン・バーバーは、オブサーバー誌やサンデータイムズ紙で活躍し、数々の賞を受賞している敏腕ジャーナリスト。辛辣で、時にはケンカ腰になる強烈なインタビューで知られ、「悪魔のバーバー“Demon Barber”」と恐れられている彼女が、最初の恋愛について語った回顧録が「An Education」だ。決して自分自身のことを記事にしなかった彼女が初めて明らかにした少女時代の物語。これを読んだ時、脚本を務めたニック・ホーンビィは「ここに映画がある」と思ったという。

若き日のリン=主人公のジェニーを演じたのは、公開されるや否や世界中のメディアから絶賛を浴びた新人、キャリー・マリガン。撮影当時23歳だった彼女は、少女のあどけなさと大人の魅力を併せ持つ瑞々しい17歳を熱演。観客の心を奪うチャーミングなルックと、繊細な感情の起伏を巧みに表現する実力を併せ持つ、新たなスターの誕生となった。


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ローラーガールズ・ダイアリー
WHIP IT
(2009年 アメリカ 112分 PG12 シネスコ/SRD) 2010年10月23日から10月29日まで上映
■監督・製作 ドリュー・バリモア
■脚本・原作 ショーナ・クロス
■撮影 ロバート・イェーマン
■音楽監修 ランドール・ポスター

■出演 エレン・ペイジ/マーシャ・ゲイ・ハーデン/クリステン・ウィグ/ドリュー・バリモア/ジュリエット・ルイス/ジミー・ファロン/ ダニエル・スターン /アンドリュー・ウィルソン/イヴ/アリア・ショウカット/ゾーイ・ベル/ランドン・ピッグ

■オフィシャルサイト http://roller-girls.gaga.ne.jp/

Be your own hero. 自分のヒーローになるのよ。

pic17歳の女子高生、ブリスは、生まれ育ったアメリカの田舎町で退屈な日々を過ごしていた。不幸にも、彼女の献身的な母親は、ミスコンで優勝するしか娘の人生に成功はないと確信し、それに賭けていた。母親を思って今日も純白のドレスに袖を通すブリスだが、どこか違和感を感じていた。人生はきっと、これだけじゃない。

picそんなある日、ブリスはそれまで想像もしえなかった世界<ローラーゲーム>に出会う。ワイルドにぶつかり合い個性を称えあう、逞しくて格好いい女たちの世界。たちまち夢中になったブリスは、思い切ってチームへの入団テストを受ける。ルールもわからなかった彼女だが、なんと天性の才能をかわれ合格。昼間は学校、夜はスケート靴をはいて“最速スケーター”へと変身する!

I worked my ass off to get it.
手に入れるために、死ぬほど努力したのよ

pic セクシーな衣装に網タイツ、アゴ紐つきヘルメットをかぶり、互いに強打しあいながら疾走する<ローラーゲーム>。そんな過激な世界に飛び込んだ女子高生、ブリス役には『JUNO/ジュノ』でアカデミー賞にノミネートされたエレン・ペイジ。あかぬけない女子高生、恋する少女、新鋭最速スケーターまで、彼女の豊かな表情が全編を彩る。

これが初監督となるドリュー・バリモアは、チームメイトやライバルの配役にもこだわった。ライバルチームの悪名高きキャプテン、アイアン・メイビン役は、ウディ・アレンからマーティン・スコセッシまで幅広い監督たちと仕事をしてきた女優であり、自身のバンドでは過激なパフォーマンスと骨太なボーカルを披露する歌手、ジュリエット・ルイス。誰もが驚いたキャスティングでありながら、ルイスの近作では一番のハマリ役といっても過言ではない。遅咲きのスケーター、メイビンに自身の人生を投影したかのような台詞にも要注目。子役時代から映画に携わり、波乱万丈な人生をおくったバリモアや、キャストからのメッセージが随所に感じられる、ガールズパワーみなぎる快作。

(ザジ)



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