監督■大林宣彦
1938年生まれ。
成城大学在学中から、多くの自主製作映画を発表。
60年代よりテレビコマーシャルのディレクターとして活躍。
77年『HOUSE』で商業映画デビュー。
映像の魔術師と呼ばれ、様々なジャンルの作品を次々と発表。
特に、自身の故郷尾道を舞台に製作された「尾道三部作」は、ロケ地を巡る熱狂的なファンを生んだ。
・EMOTION 伝説の午後 いつか見たドラキュラ('67)監督
・すばらしい蒸気機関車('70)音楽
・本陣殺人事件('75)音楽
・最後の蒸気機関車('75)音楽
・瞳の中の訪問者('77)監督出演
・HOUSE ハウス('77)監督製作
・新・木枯し紋次郎 ('77〜'78)
・ふりむけば愛('78)監督
・親子ねずみの不思議な旅('78)歌詩
・人はそれをスキャンダルという('78〜'79)
・天使を誘惑('79)製作
・ホワイト・ラブ('79)出演
・金田一耕助の冒険('79)監督
・MOMENT('81)出演
・ねらわれた学園('81)監督
・可愛い悪魔('82)
・俗物図鑑('82)出演
・転校生('82)監督
・アイコ十六歳('83)製作総指揮
・麗猫伝説('83)
・時をかける少女('83)監督/脚本/編集
・天国にいちばん近い島('84)監督/潤色/編集
・少年ケニヤ('84)監督/編集
・廃市('84)プロデューサー/監督/企画/作曲/編集
・姉妹坂('85)監督
・さびしんぼう('85)監督/脚本/編集
・野ゆき山ゆき海べゆき('86)音楽/監督/編集
・四月の魚('86)監督/企画/脚本/編集
・彼のオートバイ、彼女の島('86)監督/編集
・漂流教室('87)監督/潤色
・私の心はパパのもの ('88)監督/編集
・日本殉情伝 おかしなふたり ものくるおしきひとびとの群('88)監督/脚本/編集
・異人たちとの夏(1988)監督
・北京的西瓜(ぺきんのすいか)('89)監督/編集
・乙女物語 お嬢様危機イッパツ!('90)出演
・ふたり ('91)監督/編集
・彼女が結婚しない理由('92)監督/編集
・青春デンデケデケデケ('92) 監督/編集
・はるか、ノスタルジィ('92)監督/脚本/編集
・水の旅人 -侍KIDS-('93)監督/編集
・金なら返せん!('94)
・女ざかり('94)監督/脚本/編集
・あした('95)監督/編集
・タイム・リープ('97)監修
・三毛猫ホームズの黄昏ホテル('98)
・マヌケ先生('98)監督/脚本/原作
・麗猫伝説 劇場版('98)監督/作曲/編集
・風の歌が聴きたい('98)監督/脚本/編集
・三毛猫ホームズの推理<ディレクターズカット>('98)監督/編集
・SADA 戯作・阿部定の生涯('98)監督
・あの、夏の日 〜とんでろ じいちゃん〜('99)監督/脚本
・淀川長治物語・神戸篇 サイナラ('00)監督
・告別('01)
・なごり雪('02)監督/脚本/編集
・理由('04)監督/脚本
・22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語('06)監督/脚本/編集
・転校生 -さよなら あなた-('07)監督/脚本/撮影台本/潤色/編集
・その日のまえに('08)監督/撮影台本/編集
相当なセンチメンタリストなんだろう、
大林宣彦監督っていう人は。
誰にでも共感できる景色、言葉、音楽を知っている。
これだけじゃダメ。
それを適材適所に放り込むテクニックを持っている。
これが真のセンチメンタリスト。
時にそれは「女々しい」なんて言葉で片付けられてしまうかもしれない。
そう思う気持も理解できる。
照れくささであったり、恥ずかしさであったり…。
でも今週はそんな気持ちを捨てて、
お付き合い願いたい。
二度と戻れない“あの日々”がここにある。
転校生
(1982年 日本 112分 ビスタ/MONO)
2010年9月25日から10月1日まで上映
■監督 大林宣彦
■原作 山中恒『おれがあいつであいつがおれで』
■脚本 剣持亘
■撮影 阪本善尚
■音楽 林昌平
■出演 尾美としのり/小林聡美/佐藤允/樹木希林/宍戸錠/入江若葉/志穂美悦子/山中康仁
■日本アカデミー賞新人俳優賞(尾美としのり・小林聡美)
★プリントの経年劣化により、全編に亘り退色が生じています。お見苦しい箇所もございますが、ご了承の上ご鑑賞いただきますようお願いいたします。
★本編はカラーです(一部モノクロ)。
坂と港の街・尾道の高校に斎藤一美という女の子が転校してきた。その高校には、斎藤一夫という一字違いの男の子がいた。彼と彼女は実は幼馴染みだったが、そのことで言い合っているうちに、二人してお寺の石段から転げ落ちてしまう。とたんに一美と一夫の体がそっくり入れ替わるという異常事態が発生した。
さあ、大変!一美はその瞬間から男っぽくなり、逆に一夫はオカマのような少年に変貌する。そればかりか、共に相手になり替わって生活しなければならないのだから、なんとも苦痛である。男の子として生きねばならぬ女の子と、女の子として生きねばならぬ男の子との、奇妙きてれつな純愛悲喜劇!
山中恒の小説『おれがあいつで、あいつがおれで』を、大林宣彦が当時無名の新人だった尾美としのりと小林聡美を起用して映画化。撮り方によっては異質な映画もできそうな素材だが、大林監督はこの原作の中に思春期の原点を見出だし、そのテーマをクールに、しかしその一方には青春への懐かしさ、いま青春の日々に踏み迷う少年・少女たちへのいたわりをこめながら、鮮やかに映像化している。
時をかける少女
(1983年 日本 104分 ビスタ/MONO)
2010年9月25日から10月1日まで上映
■監督・脚本・編集 大林宣彦
■脚本 剣持亘
■原案 筒井康隆『時をかける少女』
■撮影 阪本善尚
■音楽 松任谷正隆
■主題歌 『時をかける少女』(作詞・作曲:松任谷由美 唄:原田知世)
■出演 原田知世/高柳良一/尾美としのり/上原謙/内藤誠/津田ゆかり/岸部一徳/根岸季衣/入江たか子/松任谷正隆/入江若葉
■日本アカデミー賞新人俳優賞(原田知世)
季節は春。主人公の芳山和子16歳は、どうやら初めての恋を知ろうとしている。相手は同じクラスの深町一夫。男の子のくせに花に興味がある、ちょっと変わった少年だが、和子は他の男子達にはない魅力を感じていた。
ある土曜日の午後、掃除当番の和子は一人理科室に残っていた。そのとき、和子は実験室で不審な物音を聞きつける。誰もいないはずなのに…思い切って実験室に入ってみるが、突然和子は不思議な香りに包まれて気を失ってしまう。気がついた時には、何事もなかったかのように整然としていた。しかし、あの香りだけはしっかりと覚えている。あれは確か…そう、ラベンダーの香りだった。
ある日突然、時間を飛び越える能力を持ってしまった少女が経験する不思議な出来事と悲しい恋。『時をかける少女』は、筒井康隆の同名小説を映像化したファンタジックな愛の物語である。不思議な体験をするヒロイン、芳山和子役の原田知世は、当時、角川映画大型新人募集オーディションで特別賞を受賞し、TV版『セーラー服と機関銃』『ねらわれた学園』に出演。本作は、その新鮮な魅力で瞬く間に売れっ子となった彼女の、待望のスクリーンデビュー作であった。
さびしんぼう
(1985年 日本 112分 ビスタ/MONO)
2010年9月25日から10月1日まで上映
■監督・脚本・編集 大林宣彦
■脚本 剣持亘・内藤忠司
■原案 山中恒『なんだかへんて子』
■撮影 阪本善尚
■音楽 瀬尾一三
■主題歌 『さびしんぼう』(作詞:売野雅勇 作曲:フレデリック・ショパン 唄:富田靖子)
■出演 尾美としのり/富田靖子/小林稔侍/藤田弓子/大山大介/砂川真吾/佐藤允/岸部一徳/根岸季衣
■ブルーリボン賞助演女優賞(藤田弓子)
★プリントの経年劣化により、本編中一部お見苦しい箇所がございます。ご了承の上、ご鑑賞いただきますようお願いいたします。
★本編はカラーです。
寺の住職の一人息子、井上ヒロキは、いたずら好きの勉強嫌いで、カメラが趣味。やっと手に入れたズームレンズからのぞくのは、隣の女子高で放課後になるとショパンの『別れの曲』を弾いている女の子。ちょっと淋しげな横顔に惹かれるヒロキは、いつしか彼女を“さびしんぼう”と呼ぶようになる。
そんなヒロキの前に、ある日ひょっこり、一人の女の子が現れた。ダブダブの服に、ピエロのような顔をして、ヒロキの顔を見てはニィっと笑う。その子は自分を「さびしんぼう」と名乗り、それ以来事あるごとに現れるようになって…。
『転校生』『時をかける少女』に続く、尾道三部作の最終作が、この『さびしんぼう』である。三部作中、最もノスタルジックでファンタジーに溢れるこの作品は、大林監督が20年来温め続けていたもの。前二作に描かれなかった尾道の冬が舞台となっている。大林監督特有の笑いと感動をふんだんに盛り込み、冬の陽だまりの暖かさがじかに伝わってくるようなハートフルな作品だ。『転校生』のメルヘンと『時をかける少女』のファンタジーを再び結集させた、暖かくも切ない恋の物語。