toppic ―This is a story of boy meets girl.
 (これは“男女の出会い”の物語。)
 But you should know up front, this is not a love story.
(しかし、あなたはすぐに知るでしょう。これは“ラブ・ストーリー”ではない―『(500)日のサマー』より

picある日恋に落ちて、ある日失恋した。
その喪失感に比べると、日常は皮肉なまでに普段通り。

でもそれは日常に潜んでいる欺瞞だと、遅れてきた青春を取り戻すべくあまりにも不器用に踏み切り台から飛び出した『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の田西敏行(峯田和伸)は言うかもしれない。「オレさ、本気になれるものちはるちゃんのことだけだったから」

「運命の恋なんてあるにきまってる」「彼氏なんて欲しくない。誰かの所有物になるなんて理解できないわ」と、恋愛観の違いという障壁が『(500)日のサマー』のトム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)にもたらしたものは、クラシック映画のラブ・ストーリーで障壁を越えるようなカタルシスではなく、季節の移り変わりの中で自分の位置をつかむ難しさについての示唆であったのはどうしてだろう?

たとえば退屈な日常は本当の恋と共に輝き出す…という幻想がある。それは映画や物語が作り出したものかもしれない。他にも、トムが働くグリーティングカード会社で毎日大量に作り出される“気の利いた言葉”たちや、ポップミュージックの歌詞の中でティーンエイジャーの心を掴む言葉は誰にとっても真実だと言うわけではない。しかし巷で流通するイメージを利用した“ごっこ”は彼らの気分をもっとも高揚させる。IKEAで“新婚ごっこ”をするサマー(ズーイー・デシャネル)とトム、天にも昇る心地で“ミュージカル”になるトム。それにしても田西の“本気”の戦闘服は、『タクシードライバー』のトラヴィス・ビックルことロバート・デニーロそのものだ。

それぞれの気分を代表する物語、シーンを捕まえて彼らは変身しようとでも言うのだろうか?もうすぐ“自分が物語の主人公になる”その時を目指して。しかし先にも言われたように意外にもこれはラブ・ストーリーではなかった。ましてや、主人公は自分ではなかった。

あなただけ追いかけて
あなたまで傷つけて
夢でも届かないのに
夢さえ捨てられない ―『ボーイズ・オン・ザ・ラン』より

時間は戻らない。しかし縦横無尽に駆け回る(500)日のタイムトラベルにも、遅れてきたスタートダッシュにも同じだけの季節は巡る。
意外にも彼らが憧れている物語や輝く恋人たちの時間が、女性のもつ冗談のような魅力と現実に翻弄されて甘く崩落した時にこそ、彼らの物語が始まるのだから。

(ぽっけ)

ボーイズ・オン・ザ・ラン

ボーイズ・オン・ザ・ラン
(2009年 日本 114分 R15+ ビスタ/SR) 2010年6月19日から6月25日まで上映
■監督・脚本 三浦大輔
■原作 花沢健吾『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
■撮影 木村信也
■音楽 桜井芳樹
■主題歌 銀杏BOYZ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』

■出演 峯田和伸/黒川芽以/松田龍平/YOU/小林薫/でんでん/尾上寛之/渋川清彦/米村亮太朗/大谷英子/遠藤雄弥/岩松了

■オフィシャルサイト http://www.botr.jp/

走れ、泣け、恋をしろ!
男はいつでも、
本気になった時が青春だ。

pic弱小おもちゃメーカーで働くサラリーマン、田西敏行29歳(彼女いない歴29年)。営業先では「面白くない」とバカにされ、出世なんて程遠いダメ社員。同僚・ちはるに密かに恋心を抱きながらも、当然彼女にうまく近づけない。誕生日をテレクラで迎えてとんでもない女にひっかかるわ、実家暮らしでエロビデオを観て就寝する怠惰な毎日を送っている。

仕事もダメ!恋もダメ!そんな田西に、なんとチャンス到来!仕事先で出会ったエリート営業マン、青山の手ほどきで、ちはるとの恋の予感が…!しかしそこには、大きな衝撃が待ち受けていた。

「いい人」か「獣か」。「土下座」か「決闘」か。
新しい才能!まぎれもない傑作!
三浦大輔が描く醜態エンタテインメント

走って、こけて、また走る。そんな主人公の姿を激励とユーモアをもって描き、圧倒的支持を集めた花沢健吾原作のコミック『ボーイズ・オン・ザ・ラン』。この傑作に初メガホンで挑んだのは、劇団「ポツドール」の主宰・脚本・演出である三浦大輔。低俗で下品なものの中に潜む“人間の本質”を徹底的にえぐり出す表現は、演劇界を賛否で熱狂させた。本作でもその才覚は冴えわたり、純粋な恋心と勝てない性欲、人間関係を思う存分ぶつからせながら、見事なエンタテインメントへと昇華させている。

picどこまでもまっすぐで不器用な主人公・田西を演じたのは、俳優として活躍の幅を広げる峯田和伸(銀杏BOYZ)。田西に全力で体当たりし、キャラクターに息吹をあたえ、生身の人間を描き出した。主題歌は峯田和伸がボーカルを務めるバンド・銀杏BOYZが書き下ろした“ボーイズ・オン・ザ・ラン”。田西の感情を表すかのような、切なくちぎれそうなサウンドとボーカルが本作を熱く盛り上げ、えもいわれぬ爽快感で締めくくる。


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(500)日のサマー

(500)日のサマー
(500) DAYS OF SUMMER
(2009年 アメリカ 96分 PG12 シネスコ/SRD) 2010年6月19日から6月25日まで上映
■監督 マーク・ウェブ
■脚本 スコット・ノイスタッター/マイケル・H・ウェバー ■撮影 エリック・スティールバーグ
■音楽 マイケル・ダナ/ロブ・シモンセン

■出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ズーイー・デシャネル/ジェフリー・エアンド/マシュー・グレイ・ガブラー/クロエ・グレース・モレッツ/クラーク・グレッグ/レイチェル・ボストン/ミンカ・ケリー/パトリシア・ベルチャー

■インディペンデント・スピリット賞脚本賞

■オフィシャルサイト http://movies.foxjapan.com/500daysofsummer/

恋を信じる男の子(トム)と信じない女の子(サマー)の
ビタースウィートな500日。

picトムが働いているグリーティングカード会社に、ある日秘書として入社してきたキュートな女の子・サマー。運命の恋を信じるトムはサマーに一目惚れするが、サマーは真実の愛なんて信じない。「彼氏なんて欲しくない。誰かの所有物になるなんて理解できないわ」と語るサマー。「私のことが好き?だったら友達になって」とサマーは言い、トムに別れ際のキスをした。そして2人の、「お友達」としての関係がスタートする。

pic次第に距離を縮めた2人は、ある日一緒にIKEAに出かけた。展示されているソファに腰かけたり、ベッドに寝そべって見つめ合ったりして新婚ごっこを楽しむ。「真剣に付き合う気はないの。それでもいい?」と言うサマーに、「いいよ、気楽な関係で」と答えたトム。その後、2人は“気楽に“ベッドインした。あなたは真実の恋を信じる?信じない?真逆の考えを持つ2人の恋の行方とは…。

今世紀最強のラブストーリー!
きっとあなたも、夢中になる。

pic全米で27スクリーンの限定公開から始まった本作は、徐々に規模を拡大、公開4週目にしてトップ10入りを果たしたミラクル・ムービー。とびきりキュートで、どこかエキセントリックな女の子・サマーに扮するのは旬の女優、ズーイー・デシャネル。音楽ユニット「シー&ヒム」で人気を集めるアーティストであり、ハリウッドから支持されるファッションアイコンでもある彼女は、今最も注目を集めるニュー・ヒロインだ。サマーに振り回される草食系男子・トムを演じたのは『セントアンナの奇跡』のジョセフ・ゴードン=レヴィット。傷つきやすいオトコ心を繊細に演じている。

片思いと両想いの間に果てしなくひろがるグレーゾーン。恋って、どうしてこんなに楽しくてせつないんだろう?全米が夢中になった(500)日の恋の物語に、きっとあなたも夢中になる!



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