ブラッド・ピット×アンジェリーナ・ジョリー=ブランジェリーナ
世界で最も注目されているセレブカップルの主演作が、
相次いで公開された2009年。
早稲田松竹ではこの旬の2作品、
『チェンジリング』
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
を二本立てで上映します。
人間には逆らえない運命というものがある。
時にそれは幸福であり、不幸であり、数奇なものである。
映画を観ている我々は決して映画を変えることはできない。
つまり映画自体が運命そのものであるとしたら、
今回の『チェンジリング』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は映画本来の運命性を最大限に自覚、
生かした超劇的なドラマである。あがらえない自然とは決して外部のものではなく、
運命という名の元に人間内部でうごめいているのだ。
そして運命ほど人の興味を惹きつけるものはないであろう。
今回の2本立てで我々は運命を目撃し、追体験する。
運命に立ち向かう主人公達の姿は必ずやあなたの心を大きく揺さぶるだろう。
ベンジャミン・バトン 数奇な人生
THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
(2008年 アメリカ 167分 シネスコ/SRD)
2009年8月22日から8月28日まで上映
■監督 デビッド・フィンチャー
■脚本・映画版原案 エリック・ロス
■映画版原案 ロビン・スウィコード
■原作 F・スコット・フィッツジェラルド
■出演 ブラッド・ピット/ケイト・ブランシェット/タラジ・P・ヘンソン/ジュリア・オーモンド/ジャイソン・フレミング/イライアス・コーティーズ/ティルダ・スウィントン/ジャレッド・ハリス/エル・ファニング/マハーシャラルハズバズ・アリ
■2008年アカデミー賞美術賞、メイクアップ賞、視覚効果賞/2008年英国アカデミー賞美術賞/メイクアップ&ヘアー賞特殊視覚効果賞
ベンジャミンは知っていた。
出会った人々と、いつか必ず別れることを。
だからこそ、この一瞬一瞬を大切に生きたい――。
1918年、ニューオリンズ。黒人女性クイニーは、置き去りにされた赤ん坊を拾う。ベンジャミンと名付けられたその男の子は、車椅子から立ち上がって歩き出し、しわが減り、髪は増えていく。……そう、ベンジャミンは日に日に若返っていくのだった、
生まれてすぐに捨てられたベンジャミンに、無償の愛をくれた育ての母。外の世界へ飛び出し、誘われるまま乗った船で仕事をくれた船長は「自分の信じる道を進め」と教えてくれた。異国で出会った女性との初めての恋、初めてのくちづけ。第二次世界大戦で共に戦い、夢半ばで散った男たちと結んだ絆……ベンジャミンは自分に与えられたさまざまな機会をすべて受け入れ、そこで出会った人々と深くかかわっていくことに、生きる意味を見出していく。
そんな数え切れない出会いと別れの中で、ベンジャミンの人生を大きく変えたのは、生涯思い続けた女性、デイジーだった。互いに求め合いながらも、別々の時の流れを生きなければならないふたり。人生のちょうど真ん中で、やっとほぼ同じ年齢になったふたりは、互いを慈しむように強く優しく愛し合う。しかし、ふたりは気付いていた。やがてまた、時に引き裂かれることを――。
それは、80歳で生まれ、年を取るごとに若返っていく
数奇な人生を生きた男の物語。
私は数奇な人生のもとに生まれた――本作の基になっているのは、『グレート・ギャツビー』で知られるF・スコット・フィッツジェラルドが1920年代に執筆した短編小説。監督は『セブン』、『ファイト・クラブ』のデビッド・フィンチャー。今の時代を代表するのはもちろん、未来の映画界を担う監督のひとりである。
本作ではフィンチャー監督が得意とする前代未聞の設定を入口にしながら、登場人物ひとりひとりの体験を丹念に描き、観る人すべてが「これは自分の物語だ」と感じられるストーリーを紡ぎ出した、特別な運命を生き抜いたベンジャミンの曇りなき瞳を通して、人生の素晴らしさを見せてくれる感動作である。
チェンジリング
CHANGELING
(2008年 アメリカ 142分 シネスコ/SRD)
2009年8月22日から8月28日まで上映
■監督・製作・音楽 クリント・イーストウッド
■脚本 J・マイケル・ストラジンスキー
■出演 アンジェリーナ・ジョリー/ガトリン・グリフィス/ジョン・マルコヴィッチ/コルム・フィオール/デヴォン・コンティ/ジェフリー・ドノヴァン/マイケル・ケリー/ジェイソン・バトラー・ハーナー/エイミー・ライアン
■2008年度カンヌ国際映画祭特別賞
ある日突然、消えた息子。
5ヶ月後に帰ってきた彼は、別人だった――
クリスティン・コリンズは、9歳の息子ウォルターと共にロサンゼルス郊外で暮らすシングル・マザー。電話会社に勤めながら女手ひとつで子どもを育てていく生活は決して楽なものではなかったが、父親の顔を知らないウォルターに辛い思いをさせまいと思うクリスティンは、多忙な日々の中で懸命に母親と父親の二役をこなした、だが、その幸せは、あるとき唐突に終わりを告げる。
同僚の頼みで休日を返上することになったクリスティンは、ウォルターをひとり家に残すことに後ろめたさを感じながら、会社に出かけていった。夕方、大急ぎで帰宅した彼女を待ち受けていたのは、空っぽの家――。ウォルターの姿はどこにもなかった。
警察の捜索が開始され、5ヶ月後にウォルターはイリノイ州で発見される。しかし、警察が連れてきた息子は別人だった。息子だと言い張る少年。クリスティンの訴えを聞き入れない警察。一体、ウォルターに何があったのか。息子をこの手で抱きしめるまでは決して諦めないと誓い、次々に向かってくる圧力と闘うクリスティンに、恐るべき報せが届く……。
アメリカ史の中に埋もれていた
衝撃の実話の映画化
アメリカが誇る名優、そして巨匠であるクリント・イーストウッド監督作品。ここ最近の多作ぶりはまるで自分の命が限られているのを悟るが如く、怒涛の様相を呈しているが、今がまさに円熟期ではないだろうか。彼の映画の主人公は常に強い意志を持ち、映画全体としてのメッセージ性を明確にする。今回は主演にアンジェリーナ・ジョリーを迎え、運命に翻弄されながらも立ち向かい続ける母親を描いている。アンジェリーナ・ジョリーといえばアクションスターのイメージが強いが、今作では本格的演技派としての一面を大いに発揮、チャームポイントの唇が真っ赤に塗り込められ、ヴィジュアル的にも強い意志が前面に押し出されている。アメリカ映画界の至宝とも言うべき二人が、奇跡のコラボレーションを奏でる感動作が誕生した。
1920年代、ロサンゼルスで実際に発生したゴードン・ノースコットによるウィネビラ養鶏場殺人事件の被害者家族の実話を元にしたストーリー。脚本のJ・マイケル・ストラジンスキーは、ロサンゼルス市役所の事務室に埋もれていた記録の中から、クリスティン・コリンズの事件を発掘。1年を費やしてリサーチを重ねながら、息子の行方を追い求める過程で官憲の腐敗を暴き、期せずして社会に大きな改革をもたらしたクリスティンの実話を、普遍的に備えた「ひとりの母親の物語」として編み上げていった。