直介(田中直樹)は30歳代半ばの脚本家。妻民子(八木亜希子)と一生暮らすマイホームに夢膨らませている。緑豊かな高台の土地にセンスのいい家を建てようと、2人が選んだのは、新進気鋭のインテリア・デザイナーの柳沢(唐沢寿明)。施工は民子の父で大工の棟梁長一郎(田中那衛)に依頼する。
おしゃれで開放感溢れるアメリカ建築をデザインする柳沢と、とにかく頑丈な和風建築を建てようとする長一郎。妥協を許さないアーチスト間隔の柳沢と、職人としてなんとしても納期に間に合わせようとする長一郎。そんな2人に共通しているのは頑固さだけ。ことごとくぶつかり合う2人の間で、おろおろしてその場しのぎの解決を図ろうとする直介と、なすすべもない民子。状況は混乱を極めていくばかり。
それでも何とか家は完成するかに見えた。ところが完成直前の嵐の夜、想像もしないハプニングが発生する…
初監督作品『ラヂオの時間』(1997年)から4年、三谷監督二作目のコメディ、タイトルは『みんなのいえ』。満を持して挑んだ今作は「家を建てる」ことをテーマにした「ホームコメディ」──新居建築を夢見る若い夫婦。新進気鋭のインテリア・デザイナーに設計を依頼しましたが、妻の父親の頑固な大工が施工することとなり、話がややこしくなります。デザイナーと大工、全く正反対な二人の男の対立と混乱、暴走。夫婦に襲い掛かる想像を絶するトラブルの数々…。はたして理想の新居は完成するのでしょうか。
家を建てるおもしろおかしいエピソードを描きながら、男同士のドラマでもあり、家族と夫婦の物語でもあります。これを称して「ホームコメディ」──彼らの織りなすドラマに笑いながらも、最後には一途に生きる人間の姿に胸が熱くなることでしょう。
唐沢寿明、田中那衛、ココリコの田中直樹、八木亜希子と特別出演の豪華キャスト、映画界を代表する一流スタッフを迎え、三谷監督にしかできない「笑いとあたたかい感動」のコメディを誕生させました。近年の日本映画界から輩出したコメディの名手といえば、「お葬式」「マルサの女」の伊丹十参監督、「Shall we ダンス?」の周防正行監督が代表格ですが、この2人に続く存在が、三谷幸喜監督です。21世紀最初の年、コメディの歴史に「みんなのいえ」という新たな傑作が加わりました。 |