寂寞とした野原を二人きりで旅する親子。辺りに立ちこめているのは迫り来る秋の気配か、それとも旅路の先に待つ死の暗闇か。

見る者全てに諸行無常を突き付けてやまない、生への諦観漂うオギノ迷宮に迷い込んだのは、尾上一刀と大五郎親子か、それとも...。

石を組み合わせた道祖神の前かけは魚肉ソーセージのビニールでは？巡り来てはやがて儚く消え果てる命達の上で、秋風に揺れる烏瓜が一つ弾けた。

映画館にふさわしい題材の登場である。わびさび具合が素晴らしい。
大五郎とちゃーん(拝一刀）の顔をよく見るとまるで死者。なのでジャパニーズホラーにも片足つっこんでいるのが時勢を反映させている。盆景の中に漂う父子の絆を感じてください。

ありがたいこちらの仏様の前掛けは、ソーセージのビニールというつつましさ。