りん…りん…りん…。
お庭に飾っているクリスマスツリーの鈴が風に揺られて鳴るたびに、ハッピーちゃんはわくわくします。おとといから降り始めた雪は、今はひとまず止んでいますが、あたり一面を真っ白に染めてしまい、ハッピーちゃんがいつも横になるレンガも雪の絨毯で覆われてしまい、今は見つけることが出来ません。
空にはお星さまが光っています。ハッピーちゃんは玄関を出て、雪の上をそっと歩いてみました。ひんやりとした寒さが肉球から体全体へと伝わってきます。雪の上についた足跡も、何かを楽しみにしてるかのように静かに後から着いてきてくれます。
りん…りん…りん…。
鈴の音が聞こえて来ました。クリスマスツリーを見ましたが、風はふいていません。りん…りん…りん…。もう一度鈴の音が鳴ります。その音はどうやら空から聞こえてくるようです。ハッピーちゃんは目を輝かせて空を見上げました。よかったね、ハッピーちゃん。今日は待ちに待ったクリスマスだよ。
濃紺のひんやりした冬の空をみると、きゅーんとする。おや、わしの可愛いハッピーちゃんが窓越しにじっと空をながめておるようじゃ。わしも年をとったせいであまりお外に出してあげられなくなっちまった。すまないねぇ・・ハッピーちゃん。そんなにじっとお空をながめて・・一体何が見えるのかね?そう言ってわしは窓の外を見上げた。
見上げながらわしは思わず腰を抜かしたよ。だって濃紺の空にサンタが駆け抜けていくのが見えたんだもの。りん・・りん・・りん・・懐かしい調べ。幼い頃に聞いたような・・。人生長けりゃ辛いことも沢山あって、奇跡なんて信じなくなっちまったこのわしのもとに訪れた優しい奇跡。ハッピーちゃん、ありがとうよ。