なんともエネルギッシュな作品である。 ドラえもんを祭り隊長として、各成員たち(キンケシ等)も太鼓のバチ握りしめ、 盛りあがっているようだ。
祭りの持つ集団のダイナミズムをこれほど直球で感覚に訴えかけてくる作品に仕上げるとは、お見事の一言である。神輿に玉(ぎょく)をあしらったり等々、神がかったディティールの数々にも注目。「せいやっ」の掛け声が聞こえそうである。
おや?これは耳鳴りだろうか、何処から祭囃子が聞こえてくる。町のお祭りは先日終わったばかりなのに...。祭囃子はあなたのごく近くから、そのくせ、思い出そうとしてもなかなか思い出せない古い友人の名前みたいに、曖昧で小さな音で聞こえてくる。
あなたは押入れを開け、長いこと封を解かなかったダンボール箱を見付ける。古くなったガムテープはオギノ迷宮への扉を開く鍵。ガムテープをはがしたあなたは、祭りの声が何処で鳴っていたかを知る。そして、時間の中で何を失ってしまったのかを。
幼い頃、夏休みが終わる直前は、いつも憂鬱だった。
ドラえもん様の万能な力で休みが延長されることを本気で望んでいたあの頃。
秋、ノスタルジアの季節。
あなたは部屋の窓から空を眺め、故郷の穂波を思い出す。そこに遊んだ幼少の日々を。