【2019/12/14(土)~12/20(金)】『旅のおわり世界のはじまり』『長いお別れ』 // 特別レイトショー『雪の断章 -情熱-』

長いお別れ
A Long Goodbye

中野量太監督作品/2019年/日本/127分/DCP/ビスタ

■監督 中野量太
■原作 中島京子「長いお別れ」(文春文庫刊)
■脚本 中野量太/大野敏哉
■撮影 月永雄太
■音楽 渡邊崇

■出演 蒼井優/竹内結子/ 松原智恵子/山崎努/北村有起哉/ 中村倫也/杉田雷麟/蒲田優惟人

©2019『長いお別れ』製作委員会 
©中島京子/文藝春秋

【2019年12月14日から12月20日まで上映】

だいじょうぶ。記憶は消えても、愛は消えない。

父の70歳の誕生日。久しぶりに帰省した娘たちに母から告げられたのは、厳格な父が認知症になったという事実だった。 それぞれの人生の岐路に立たされている姉妹は、思いもよらない出来事の連続に驚きながらも、変わらない父の愛情に気付き前に進んでいく。 ゆっくり記憶を失っていく父との7年間の末に、家族が選んだ新しい未来とは――。

笑って泣いて、前に進んでいく家族たち。中野量太監督が贈る新たな愛の感動作!

監督・脚本を務めるのは、『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太。 常にオリジナル脚本で独自の世界を創り続けてきた監督が、「オリジナル脚本へのこだわりを簡単に捨てられた」と語るほど原作に惚れ込み、初めて小説の映画化にチャレンジした。

原作は「小さいおうち」で第143回直木賞を受賞した、中島京子の同名小説「長いお別れ」。 認知症を患い記憶や言葉を失っていく自身の父親と暮らした日々の実体験をもとに、ただつらいだけの日常を描くのではなく、笑いも交えたあたたかく切ない筆致でつづっている。

近い将来65歳以上の1/5が発症するという(出典:厚生労働省)今や他人ごとではない認知症。父の発症により、自分自身の人生と向き合う事になる家族の7年間を、あたたかな眼差しをもって優しさとユーモアたっぷりに描いた本作。 刻々と変化する時代に変わることのない大切なものを問う、昭和、平成、そして新しい時代へと繋がれる希望に満ちた作品が誕生した。

旅のおわり世界のはじまり
To the Ends of the Earth

黒沢清監督作品/2019年/日本・ウズベキスタン・カタール/120分/DCP/シネスコ

■監督・脚本 黒沢 清 
■撮影 芦澤明子
■編集 高橋幸一
■音楽 林祐介

■出演 前田敦子/加瀬 亮/染谷将太/柄本時生/アディズ・ラジャボフ

■第72回ロカルノ国際映画祭クロージング作品

©2019「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO

【2019年12月14日から12月20日まで上映】

私の心は迷子になった。

テレビリポーターを務める葉子は巨大な湖に棲む“幻の怪魚”を探すため、番組クルーと共に、かつてシルクロードの中心地として栄えたこの地を訪れた。夢は、歌うこと。その情熱を胸に秘め、目の前の仕事をこなしている。収録を重ねるが、約束どおりにはいかない異国でのロケで、いらだちを募らせるスタッフ。

ある日の撮影が終わり、ひとり街に出た彼女は、聞こえてきた微かな歌声に誘われ美しい装飾の施された劇場に迷い込む。そして扉の先で、夢と現実が交差する不思議な経験をする──。

シルクロードの美しい風景の中で描かれる心の冒険 前田敦子主演×黒沢清監督最新作!

内外で圧倒的評価と人気を誇る映画監督・黒沢清が、ウズベキスタンに1か月まるまる滞在し広い国土を存分に使ってロケ撮影された本作は、観客も一緒に異郷を旅しているような、ロードムービーとしての魅力に溢れた目覚めの物語。雄大なシルクロードの風景からホコリっぽい街角の雑踏、バザールの熱気までをドキュメンタルに切り取り、1コマごとに主人公の心の移ろいを映し出している。

主人公・葉子を演じるのは前田敦子。監督が「フレームに写っただけで独特の強さと孤独感が漂う」と話すとおり、異国の地に投げ込まれた不安や緊張を、繊細な表情で伝えている。また、本作で名曲「愛の讃歌」の歌唱に挑戦。クライマックスでは標高2,443mの山頂でアカペラの撮影に挑み、この現場で収録された歌声が劇中で使用されている。

そして、葉子と行動を共にする番組クルーを演じているのは、加瀬亮、染谷将太、柄本時生。本物の撮影スタッフと見紛うリアルさで、絶妙のチームワークを見せている。

【特別レイトショー】雪の断章 -情熱-
【Late Show】Lost Chapter of Snow: Passion

相米慎二監督作品/1985年/日本/100分/35mm/ビスタ/MONO

■監督 相米慎二
■原作 佐々木丸美
■脚本 田中陽造
■撮影 五十畑幸勇
■主題歌 斉藤由貴「情熱」

■出演  斉藤由貴/榎木孝明/世良公則/岡本舞/矢代朝子/レオナルド熊/河内桃子

©1985 東宝

【2019年12月14日から12月20日まで上映】

私、運命を信じます──

広瀬雄一は7歳の少女伊織と出会い、彼女を自分のアパートへ連れ帰った。みなし児だった伊織は那波家にひきとられたが、ひどい扱いを受け、すっかり人間不信に陥っていた。親友、津島大介の励ましもあって、雄一は伊織を育てる決心をする。

十年の歳月がたち、伊織は17歳になった。同じ高校には那波家の次女・佐智子がおり、雄一が暮らすアパートには那波家の長女・裕子が引っ越してきた。伊織と那波家の縁は、見えぬ糸のようにつながっていく。

裕子の歓迎会がアパートで開かれた夜、裕子が青酸入りのコーヒーを飲み死亡した。そして部屋へコーヒーを運んだ伊織に殺人の容疑がかかってしまう…。

アイドル映画を超えた相米慎二監督による異色の青春サスペンス。

ふたりの男性に囲まれて育ったみなし児の少女が、ある時から大人へと一歩踏み出す。そして彼らの周りで殺人事件が起きる――。佐々木丸美の原作小説を、謎解きを背景に10年の愛のかたちをメロドラマを転調させながら描いた相米慎二監督作品。当時新人アイドルとして圧倒的な人気を誇った斉藤由貴の映画初主演作として話題となった。冒頭の13分45秒の18シーンワンショットは今も語り継がれる伝説。