【2019/8/31(土)~9/6(金)】『アリー/スター誕生』『ドリームガールズ ディレクターズカット版』

パズー

輝くために、失う何かがある。
しかし、夢は永遠に生き続ける――
(『ドリームガールズ』パンフレットより)

今週の二作品、『アリー/スター誕生』の主演はレディ・ガガ、『ドリームガールズ』はビヨンセ。どちらも音楽業界のトップに君臨し、歌手としてだけでなく、パフォーマンス、社会活動など常に世界に影響を与えている正真正銘のスターです。そんな彼女たちが、それぞれの映画の中で、素朴で愛らしい女性が光輝く歌姫(ディーバ)になるまでを演じています。

だからといって、どちらも単にゴージャスでキラキラしたサクセス・ストーリーというわけではありません。映画はむしろ、華やかなショウビズ界の裏で生まれる妬みや裏切り、孤独や死といった問題を扱っています。一緒に歩んできた大切な仲間や恋人、家族とさえ袂を分かつことがある世界。誰もが憧れるような夢を掴むためには、それなりの代償があるのです。

それでも、真っ暗なステージに差す一筋のスポットライトの光がとても美しいように、挫折や失敗、苦労をしたからこそ増す輝きがあるもの。いつの時代でも人が夢物語に惹かれるのは、暗闇から生まれる明るさがあることを、誰もが知っているからなのではないでしょうか。

そして、痛みから生まれた歌は何より心に刺さるのです。劇中で登場人物たちが歌い上げる数々の名曲が何よりも物語を語っています。音楽がもつ純粋なパワーに圧倒されるはずです。

夏ももう終わり、なんとなく寂しい気分になるこの時期、パワフルな音楽映画で気持ちを盛り上げてみませんか? 今週は『アリー/スター誕生』『ドリームガールズ ディレクターズ・カット版』の二本立てです。

ドリームガールズ ディレクターズカット版
Dreamgirls director's extended edition

ビル・コンドン監督作品/2006年/アメリカ/140分/ブルーレイ/シネスコ

■監督・脚本 ビル・コンドン
■原作・作詞 トム・アイン
■製作 ローレンス・マーク
■撮影 トビアス・A・シュリッスラー

■出演 ビヨンセ・ノウルズ/ジェイミー・フォックス/エディ・マーフィ/ジェニファー・ハドソン/アニカ・ノニ・ローズ/ダニー・グローバー

■2007年アカデミー賞助演女優賞・音響録音賞受賞、助演男優賞ほか6部門ノミネート/ゴールデングローブ賞作品賞(コメディ/ミュージカル部門)・助演男優賞・助演女優賞受賞、主演女優賞・主題歌賞ノミネート ほか多数受賞・ノミネート

©Image credit is ‘Images courtesy of Park Circus/Paramount’

★公開時より10分長いディレクターズカット版を上映いたします。

【2019年8月31日から9月6日まで上映】

夢は永遠に生き続ける

1962年。音楽での成功を夢見るエフィ、ローレル、ディーナの3人は、“ドリーメッツ”というグループを結成して、新人オーディションへの挑戦を繰り返していた。そんな彼女たちに大きな可能性を見出したのが、中古車販売会社を経営するカーティス。マネジメントを買って出た彼は、地元の人気シンガー、ジェームス・アーリーのバックコーラスに抜擢する。彼らのパワフルなステージは全米の注目を集め、“ザ・ドリームズ”に改名してデビューしたディーナたちはスター街道を歩み始めるがのだが…。

自分を偽らず、他人を傷つけず、夢をつかみとりたい 豪華キャストで贈る最高のエンターテインメント!

80年代にブロードウェイで大ヒットした伝説のミュージカルを映画化した『ドリームガールズ』。モータウン・サウンド興隆期を支えた“スプリームス”の実話を基に、華やかなショービジネス界のサクセスストーリーと、その裏にある確執や裏切り、挫折といった様々な人間ドラマを描き出す。

ダイアナ・ロスを元にした役・ディーナを演じたのは、今や世界で最も影響力をもつ歌手ビヨンセ。女優としてはそこまで知名度が無かった彼女だが、10キロの減量に挑み、魂を込めて楽曲を歌い上げ新境地を開拓した。そのビヨンセを超えるほどの存在感・歌唱力を披露したのはジェニファー・ハドソン。新人でありながらアカデミー賞助演女優賞に輝き、一躍有名になった。そのほかジェイミー・フォックスやエディ・マーフィなど超豪華キャストが華を添える。監督は、近年『美女と野獣』『グレイテスト・ショーマン』(脚本で参加)など大ヒットミュージカル作品を手掛けているビル・コンドンが務めた。

「(舞台版「ドリームガールズ」の)初演から25年も経っているから、社会的な要素を含んだ音楽の動きを真正面から捉えられると提案した。今の僕たちの文化では、黒人音楽はポップ・カルチャーの中心的存在、主流だ。そんなストリームの最初の開拓者たちに目を向けて、60年代の公民権運動と平行して語ったら、面白いチャレンジになると思った」――ビル・コンドン
(映画.com 2007年公開時のインタビューhttps://eiga.com/movie/1053/interview/より抜粋)

アリー/スター誕生
A Star Is Born

ブラッドリー・クーパー監督作品/2018年/アメリカ/136分 | 148分(★最終回のみアンコール・バージョン)/DCP/PG12/シネスコ

■監督 ブラッドリー・クーパー
■製作 ビル・ガーバー/ジョン・ピータース/ブラッドリー・クーパー/トッド・フィリップス/リネット・ハウエル・テイラー
■脚本 エリック・ロス/ウィル・フェッターズ/ブラッドリー・クーパー
■撮影 マシュー・リバティーク

■出演 ブラッドリー・クーパー/レディー・ガガ/アンドリュー・ダイス・クレイ/デイブ・チャペル/サム・エリオット/アンソニー・ラモス/ラフィ・ガヴロン/ルーカス・ネルソン&プロミス・オブ・ザ・リアル

■2019年アカデミー賞歌曲賞受賞・作品賞ほか7部門ノミネート/ゴールデングローブ賞歌曲賞受賞/放送批評家協会賞主演女優賞・歌曲賞受賞/グラミー賞最優秀ポップ・パフォーマンス賞受賞 ほか多数受賞・ノミネート

© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

★連日、最終回のみ通常版より12分長い『アリー/スター誕生:アンコール・バージョン』を上映いたします。

【2019年8月31日から9月6日まで上映】

「君の歌は奇跡だ」 愛と成功のはざまで、アリーが掴んだものとは――?

アリーの夢――それは歌手になること。なかなか芽が出ず諦めかけていたある日、世界的シンガーのジャクソンと出会う。彼女の歌にほれ込んだジャクソンに導かれるように華々しいデビューを飾り、瞬く間にスターダムを駆け上るアリー。激しく恋に落ちて固い絆で結ばれる2人だったが、アリーとは反対に、全盛期を過ぎたジャクソンの栄光は陰り始めていき…。

レディー・ガガ×ブラッドリー・クーパー 見るもの全ての心を震わす圧巻のエンターテインメント

ハリウッドでこれまでに何度もリメイクされてきた『スタア誕生』の物語を、世界の歌姫レディー・ガガを主演に新たに映画化。スター歌手に才能を見いだされた女性が、スターダムへと上り詰める姿が描かれる。主人公アリーのドラマチックな人生は、駆け出しのころNYのクラブのダンサーをして生計を立てていたこともあるガガの人生そのもの。自らを投影したかのような役どころを体当たりで熱演した。彼女の書下ろしによる数々の楽曲やその素晴らしい歌唱シーンも作品の大きな魅力となっている。

監督と製作、さらにW主演まで務めたのは『アメリカン・スナイパー』のブラッドリー・クーパー。もともとはクリント・イーストウッドがメガホンを取るはずだった本作を、愛弟子ともいえるクーパーが引き継ぎ、初監督にして堂々たる傑作に仕立て上げた。